33 重心剣

しばらく店内を物色していたコウは

硬そうな剣を適当に選び、カウンターに置いた。



「これで頼む」



すると、その剣を見たテテは、



「……本当に剣を選ぶセンスは無いわね」



そう吐き捨てるのだった。



「そうなのか?

俺的には堅くて頑丈そうな物を選んだんだが」


「……まぁ、確かに頑丈ではあるわね。

でもこの剣は中心に鉛の芯が入っているの」


「そうなのか?」


「そうよ、それで重さを増やすことで

振るだけで相応の威力を引き出しているの。

でも……あなたには必要ないでしょ?」



テテはそう言いながらコウが持ってきた

真っ二つ剣を指さした。



「……確かに必要ないな」


「なら、さっさとこれみたいな剣にしなさい」



テテはそう言うと、

コウの近くにあった1振の剣を取った。



「これは?」



コウがそう問うと、



「普通の剣よ。

でも、焼き入れをしっかりしてあるから

硬くて壊れにくいわ」


「じゃあ、それで頼む」


「はいはい」



テテはそう言うと、剣を鞘に戻し、

コウへと渡した。



「……よし、じゃあまた来る」


「出来るならしばらく来ないことを願っとくわ」



コウの言葉にそう返すテテの言葉を聞きながら

コウは宿屋へと戻って行くのだった。

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