九想 腕があぁぁぁ!

「ねえコリレ、起ぎゴホッ」


 あーのどがやばい痛い、

どうせほっとけば治るか。


 でも今咳したのに起きなかったな。

 どうすれば起きるの?

 いたずらする?

 …そうするとコリレが起きた時に私の準備ができてるって思いそうだなぁ。


 それはまずい。

 何回戦目かわかんないけど始まってしまう。


 けど大きく動いて起こすのもなんかかわいそうだしなぁ。

 この状態にしたのコリレだけど。


 コリレが起きるまで妄想でもしてよう、

できることないし。


 じゃあ太陽枠の話をしよう。

 時間があれば月っぽいものの話も。



 前、説明した燈陽とは別にもう一つ太陽のようなものがある。


 それが蒼日そうび

 こっちも名前の通り青い光ってる天体で、

これも燈陽と同じように動き続けている。


 まだコリレは起きなさそうだね。


 なら燈陽と蒼日が動き続けているってわかる理由、

残りの月の話をしよう。


 地球で言う月と同じ様に夜のイメージになる天体。


 名前は無白むはく


 他の天体と違ってこれだけは動いていないとわかる。

 正確には動いてたらおかしいってことだけど。


 簡単に言うと。

 でかい。


 無白が一番小さく見える時でも、

全体を見るには空の四分の一くらいが見えなくなる。

 そのくらい大きい。


 燃えたりはしてないから近くても暑くはないけど、

圧迫感はとてつもない。


 昨日は夜になる前に戻ったから見れなかったけど、

見ると少し怖くなるし。

 月と比べて大きすぎるからブラックホールとか抜きにしても不安になる。


 コリレは直接見たことはないんだよね。

 だから今いる世界の星だって実感はないと思う。

 私も未だに違和感があるくらいだし。


 見た目の話はこのくらいでいいかな。

 見た目も十分異常だけどもっとおかしいことがある。


 それは夜になること。


 文字通りに夜が来る。

 無白が空に現れると途端に空が暗くなる。


 どうゆうことかわからないと思う、

私も全然わかってない。


 神様が言うには無白が空の光を吸収して…とか、

旗落に生きてる生物の視界をジャックして…とか。


 よくわからないけど燈陽や蒼日が空にあったのに夜になるってこともある。

 空に恒星がある時に夜になると無白がオレンジとか青色になってて、

見た目はおかしいけどとてもきれいで時々見入っちゃう。


 あと燈陽と蒼日が一緒にある時はもっとおかしなことが起きる。

 危険はないけど色々とおかしいからそれを見た時に説明しようかな。


 無白が出ると夜になるって言う前提で話したけど、

逆に夜が来ると無白が現れるって言うわけではない。


 地球では朝が来る事は太陽が出るってことだし、

逆にしても変わらない。


 けれどこの世界では陽の星を中心としていないから一日中夜、

それどころか一年中夜の時だってある。


 だから42時間の時計になってたり。

 地球のように半分にすると窓からじゃわからないからね。


 無白に関する話はこれくらいかな。

 あ、夜空の星は普通に見えるよ、だけど。



 まだコリレは起きそうにない、

死んでるみたいだけど息は当たってるんだよね。


 寝たふり…ではないと思うけど、

そんなことされた記憶ないし、

これがふりだったらうますぎる。


 私より先に起きるってことはないと思うしね。

 すごい動いてたし、

そこまで体力が無尽蔵だとは思いたくない。


 流石に無い…よね?

 なら声で起こしてあげたい、うん。


「コリレ起きて」


 無反応、寝返りすら打ってない。

 私の方のスイッチが入りそうで怖いんだけど。


 なんでこの状態で寝ようと思ったの。

 好きなのは全力で伝わってくるけど!

 私も好きだよ!


 ここはクラブジャムンのシロップよりも甘い匂いで少し心が落ち着く、

けれど同時に興奮もする、当然だけど。


 媚薬みたいなのはないはず、コリレが私に黙ってなければ。

 お風呂に二人で入ってる時も同じ匂いがするから、

コリレ自身の匂いが好きなんだと思うけど。


 香水とか使ってなくてこれだもん、

こうなってるのが私だからって可能性はあるけど。


 ああ、外で寝たときそんなに寝た気になれないのはコリレがいないからか。

 別に分かったところでだけど、もっとコリレを大事にするだけ。


「まだー?」


 全然起きないなこの体臭誘惑ガール。

 実際私が攻めのときはよく誘われるし、

大衆じゃなくてよかったと心底思うよ。


 隣にいるだけでその気になっちゃう。

 気分が高まる、

匂いだから抑えることもできないし。


 コリレ的には私が準備できたらそれでいいから、抑えようとも思ってないし。


 私にとっても全く嫌なことじゃない。

 疲れた時に抱き着いたり遊ばれたりすると寝起きがとてもいい感じになる。

 コリレが外に出られなくてよかったっておもっちゃう。


「起きてー」


 二度寝しよっかな…。

 なんかやめといたほうがいい気がした。

 二度寝したら今よりももっと長い時間動けなくなる気が…、

くっ頭が。


 思い出したくない記憶みたいだ。

 昔の私は二度寝をしてどうなってしまったのだろう。

 考えるのは、止めておこう。


 まだコリレ寝てるし、

流石に起こさないと私の方が耐えられない。


 禁じ手使いまーす。


「好きだよコリレ」


 ぐわっ。

 すごい勢いで離れっ。


「うわっ」


 腕掴まれて押し込まれた。

 左手は緩めだけど、右手の方は痛い。

 あの体のどこにこんな力があるのってくらい。


「私も、ふー、好きですよ、はー、ロヴィリスぅ」


 呼吸が荒いし私の足に腰を擦り付けてるし私の名前呼ぶし、

つまり…。

 寝起き早々発情してる?!


 やばいな…。

 何がやばいって手首の痛みが割としっかり強い。

 どこにそんな力があんの。

 私が低耐久なのも関係してるのかな。


 あー痛くなってきてる完全に逃がす気はないみたい、

こんなに握られたら絶対痕になってる。

 身体中にも痕がついてるはずなのに増やされた。


 コリレのものになってる感じする…。

 この感じがいちばん…。


 っとあぶねー。

 今の時間と状況を確認しておかないと、

だんだん我慢が利かなくなってきてるし。


 あ、顔近。

 匂い、すご。


「待ってコリレ、はー、時間確認させて」


 やっと離れてくれた。

 でも左手が…。

 あの…。


「フー、分かりました、確認しておきます」


 動け…。

 あ、そうですかわかりました。


「じゃあ、明かりつけて、もらっていい?」


 せめて左手についてるものとか。

 身体がどうなってるかとか見ておきたい。


「いいでしょう、ただ逃げないでくださいね」


 これは命令だね。

 上半身が動かなくなった、首と頭は動くけど。

 あ、ライト付けてくれた。


「別に命令なんてしなくてもいいのに」


 左手が外されてないってことはそういうことだし。


「確認も含めていますので」


 ここのドア重いから音も大きめ。


 コリレは心配性だね。

 愛されてるって感じがするから嬉しい。


 自分の身体を確認してるのをみられるのは恥ずかしいし、

ちょうどよかったかな。

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