十想 行為症

「う、うわぁ」


 見える範囲だけでもだいぶ酷いことになってる。

 腕とか胸とか膝が全体的に赤い。


 当然キスマークもあるけど、

それ以上に嚙み痕がすごい多い。


 見える範囲でこれかぁ。

 薄着で外には出られないかな。


 ただよだれとかは付いてないから、

 コリレが拭いてくれたみたい。


 左腕にも痕はついてる、キス痕や嚙み痕もあるけど、

強く握った痕もある。


 左手がそんな強く握られたような気はしてない。

 左手でこれなら右手は折れてるよね?


 右手はあんまり感覚ないし大丈夫かな。

 しびれてるみたいだけど痛みで麻痺してるだけかもしんない。


 で、左手についてるのはさっきまで私がつけてた首輪だね。

 タオルとかここにあるのになぜ首輪にしたのかわかんない。

 リードもあったと思うんだけど。


 私優先だったってことかな、

多分そうだね。



 コリレが外に出たはずなのに甘い匂いがずっとしてて、

そのせいで頭の中まで甘い感覚がある。


 甘い感覚のせいで胸のあたりがお腹が減ったみたいな、

物足りなさがある。


 私の性欲が強いってだけなんだけど。


 そりゃ何度も同じような感覚を感じてたらなんでそう思ったかはわかるよ、

そのことを聞ける人もいるわけだし。


 漫画やラノベで胸の奥がズキズキするとか胸の中が空っぽになったとか、

正直広義に見れば性欲だから。


 正確には性欲と倫理観がぐちゃぐちゃになってそんな感情になるんだと思う、

具体例としては主人公の彼氏が他の女性と話してると、


 自分だけと話してほしいとか他の人の前で笑顔を見せないでって言う気持ちと、

嫌われたくない、大事な人だから非道いことをしたくないみたいな気持ちが、

一緒に来て気持ち悪くなるって感覚。


 簡単に言うと嫉妬って言うんですけどね。

 ここまで言ってて私は感じたことないんだけど。


 前含めても一度もない、

コリレに聞いたらもっと分かりやすく教えてくれると思う。

 よく嫉妬してると思うし、

後で聞こう。


 嫉妬の話は置いといて。

今の私は寂しいのと欲求不満で胸の辺りがちょっと軽い、

あれだけやってまだ足りないの?とは思うだろうけど。

 私たちの場合当然といえば当然。


 だって種族的にコリレのことを受け入れるようになってるし、

何より両想いだし。


 私の方は抑えれる。

 コリレ以外には何も感じないらしいからちょっと落ち着いて見えるってだけで。


 コリレは私がいるときに落ち着く必要がないからあんな感じ、

性欲の強さ自体は多分おんなじくらい。

 …サキュバスが競ってるときぐらいしか使わない言葉でしょこれ。


 ちなみに、私がコリレ以外に興味なさそうって言ったのは神様。

 なんかテンションが違うんだって、

当たり前だと思うけどな。



「戻りました」


 やっと帰ってきた。

 確かに寝室からダイニングは遠めだけど、

時間がかかり過ぎてる気がする。


「お待たせしました」


 うん待った。

 何してたのかな。


「では力を抜いてください、私の顔を見ている間に眠れますから」


「待って!」


 急に覆いかぶさってこないで!

 聞きたいことあるから!


「今って何時だった?!」


「11時でした、が、それに乗じて時間稼ぎをしようと言うのですね」


 魂胆がばれてた。

 けどもう11時なの?!

 ホントに長い時間寝てたってこと?!


 えっと?

 20時間は寝てた?

 そりゃのども痛くなる。


 水は飲んでたみたいだけどね。

 飲まされてたって言った方が近いか。


 空になったポットとコップがあるから、

定期的に飲まされてたみたい。

 どうせ口移しだろうけど。


「はぐっ」


「ならば考え事のついでに舐めていただけますか」


 ふぐぅ。

 コリレが指を口に入れてきた。

 頭が。


「お可愛い顔をさらされて、どうなるかは理解しておられるでしょう」


 待って。

 とめて。

 指を前後しないで。

 開けないで。

 待って。


「ほっほはっへ」


「いいえ待ちません、そうですね、五回で留めてあげましょう」


 あ、やだ。

 そんなにされたらもたない。

 待って。

 あ。




 酷すぎる。

 もう無白が沈んでる時間なのに当たり前のようにかぶさってくるコリレが酷い、

 あと五感が全部使えるせいで一瞬で落とされるのも酷いし。


 ”五回”の意味が普通に分かった自分も酷い。

 頭ピンクすぎでしょ、それにしっかり五回で止めてくるし、

それだけボルテージがマックスになったら止められた方がつらい。


 もうホント、ずるい。

 まだ聞きたいことあったのにね。

 私の落とし方をよく理解してるよホント。


 どうしたら自分が落ちるのかもわかってるし、

受け入れない方法も知ってるけど。

 だいたいは受け入れてる。


 コリレに誘われて受け入れない理由なんてほぼないしね。

 けど空腹で目を覚ますなんてことはかなりムードに欠けるから。

 ご飯を食べるのは、ほぼの内に入る。


 あ、ヌードじゃなくてムードね。

 ヌードにかけるなんて意味深すぎる。

 塗られることはよくあるけど、

 さっきもされてたし。


 そういえばコリレがいない。

 でもまだ左腕に首輪がついてるから待とう。


 いやなに?

 腕に首輪がついてるって用途間違えすぎでしょ。

 首でよかったじゃん!


 …もしかして逃げる余地を残したのかな…。


 いや違う!だまされるところだった!

 片手で外すことになるから難しいじゃん!

 見えてても結局外しにくいのこっちだ!


 こう思うって考えて着けたのかな。

 んー、

ただ単に外しにくいのがこっちだから腕に着けたっぽいな。

 それ以上の意図はなさそう。


 腕はこのまんまだから手痕とかはさっきの痕以外ついてない、

 そういえば右腕は見てなかったな…。


 ヤバ、青くなってる。

 手の形に青あざができてる…。

 あながち折れてるって間違いじゃなかったのかも。


 握るだけで青あざってどんな握力してるの。

 私体が弱い…耐久値的な意味で弱いのは自覚してるけど。


 よく考えてみたら青あざなんて、

 コリレとジルママ以外からつけられたことない。


 だいたいが折られるか斬られるか吹き飛ばされてるから、

見る余裕はなかったのかも。

 そういう時は叩き斬ることの方が大事だから自分の傷口なんて見てないしなぁ。


 …どうでもいいか、他の青あざなんて。

 これはコリレが本心から求めてくれたって証だし。

 私への配慮とか後先とか全く考えれなくなってたんだ、

って私の身体に残ってる。


 とっても落ち着く、安心する。

 前はお姉ちゃんしか近くにいる人がいなかったけど、

今はもっといい人といる、

お姉ちゃんも喜んでくれるよね。


 私をこんなに愛してくれて。

 私も同じように愛せて。

 夢中になりあえる相手がいることを、

 喜んでくれる、絶対に。

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