十四想 流されてるな私…
「あ、やっと乾いた」
後は油を塗ればよかったよね、
前の斧と同じようにタオルを使うけど。
今使うのは前とは別のタオル、
斧と小道具で分けてるからこうなる。
前のはちゃんと洗ってるけどね、洗濯する時に。
斧用のタオルは大きめで網目がかなり細かくなってる。
今使うタオルはそれと比べたら粗い。
使い方も斧用はなるべくこすらないようにして塗ってるけど。
道具たちは割と雑にやってる。
どっちも金属製の部分全体に塗ってはいるけどかかる時間が違う、
斧の方が大事にはしてるから当然だけど。
塗ってる間にさっき話したかったことを話すよ。
すぐに終わるけど。
話の内容は、神様が生物を滅ぼしたって話。
正確には神様たちらしい。
実際奥様方の方が滅ぼせそうな力持ってるし。
でも人は神様が一番殺してたって。
殺した人の中には友人になった人もいたらしい。
それも病気とかバーサーカーモードとかじゃなくて自分の意志で。
本人曰く”もう止まることは許されなかったんだ”だとか。
多分割と滅ぼした後の話だったんだろう。
だから止まれなかった、
止まりたかったのかもね、私にはわかんないけど。
そろそろ油が塗り終わる。
塗り終わったら布巻いて、マントの中にしまっとく。
明日の準備はほぼ終わりになるのかな。
コリレには甘えちゃってる、
もっと甘やかして欲しい。
塗り終わった。
えーと、クローゼットにはいないか。
寝室かな。
「コリレ、終わったよ」
いたいた。
「私も今終えたところです」
「じゃあご飯作ろっか、多分いい時間だし」
「そうですね、お食事後はどうされますか」
うーん、することないなぁ。
タオルと食器洗って、洗濯物干して、お風呂入って…、
寝るか。
「家事やった後に寝たいかな」
「分かりました、家事の後に交わりましょう」
交わっ、え?!
「言ってないけど?!」
「いえ、暫く帰られない可能性がありますので」
んー、遠くに行くと帰るのに時間が掛かるときもあるか。
でも出かける前につかれたくないんだよねぇ。
「安心してください、私が攻めを受け持ちますので」
「待って、だったら私が攻めをやるから」
私が攻めのときより受けのときの方がいつも疲れてる気がする。
精気かなんか吸われてる?
「分かりました、では長く楽しむために早く終わらせましょう」
「うん」
あれ?
いつの間にか寝る前にえっちすることが確定してる?
まぁ、いつものことか。
えー、今は32時だね。
ちょうどいいくらいの時間帯。
「一緒に作るってことでいい?」
「はい、そちらの方が早く済みます」
「そうだね」
何作るかはコリレに聞けばいいか。
さすがに幼虫は残ってないよね。
朝に食べて夜にも食べたら精神に限界来るよ。
コリレが冷蔵庫を見てる。
一緒に考えたかったのかな。
「みそ汁と…肉じゃがが作れそうですね」
肉じゃがだったら何かしらの肉とじゃがいもとたまねぎとにんじん、
あとハリガネムシみたいなやつ。
見た目はハリガネムシみたいだけど、端っこに羽がついてて飛ぶ、
名前はトビヒモムシだって。
神様のところからもらってきた。
まだ放してない虫だからね。
味は無い、だってしらたきの代わりだから無い方がいい。
あっためるとしらたきみたいな食感になる。
焼いてもしらたきを焼いたような食感。
ちなみに糸こんにゃくじゃないのはコリレが嫌ってるから。
あの弾力が嫌らしくて、食べるときちょっとだけ眉間にしわがよる。
嫌いではないんだけどなんかなぁ、みたいな表情するから、
糸こんにゃくはやめよって話になった。
「……肉じゃがでよさそうですね、あとは…」
他はなんだろう。
ご飯は当然として、あと副菜だよね。
「さっぱりとしたもの…酢の物にしましょう」
「嫌」
「嫌じゃないです、食べなさい」
命令形?!
「私がすっぱいの苦手だって知ってるでしょ」
前からレモンとかグレープフルーツとか無理なんだから。
「では口移しで」
「ごめんなさい自分で食べます」
「そうですか…」
なんで残念がってるの。
家事してからだよそういうことは。
やめられない止まらないのはわかってるでしょ。
やっと献立が決まったけど。
うん。
じゃあ準備…ん?!
「なんで虫出してんの?!」
トビヒモムシじゃなくてカブトムシとかそういうタイプの昆虫。
さっき食べた幼虫の成体で、同じようにご近所さんからもらってるやつ。
名前はキノヒマクだとか。
どういうネーミングセンスなのかよくわからない。
だって木の皮膜だよ?
話が逸れたけどそんなサクサクの昆虫を何故肉じゃがに入れる?!
それに用意してある材料を見る限り、お肉の代わりに入れようとしてるな?!
どの代わりだとしても合わなくない?
せめて幼虫ならそこまで問題なさそうなのに。
「お肉なかったの?」
「いえ、食用肉はありましたよ」
腐ってなければ冷蔵庫に入ってる肉が食用以外のわけないんだけど。
なぜか食用肉って言い方をしてる。
だいぶ昔からその言い方。
それよりも前に食べられるけど普通は食べない方がいい肉があったから、
区別のためにそんな言い方をしてるのかな。
「じゃあなんで使わないの」
「今は虫の気分なので」
「えー…」
”今は”というか今日は、だね。
幼虫と成虫ではだいぶ味が違うからいいけどさ。
それにコリレが料理作るとだいたいおいしくなるのはわかってる。
コリレも絶対おいしくならないものは入れないから信用できる。
ただおいしいのに毒が大量に入ってて死にかけたり死ぬことはあったけど、
危なそうなものはなんとなくわかるとか言ってたのに。
おいしければいっかみたいな感じで自分は味見せず、私だけに食べさせてくる。
コリレは死んだら終わりだから仕方ないけどちょっと酷い。
「では作りますよ」
「えー」
「決定事項です」
「はーい」
「「いただきます」」
「ごちそうさまでした」
「ご馳走さまでした」
一緒に作ったからお粗末様とは言わない。
どっちもごちそうさまって言うようにしてる。
「私は食器を洗いますのでマスターは洗濯機をお願いします」
「はーい」
ついでにタオルを洗剤入れた水に浸けて、放置。
洗濯物はだいたい濡れてる程度だからダイニングで乾かして、自然乾燥に任せて、
放置したタオルを洗濯機にポーンすれば終わり。
「終わったよ」
「私も終わりました」
「はやっ」
食器乾燥機はあるけどさすがに早い。
「ではお風呂へ参りましょう」
「一緒には入らないから」
「…分かりました、後の楽しみに取っておきます」
あ、やば。
今夜のパジャマは服から肩だけが出てるやつ、名前は知らない。
それと太ももが見えるショートパンツ。
あとブラジャーは普通なのにショーツが…。
ブラジャー以外はいつ頼んだのかわからない。
多分ヒミア様だと思うけど、
いつ?
そういえば大量の服をもらった時があったけど。
コリレが頼んでたのかな。
それでもクローゼットは…。
うん、襲われそうな服だけど行こう。
私攻めのはずなんだけどね?
そっかそもそもコリレは攻めをする気はなかったんだっけ。
「コリレー起きてる?」
「はい、キて下さい、ロヴィリス」
「うん、お手柔らかにね」
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