27 背中に突き刺さった剣

「はっ!!」



短く息を吐きながらコウは

リグールの背中へと剣を振る。


しかし、硬い音と共にコウの剣は弾かれた。



「……流石にリグールの背中の鱗は切れないか」



コウはそう呟くと、

腰を落として、剣を構えた。



「……来いよ、リグール」



コウがそう呟いた瞬間、

リグールは素早いスピードでコウの

頭に目がけて噛みつこうとする。


しかし、コウはその攻撃を

きれいに剣で薙ぎ払い、



「これなら通るだろっ!!」



そう叫びながらリグールの背中に

剣を力いっぱい突き刺した。


すると、剣は深くリグールの背中に突き刺さった。



「ググガァァァァァァ!!」



リグールはそんな雄叫びを叫びながら

暴れはじめ、無防備になったリグールの

腹に目がけて、



「ボウっ! 短剣を貸してくれっ!」


「了解だよっ!!」



ボウから投げられた短剣をキャッチすると、

腹に深く突き刺した。



「グッグッ……ッ……」



暫くすると、リグールは動かなくなった。



「ふぅ……終わったね」



ボウは動かなくなったリグールを眺めてそう呟いた。



「あぁ、よし武器を回収するか」



コウはボウへそう返答すると、

腹に突き刺さった短剣を引き抜き、

血を拭き取った後、ボウへ返した。



「ありがとう、コウ。

僕の短剣、役に立ったかな?」


「もちろんだ、助かったよ」



コウはそう言いながら背中に突き刺さっている

自分の剣を引き抜く。


しかし、



「あっ……折れちまったか」



引き抜いた瞬間、剣が真っ二つに折れ、

刀身の半分がリグールに突き刺さっている

状態になってしまっていた。


「……どうするか」


「新しいの、買おうよ」


「そうだな……っ! 誰か来るぞ」


「そうだね、ガウスさん……じゃないね」


「なら、いったんここは離れるか」



ボウの言葉を聞き、コウはそう提案する。



「そうだね、僕たちの存在がばれるのは不味いしね」



ボウがそう言うと、2人は

急いで少し離れた所に避難するのだった。

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