第216話 時が過ぎるのは早い
「諸島連合体との交易はコルモア行政府に任せる」
あるていど方向性を決めたらセオルたちに任せ、オレはゼルたちとマイノカに帰るとする。
去年から諸島連合体に集中していたから他の町のことをレブたちに任せっきりだった。
知らぬ間にレブもライザーもすっかり大人の体になっており、中身も成長していた。
オレがいない間にもよく町を回ってくれ、種族間の間を取り持っていてくれた。
「ありがとな、がんばってくれて」
マイノカに集まった二人と二匹を労ってやる。と言ってもチェルシーとミディアに押しくらまんじゅうされてレブとライザーは謎触手に抱きついてキャッキャしてるだけどな。
十二分に労ってやったら各町のことを聞かせてもらった。
どこの町も概ね平和なようだが、ただ人が増えてきたので町の拡大が必要になってきているそうだ。
まあ、二十年もあれば子を産んで成人になり、その子が家庭を持ち、また子を産む年月だ。倍、とまではいかなくてもそれなりには増えているだろうよ。
「どこかにそれぞれの間に町を築くか」
さすがに町と町の間が離れすぎている。せめてその中間に町はあったほうがいいだろう。
マイノカとコルモアの間に築いたロルクル村も発展してきて町になりそうか勢いだ。これからの発展のためにも間に町は必要だろう。
まずはゼルに話を通し、ゼル王発案にして布令を出してもらう。
移住する者はゼルに任せるとして、オレはマイノカとミナレアの間に向かい、どこがいいかを調べた。
「
せっかくなので
いい感じに死んでくれたので謎触手を使ってパクり。相変わらずそんなに美味しくないな。血が薄いや。
「お前らには悪いが、ここを明け渡してもらうな」
この大陸の生き物は絶滅させたと思ってもどこからか湧いてくるように出てくる。逃げたか他から流れてきたかはわからないが、強い者が正義。弱い者は追い出されても仕方がないのだ。
まあ、オレもいつか強い者が現れて食われるかもしれない。そのためにも王国と言う住み処を築いておこう。
コモドドラコンモドキを粗方狩ったらマイノカに運ぶ。ゴゴールや人間は美味しく食べれるからな。
とりあえず平らなところの樹を倒し、均してオレの縄張りとする。
しばらく居座れば近くにいる獣たちも逃げ出すはずだ。
「レオガルド様。清水がありました」
騎士ワルキューレが見つけた清水へ向かい、周辺を掘って池とし、沼にいくように流れを作った。
「ここに町を造る。お前たちはマイノカまで踏み均せ」
ミナレアにいく道からはズレてしまったが、そう離れてはいない。町を造るならこちらに道を移すとしよう。
周辺の樹々を倒し、爪で枝葉を落として使いやすいように割っていった。
夏になる頃、ここに移住してもいいと言うヤツらがやってきた。
主にゼルム族で、人間が二割、ゴゴールが一割って感じだった。
マイノカから四日の距離なので、しばらくはマイノカから食料を運ぶことにするが、今からなら豆を植えられるので畑にしたところに蒔いてみた。
念のため、町を囲むように堀を築き、清水から水を流した。
今はまだ流れるほどではないが、堀が満たされたら魚を放つのもいいかもな。試しに湖から運んできて放ってみるか。
と、やったら魚は住みついた。順応性高いな!
ゼルム族の主食とはならないが、増えたら燻製にするなりできるだろうよ。
「レオガルド様。そろそろここの名前をつけてはどうでしょうか?」
植えた豆が順調に生った秋。代表にした男がそんなことを言ってきた。
「そうだな。ゼル王にも見せたいし、ゼル王につけてもらうとしよう」
マイノカに戻り、ギギと一緒にゼルと会う。
「レオガルド様。その町をジュニアに仕切らせたいのだが、どうだろうか?」
すっかり成人となったジュニア。最近は各町を回っていると聞いていたが。
「おれの後継者だ。いずれ国を背負わなくてはならない。まずは、町を仕切る経験を積ませたいのだ」
なるほど。それももっともだな。いきなり国を背負えと言われても戸惑うだけ。まずは町で統治することを学ぶのもいいかもな。今ならそれほど難しい統治はしてないしな。
「わかった。ジュニアに町を任せよう。ラゼ、お前はどうする?」
ジュニアの補佐であり、いずれ宰相か大臣になる男だ。
「お許しをいただければ諸島連合体にいってみたいです」
そう言えば、カルオンのヤツ、諸島連合体に残っているんだったんだな。
「そうだな。これからを考えたらラゼも外の世界を知っておくべきか。ゼル王、どうだ?」
結果権はゼルにあることを示すために尋ねた。
「おれは構わない。ラゼの意思に任せる」
「はっ。ありがとうございます」
「では、コルモアにいって諸島連合体のことを学べ。あとはセオルと相談しろ。オレもそのうちコルモアにいってセオルと話すから」
いきなり諸島連合体へ、と言うわけにもいかないんだから一年くらいは勉強させるとしよう。
「ジュニア。将来、自分を支えてくれる者を十人くらい選べ」
「妻も連れていっていいですか?」
「妻? お前、結婚していたのか!?」
初耳なんですけど!
「はい。昨日、告白しました」
お、おぅ、そうなのか。あのジュニアが妻を、ね。時が過ぎるのは早いものだな……。
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