第223話 紹介
何度か狩りをすると、マゴダのDNAが目覚めたのか、上空から滑空して足の爪で捕まえると言う鮮やかな狩りができるようぬった。
「なんかお前、大きくなってね?」
最初は十メートルくらいだったが、今は十五メートルくらいになっている。
体格もよくなり、胸もデカくなっている。てか、その乳はなんのためにあるんだ? ビーチクがあるところも鱗で覆われているし。意味わからん体だよ。
「そう? 自分じゃわかんないな。でも、力は漲っているのはわかるよ。今なら火を吹けると思う!」
本人は冗談のつもりだったのだろう。だが、見た目は萌え系ドラゴンガールだろうとも竜は竜。理性より本能が強い生き物。大きく息を吸い、ふー! と吹いたら火をが吹き出された。
うん。そんな気がしたので吸った時点で逃げたよ。オレの直感、ナイスだ。
「ひ、火が出たよ!? なにこれ?!」
「落ち着け。お前は火を吐く竜ってなだけだ。ちなみにオレは、風を操れ、雷を撃てる獣だな」
「……なんか複雑……」
「それも慣れる」
経験者が言うんだから間違いないさ。
「空を飛ぶのも慣れたし、そろそろ本土にいくか」
ミドットリー島も通常に戻ったし、ゴルティアたちにも紹介した。次は人間が住む町を見せるとしよう。
「……う、うん。本当に大丈夫だよね……?」
大丈夫だと何度言った。でも、変わり果てた自分に納得できてないんだろう。心はまだ人なんだからな。
「仕方ない。まずはマイノカにいくか」
もしかすると人間だから不味いのかもしれない。なら、見た目が違う種族から慣れさせたほうがいいかもしれないな。マイノカならそんなら人間はそんなにいないしな。
「マイノカって王都みたいなところだっけ?」
「ああ。オレたちの家があるところだ」
「……レオがルドのところなら安心かも……」
「じゃあ、マイノカにいくぞ。ただ、コルモアに報告しなくちゃならないから空を旋回していろ。地上から見える高度で。お前の姿を人間たちに見せて慣れさせたいからな。それなら構わないだろう?」
「うん。それなら」
ってことで、オールダーやゴルティアたちに挨拶をしてミドットリー島をあとにした。
しばらくは翡翠と並走飛行してコルモアに向かい、途中から海に降りてロドとラダーレンに挨拶。コルモアの港に入った。
「連絡が遅れてすまなかったな」
「いえ。ロイド艦長から報告は入ってましたら。それに、レオガルド様なら上手く纏めると信じてました」
信頼が重いが、上手く纏めてしまったのだから反論しようもない。オレへの信頼が上がりすぎるのも困ったものだ。
「マゴダと言う飛竜で、人語をしゃべるヤツだった。まだ人間に慣れてないようだからマイノカに連れていく。慣れたら連れてくるよ」
「わかりました。お会いできるのを楽しみにしていますよ」
すっかりこの大陸な慣れたセオル。こいつもここに住んで二十年。もう五十を過ぎたか。あっと言う間だったな~。
「長生きしろよ」
「あと二十年は死にませんよ。少なくとも子供たちが一人前になるまではね」
「ふふ。そうか。それは楽しみだ。一人前と言わず、孫を抱くまで生きろよ」
「孫ですか。それはいいですな。頑張って生きるとしましょう」
ああ、と返事をしてマイノカに向かった。
マイノカに着くと、翡翠が降りてきて、なぜか正座をした。その脚でよくできんな。どんな構造してんだ?
「さすがにお前の体格だと家が壊されるからここで待っていろ。まずはギギと巫女を紹介するから」
ギギのことは呆れられるくらい話したし、同性なら怖くはないだろう。まずはオレの背にギギを乗せて挨拶させた。
「ようこそ、レオノール国へ。わたしは、ギギです」
「わ、わたしは、翡翠です。よ、よろしくお願いします」
なぜか土下座お辞儀をする翡翠。ビビりすぎだ。
「ギギ。翡翠に巫女たちを紹介してやってくれ。オレはゼル王に報告してくるから」
「レオガルド! 一人にしないで!」
「アホ。お前は、もう一人じゃない。オレらは家族になったんだ。ビビるな」
「そうですよ。レオガルド様が家族と認めたときからわたしたちは家族です」
謎触手でギギを絡め、翡翠の手に乗せてやった。
「オレが戻ってくるまで親睦を深めていろ。巫女たちもよろしくな」
巫女たちが翡翠を囲み、よろしく攻撃。うん、それはそれで怖いな。
「まあ、ガンバレ」
泣きそうな翡翠を残し、ゼルのところに向かった。
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