七想 見えないところも見せる相手

「コリレ、私の下着どう思う?あ、下着姿じゃなくて下着ね。間違えないで」


 これだけ言えば流石に私の下着について言及してくれるでしょ。


「分かりました、ですがそのお姿は私を誘われていると考えてよろしいですね」


「よろしくないです、ただの好奇心だよ」


 好奇心で下着姿になってその下着について聞いてるだけだから。

 自分の好きな人の前で下着姿になって、その姿に言葉を紡がせずに、

身に着けているもののみについて話させようとしてるだけ。


 私の自身もほめてほしいなー、なんて思ってないし!


「ではいきます」


 お。


「まず本題ですがブラジャーから」


 本題からなんだ。


「マスターのお胸を優しくも形が崩れないよう、安定させて」


 お胸っていうんだあ。

 なんかちょっと恥ずい。


「いるにも関わらずブラジャーの材質は毛皮、そのもふもふに覆われたお胸から覗く谷間。曇り空の中僅かな間隙から現れる満月のようにございます」


「ストップ」


 入れたいツッコミがいくつかあるんだけど。


「とりあえず…本題がテキトー過ぎない?!」


 毛皮って情報しかなかったけど?


「ブラジャーなんて装備品ですよ」


 コリレがブラジャー自体には興味無いのは分かった。

 正直その気持ちは分かるけど、

今はもう少し形とかも見てほしかった。


 けどこのブラジャーあくまで猫型の魔物から採れた毛皮を使ってるってだけで、

デザインは普通のブラジャーだと思うから見た目から言う事はほとんどないと思う。


 コリレが言うに家用として作ってもらったらしい。

 だから胸全体を覆ってるわけじゃない。


 ちなみに素材にした魔物は凶暴だし血まみれだしで、

とてもかわいいとか言えなかった。

 それ以前に魔物しかいないフロアだったから襲い掛かって来たところを、

反射で切り捨てただけだし。


 そしてコリレが満月とか言ってるけど、

 この世界じゃなくて地球の満月のことをいってるね。


 コリレは外に出れないからそこら辺テキトーになる。

 写真とか映像とか私の記憶でしか見ることができないんだよね。


 あと、私そんなに大きくない…。


「オッケー、とりあえず落ち着いた」


「ではパンツの話をしますね」


 コリレがパンツとかブラジャーとか言い方がかなり直球なのは、

言い回しを考える必要性が無いからだって。

 隠して言うことに興味が無いみたいだし。


 実際私以外に会話をする相手なんてほぼいないし。

 神様と奥様方とかはたまに来るけどその時も会話は私に任せてて、

ほとんどコリレが応対するときはないし。


 私が外に出る時は必ず神様に挨拶してから行ってるからコリレ一人で神様とかと話すことはないようにしてる。


「端的に言いますと」


 それにコリレは私以外を前にすると頭の回転がすごく遅くなる、

いや鈍くなるって言った方がいいくらいに。


 神様が前に来たときはコリレを膝にのせても普段のように飛びのこうとせずに私の方に体を倒してきた。

 30分くらいぽけーっとしてたら正気を取り戻して私の膝から逃げて行ってた。


 ただ目線が膝をずっと向いてたけど。

 コリレ自身じゃなくて私のね。

 つまりそういう事、かわいi。

「ブチ犯s、失礼しました、私の物にしたくなります」


 キュワッッ?!


 いつの間にそんな言葉遣いを覚えてしまったの?!

 …神様が見繕った本の中にそういうジャンルの物が紛れていたのかもしれない。


 後で神様殴っとこう。

 五発くらい。

 流石に半殺しで抑えるけど。


 それに言い直した後でも私の倫理感はともかく、

常識から考えるとやばめのセリフ。

 私コリレの所有物になっちゃ~う。


 つってもコリレが死ぬまでずっとコリレの物だけど、

好きでもなかった時からずっと。


「では具体的にパンツを履いているマスターの良さを説明しますね」


 オッケー、元々の趣旨からずれてる気がするけどオッケー。


 コリレのスイッチはほぼ入ってるだろうから。

 私のスイッチが押されないように身構えとこう。


「マスターは私と同じくらいの大きさです」


 よく夜はくっつけてるからわかってる。


「そのため私と比べスレンダーな容姿をしておられます」


 身長にしてはねぇ、胸もおしりも小さめなのよ。


「つまり、その美しい裸体に正直着飾る理由はございません」


 おっと?

 大丈夫?

 さっきより直球になってない?


「ですがあえて履かせるのならば、最低でも九十点のパンツを履かせます」


 九十点って言うのはコリレにとってなんだろうなあ。

 下半身で私の服を決めてそう。

 ちょっとオーバーサイズなねこみみパーカーとか露骨にそうだもん。


「私は大人らしさと若さが共存する御身に布が広めのパンツを履いていただきました」


 若さって幼いってことじゃないよね?

 いやわかってるよ?


 コリレは私より幼く見えるし。

 私が攻めの時はむしろそれを武器にして誘ってる時もあるから、

他意はないんだろうなってわかるよ。


 けどね?

 私の身体、からガキ臭いって言ってるように聞こえるの。

 いや言われたことないけどね、別に。


 それでも高校生にさえ入ってない身体が今となっては少しコンプレックスなの!


 腹筋は割れても身長は高くならないの!

 胸板が厚くなってもおっぱい自体は大きくならないの!


 ここに来てから筋肉以外は全く成長しなくなった。

 今まで発達も退化もしなかったよ!


 全部コリレにも言えることだけど。

 コリレも力は強くなってる。


 昔から綺麗な細腕なのは変わらないけど。

 昔は押したり掴んだりするとふにって沈んだのに、

今は押せずに留まるから筋肉はついてるんだと思う。


 コリレは自覚してないけど、割と力強くなってるのにね。


 神様が言うに、老化しないのは魔力が関係してるって。



 はい異世界ファンタジーの王道。

 むぅわりょく。

 けどこの話も詳しいことはまた今度。


 実際すごいこととかやばいことはできる人はいるけど、

絶対長くなるからね。



 魔力が死ぬ細胞の代わりをするから老化しない、らしい。

 神様が青年の姿なのもそれが理由。


「さすがマスターでございます、私がこのパンツを履いてしまうと正に幼女となってしまいますのに」


 コリレも150あるから少女の範疇はんちゅうだとおもうけどね。

 この調子だとしばらく無視しても大丈夫。

 反応すると食べられるから、直接的にも性的にも。


 私とコリレに魔力が関係してるかは分からない。

 だって成長しないもん。


 成長はするらしいんだよ基本的に、

知り合いが大人になるさまを見たことがあるからね。

 私はずっとこの姿のままなのに。


 なぜかというと。

 そういう種族だかららしい。

 生まれた頃から成長しないっていう。


 精神的には成長しててほしいなぁ。

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