34 怪しい影

コウが去った武器屋。


テテは目の前に置いてある

半身が無くなった剣を見つめていた。



「……修復は無理そうね」



テテはそう告げると、

その剣を店の裏にあるゴミ捨て場へと投げ捨てた。



「コウ……次も折って来たら許さないんだがら……」



テテはそう小さく呟くと、店の中へと戻って行った。











テテが去ってから数時間のゴミ捨て場にて。


半分になった剣を見つめる人影が1人。



「……この剣、間違いない。

デスリードラビットに刺さっていた剣だ」



人影はゆっくりと半分になった剣を拾い上げ、

しばらく見つめた後、そう呟いた。


そして、その影は剣を布に包むと、

足早に去って行くのだった。


この時コウはまだ知らなかった。


自分たちがどれだけ気を付けていても、

人間は自分たちとは違う者を直観的に認識し、

見つけ出し、そして排除するということを。











「コウにボウ、居るか?」



次の日になり、ガウスが宿屋までやってきた。



「おはようございます。 ガウスさん」


「丁度準備が終わったところだ」



そう言いながらボウとコウが

部屋から出てきた。


そんな2人を見ながらガウスはニヤリと笑い、



「2人共、俺と戦ってみたくはないか?」



そう告げるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る