第6話 「何にします?」「じゃあ、あなたにします」「かしこまりました」 …ちょ。 冗談だったのに。「 恥ずかしいわ…」こんな状況って、無理ゲーですか?
いや。
TV版のなつかしい話は、良いんだ。
「非正規は、つらいよ」
店の中には、いくつものショーケースが、立ち並んでいた。客の座るカウンター席などは、見えなかった。
立ち飲み屋、か?
…違うな。
色とりどりのスマホが、10ちょっとの数のケースの中に、1つ1つ入れられて、飾られていた。
「いらっしゃい」
30代…、40歳代にも見えた女性が、腕を、まくった。
「この店の、女将か?きれいな人、だ…」
彼女の白衣の姿に、驚かされた。それだけで、充分に、食べ物がある店を思わせた。
「あのう…、お客様?」
「ああ、はい」
「私を、はじめましたから」
「はい?」
「ですから、私を、はじめたんですよ?」
「え?」
エロそうな、言い方。
「お客様?」
「ああ、はい」
「何に、しますか?」
「じゃあ、私をっていうなら、あなたにします」
「かしこまりました」
…ちょ。
冗談、だったのに。
「恥ずかしいわ…」
女性の顔が、赤くなっていった。
「お客様?」
「はい」
「まずは、タツミで、いかがでしょう?」
「タツミ?」
…それは、先輩の名前だぞ?
「お客様は…エッチなんですね」
「…」
「そうだ、お客様?」
「はい」
「タツミ以外にも、オススメが、あるんです」
「…へえ」
「スナガも、ありますからね?」
…スナガ?
それも、塾の講師の仲間だぞ?
「お客様?緊張、しちゃったんですか?」
女性が、ツバキの手を、握った。
「あら、かわいい」
「はい?」
「お客様は、恥ずかしがらなくて、良いんですよ?」
「…はあ?」
「店の入口は、閉めましたから」
「…何?」
「今は、私たちだけの世界…」
「…え?」
「ああん…」
「やめろ!」
「お客様?ウソ、なんでしょ?」
「…はい?」
「本当は、やめてもらいたくなんか、ないクセに」
「…う」
「あん」
「…うう」
「お客様?」
「は、はい…」
「あふ」
「やわらかいんだ…」
「やあん」
「な、何でもない!」
「…お客様?スナガは、どうなんですか?」
どうなんでしょうねえ…。
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