十六想 女子会的なやつ

「それになロビー、お前も祖母に似ているんだ」


 え、あ、ウェン母様に似てるってことか。

 ならいいかな。


「察しが付いているようだな、そうだお前はウェンタに似ている」


「…うん」


 なんかな予感がする。


「正確にはロビーの方がマシだがな」


「急になんの話…」


「お前達が恥ずかしがり屋ってことだ」


 いや、そんなことないでしょ。


「例を言えば、先程お前は性交の表現をぼかしただろう」


「えっ…確かにぼかしたかも…」


「ああ、とは言ってもウェンタは性交関係の話自体嫌うからな」


「そうだね」


「あいつすぐに殴りかかってくるからな、先に罠を置かなければ直撃する」


 いつも椅子とかテーブルがぐちゃぐちゃになってるよね。

 落ち着いたらウェンタ母様も手伝ってくれるけど、たまに割れてるし。


「あいつは馬鹿力すぎる、そこもお前と似ているな」


「うん」


 間違いなく私よりも力は強いね。

 ぱっと見そんなことなさそうに見えるけど、見た目華奢なのは私も同じだし。


「あと性欲だな」


 は?


「あいつはほどではないものの性欲が強いからな、お前も受け継いでいるのだろう」


「いやそんなことなくない?」


「間違いないぞ、お前はコリレの性欲を受け止められるのだろう?」


 う、確かに…。

 いや。


「疲れて気絶することはあるからそんなに性欲はないでしょ!」


 私はそんなに性欲ないから!絶対!


「そもそも性欲の強くない奴は気絶するまで性交をしない」


「く…」


 た、確かに…ぐうの音も出ない…。


「で、でもいつも気絶するときは受けのときだよ!」


「お前気絶する前に拒否したことはあるか?」


 ………。


「…ないです、負けました」


「雅に言葉で敵うと思わない方がいいぞ」


 わかりました…。


「肝に銘じます…」


「ジルは体が弱いからね」


 あ、”言葉で”ってそういう…。

 あと神様どうやって存在感消してたの。


「戦闘では負けん」


「魔法なしだと勝てないよね」


「負けたこともないからな?」


 そもそも一度も勝ったことないな。

 攻撃が全部流されるからまともに当たらない。


「なんで近接あんなに上手いの?」


「そんなもの、普段からあいつらと組み合っていれば自然と身につく」


 きっと組み合い(かっこ意味深)なんだろうなぁ…。

 理由も獲物の取り合いとかそういう理由なんだろうなぁ…。

 ハーレムって大変だねぇ…。


「何その白けた視線、何を言わんとしているかはわかるけどやめてほしいよ?」


「いや頑張ってるなーって思っただけだよ」


 餌として。


「やめて!そのどうしようもない生き物を憐れむような目もやめて!」


 そらお腹が空いたオオカミ三匹がいる檻と同じ檻に入れられた、

オオカミ兼うさぎに対して、それ以外の視線は出ないでしょ、うん。


「そんなこと、雅達姉妹を好む時点で覚悟しているべきだろう」


「仕方ないじゃん!その頃まだ13歳だよ!?」


 かなり大変な時期だったって聞いてる。


「雅は14か」


 その頃だとウェン母様は10歳、ヒミア様は16歳だったっけ。

 当然大へ…ん?

 ジルママはその見た目で…?


 でも子どもはたくさんいるから当然来てるよね…?


「ジルママ、ちょっとデリケートな話と猥談したいんだけどいい?」


「じゃあ僕はウェンタの所に避難するよ、ついでにヒミアもここに来るか聞いておくね」


 おー、気づかいのできる男。


「む、わざわざ逃げることもないだろう、そのまま話せばいい」


「それはロヴィリスが嫌でしょ、だから降りて」


「はぁ、仕方あるまい、しょっと」


 降りる時の声が見た目とはあってるのに口調と全然あってない。

 …昔からこの口調だったのかな。


「じゃあまた今度、今日はどっちの仕事もないからね」


「わかった、バイバイ」


 ロヴィリスとしての仕事はともかく。

 ライターの仕事は急がないといけないから前日に手紙が来る。


 たまに手紙が来ないときもあるけど

そのときはこんな世間話をする余裕はないよ。


「行ったか、では何を聞きたい?」


「あのね、ジルママの生理はいつから来てるのかなーと思って」


「生理…は19の頃に始まったな」


 19…かなり遅めな気がする。


「成長が遅かったからとか?」


「いや、ウェンタは20で始まっている、おそらく関係無い」


 ウェン母様の方が全然体大きいもんね。

 確かにそういうことじゃなさそう。


「そもそも雅はこの姿でも成体だ」


 そっか、まずしゃべり方に舌っ足らずな感じはしないもんね。

 でも成人しても子供っぽい種族はいるか…。


 私種族とかの話、してないじゃん!

 ロウレストに戻ったらしよう。


「あくまで遺伝子が体格に出ているだけだ」


 よくわかんない。

 ヒミア様やウェン母様は小さくないから、

ジルママたちの先祖に見た目がちっさい種族がいたってこと?


「…?まぁいいや、わかんないことがわかった」


「そうだろうな、してお前はいつ生理が来た?」


 はいきた、ジルママは絶対質問を返してくると思ってたんだよ。

 私だって外見は年頃の少女。

 恋人でもないほかの性別の人間に生理の話なんかしたくない、うん。

 神様はちゃんとデリカシーある。


「えーと、前の話?それとも昔?」


「そうだな…まずはお前がこの世界に来た後からで頼む」


 昔の方ね、了解。

 といっても具体的な日にちはわかんないけど。

 だってカレンダーどころか時計だってなかったし。


 ちなみにカレンダーを持ってる人はほんの一部だけ。

 だってそもそもいらないから。


 そこまで細かく時間を気にするような時代じゃない、

十日も前から予定を決めることはほぼないよ。


「んー五十回も寝てないくらいにきたかなぁ」


 ほんとに覚えてないんだけど。


「ふむ、そのくらいか。ではお前がこの世界に来る前は?」


「13歳の頃だよ」


 他の子よりも発育がよかったからね。

 その頃には160超えてた。


「…早すぎないか?」


「そもそも生まれた星が違うからね、地球でも早めなくらいだよ、多分」


 お姉ちゃんくらいしか聞ける人いなかったからわかんない。

 セクハラとかになりそう。


「確か月?と言うのか、月という星に映る影の変化が一定のために、その変化をひと月としていたな。そのひと月程に一回生理が来るのが地球での常識だったか」


 月を知らなくて星や影を知っている人に対してだけできる説明。

 神様すごいね、これ以上ひと月の説明を短くする方法が思いつかない。

 漫画が立派な教材になるレベルだよ。


「今の私は一廻に一度だけどね」


 かいっていうのは地球でいう年とかイヤーyearのこと。

 意味もほぼ同じのはず。

 前は35日に一回くらいだったからほんとに”程”だよね。


「地球の者等は酷く死に急いでるようだな」


「死に急いでるとかじゃなくて安全に子供を産める期間が一生の4分の1くらいしかないんだよ」


「流石に4分の1とほぼ一生を比べるのは酷か」


 その一生も100年どころじゃ済まないの知ってるからね。

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