十五想 森林探索かっこ噓かっことじ

「服大丈夫かな?」


「はい、いつも通り美しいお姿です」


「うん、ありがと」


 今日の服装はブラウスにジーパン、下着。

 あとマント。


 ブラウスは薄い青色のちょっと袖が長めで襟がないタイプで、

 ジーパンみたいなやつはあんまりダメージが無いものでベルトをつけてる。

 マントが無ければ女性っぽい服だと思う。


 コリレに頼んで良かった。

 ちゃんとした服装で外に出れる。

 私一人だと上はTシャツになってたかも。


 家用の服と違って露出が少ないね。

 家の服でも上はそんなに出てなかったけど太ももが必ず出てた。

 絶対タトゥーをえっち中に見たかったんでしょ。


「では一束頂いてよろしいでしょうか」


 一束だから髪だね。

 どこからはさみを取り出したのか。


「後ろ髪でいい?」


「はい」


 他よりちょっと伸びてる所があるからちょうどよかった。

 あ、切れた。


「ありがとうございます、マスター」


 うれしそうな顔をしてるね。

 でもコリレが攻めのときに見せるかわいい笑顔を忘れてはいないから、

あの顔ほんとにヤバイ。


「今日は何色かな」


 私の髪はいろんな暗い色で構成されていて。

 ぱっと見は真っ黒なんだけど、

光に透かすと赤とか紺とか緑とかになることがある、だいたい黒ではあるんだけど。

 色が黒じゃなかったら運がよかったねって感じ。


「橙…ですね」


「おー、珍しい」


 今日は髪切る日でよかった。

 髪や爪以外はあとが面倒だから。


「じゃあ、行ってきます」


「はい、行ってらっしゃいませ」



 んー、まずはどこに行こうかな。


 神様んちか森衛所のどっちを先に行くか。

 神様のところに行こうか、

ほぼ目の前だし。


 ワープすればすぐに着く。

 だいたいワープする時は2分ぐらい時間がかかるけど。


 これでも早くなってる。

 初期の頃は10分もかかって、

そこからどれだけ早くしても4分が限界だった。


 四分以上早くすると体がワープ後に維持できなくなって崩れてしまう。

 ワープの事故で私が何人死んだか、二桁は下らないぐらいは死んでる。


 痛みはないけど心がゴリゴリ削れていくのがわかるほどだった。

 一日三回くらいで心が壊れて。

 三日間くらいコリレに看病してもらいながらおもちゃ扱いされてる。


 おもちゃって言ってもあれだよ、うん、あれ。

 流石に心の中でも止めておこう、私だって女の子だし。

 猥談する時だけにしておこう。


 コリレにおもちゃにされて三日くらいで精神が復活する。

 コリレへの依存が相当進んでたからメンタルだけは回復できた。


 足腰が立たなくなったり、口移しじゃないと水が飲めなかったり、

心を癒すには体がボロボロになるの。


 リスポーンして体は回復しても心は回復しない。

 死に方によってはむしろ落ち着くけど。

 基本的にはしんどくなる。


 話が相当逸れたけど。

 死にまくる4分から2分まで短くなったのは転送装置が二つになったのが理由。


 それまでは頭から足にかけて降りていくようにワープしてたけど。

 今はお腹の真ん中から上と下に向かってワープされるから二倍くらい早い。


 ちなみに頭はほかのところよりもゆっくりめにワープされてる。

 だから半分よりもちょっと高い位置で始まってるらしい。


 あと今はかなり死ににくくなってて。

 二十回に一回くらいでしか死ななくなってる。


 まあ、いくら死んでもいい私と違って神様たちは死んだらだめだから、

まったく使ってないみたい。


 って言っても神様たちは残機制らしいけどね。

 理由は教えてもらえなかった。

 神様が”知らない方がいいこともあるんだよ”って悲しげな顔で言われたから、

やめておいたけど。


 生物を殲滅した話に関わってきそうだし。

 さすがにあの顔は本当にダメな奴っぽかったからね。


 じゃあそろそろ行こう。

 五%ごパーを引かないようにお祈りしつつね。


 下見たら怖いから見ないようにはするけどね。

 なるべく動かないようにも。


 五%はソシャゲだとかなり高い方の確率だけど。

 単発ではそうそう出ないはず。


 十連、十一連で二%、三%とかほんと出ない。

 六じゅ




う連で二%だとしても出ないときは出ないのにさぁ。


 あ、着いた。


 ちょっと楽しいからソシャゲの話またしたいな。

 煽り厨とか王道デッキの話とか。


「誰かいるー?」


 またちなむけど、神様ん家にあるワープ装置は、

神様と話す部屋のすぐ近くにある狭い部屋に置かれてて。

 ちゃんと外からは見えなくなってる。

 部屋の中で組み立てたらしいよ。

 すごいね。


「来たか」


「おはよう、ようこそロヴィリス」


「うん、おはよ神様、ジルママ」


 ジルママなんで神様の膝に座ってるの。

 ジルママは見た目がほぼ幼女なんだよね、だから違和感がない。

 その違和感がないことが違和感だけど。


 だって見た目幼女でも200歳以上あるんだよ。

 違和感あるでしょ、この見た目で自分より年上なのは。


 でも顔の横半分が仮面っぽいもので覆われてたり、

そこから本人の頭よりも長い角が生えてることよりは違和感がないけど。

 そういえばこの仮面なんて言うんだっけ?


「何日ぶりかな?」


「…ごめん、わかんない」


 朝夜関係なく眠らされてたから、時間感覚に自信がない。


「まぁ、疲れるもんね」


「うん、疲れる」


 心は元気になっても身体はボロボロになるよ。

 手加減されたいとも思えないけど。


「お前たちの役目は己の嫁をばせる事だろう、疲労など関係あるまい」


 えー。


「それはジルが言うセリフじゃないなぁ」


「ぐぐ…」


 アイアンクローきまった。

 ジルママがちっちゃいからちょうどいい位置になってるね。

 あとその声は敵キャラが追い詰められた時に出すやつでしょ。


「ぐぐぐ、事実ではあるだろう!」


「確かにそうだけどジルはもう少し僕を労わってくれてもいいと思うんだ」


 ジルママは肉食だもんね。

 たまにジルママしかこの部屋にいない時あるもん。


「神様がんばれー」


「君そっち側かよ!」


 だってコリレに喜んでもらえる分にはうれしいし、

そこは異論ないし。


「仕事が確実にある日の前は抑えてくれるし、精神にダメージが入らなければいくらでもできるから」


「ならなぜロビーは何かを言いたげな顔で見た?」


 見られてたんだ…。

 あ、ロビーは私のあだ名ね、

 ジルママとウェン母様しか使わないけど。


「それは…疲れて寝てる間に…ね、さすがにえーとも言いたくなるよ」


「やはりコリレはの孫だな」


 なんでジルママは自分の事を雅って呼ぶんだろ。


「それでいいのジルママは」


「当然だろう、孫が自分に似て喜ばない祖父母が居るか」


「そこは似ていいところなの…?」


 性欲がとても強いところが?


「よいに決まっているだろう、重要な個性だ、それもコリレが忌避しているわけではないのだろう?」


「まぁ…」


 むしろ嬉々として身を任せてる感じはする。


「ならばお前が気を揉むことではない」


 いや気にしてるわけではないんだけどな…。

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