第3話

「雪人~、昼飯食おうぜ。」


教師たちの授業も聞き流しつつ、ぼ~っとしていたらいつの間にか昼休みになっていたらしい。空が毎回声をかけてくれるのでボッチ飯にならず済んでいる。


「そういえば来週から夏服になるなぁ。」


「あぁ、担任が朝言ってたやつか。」


「人気者の朝宮の夏服なんて、クラスの男子どもが卒倒するんじゃねぇか?」


「髪型変えただけでざわついてたもんな。桜が人気者で幼馴染として鼻が高い。」


「雪人が朝宮になんか言ってああなったんだろ?なに言ったんだ?」


「え?いや別に何も言ってないが。気分とかそんなんじゃないのか?」


「いやそんなことは、、ああそういうことか。まぁいいや。

そういえば頼みあるんだが聞いてくれるか?」


「あぁ、もちろん。どうした?」


「先生から頼まれごとされてよ。でも一人じゃ大変だからあと二人くらい集めて放課後来てだってよ。」


「あぁわかった。でもあと一人はどうするんだ?」


「当てはある。というよりセットになってくると思う。」


「ん?よくわからないが分かった。放課後な。」


こんな雑談をしながら過ごしていたら昼休みも終わり、授業もうとうとしていたらいつの間にか終わっていて、もう放課後になっていた。

ホームルーム後、空が来た。


「雪人~今日はよろしくな。」


「あぁわかってる。だがあと一人は誰だ?」


「あぁそれはな。もうすぐ来る。」


じゃあもう少し待ちか。と思ったら、桜が声をかけてきた。


「雪人~帰ろ~。」


「ごめんな桜。空の手伝いがあるから一緒に帰れない。」


「どういうこと?風見くん?」


なぜか威圧したような聞き方で空に迫っている。こいつら仲悪いのか?


「あぁ、二人集めて先生の手伝いをするんだ。雪人とあと一人、途中で知り合いの女の子に声かけようかなぁと思っててな!」


空が言った瞬間、周りの気温が五度くらい下がった気がした。


「は?そんなこと許されるわけがないでしょ??

私が手伝うからこれで解決、はやく終わらせるよ。」


空がにやりと笑った。


「あぁ先生のとこ行くか。」


この後職員室に向かったが、手伝いと言ってもプリントを印刷するだけだった。印刷室に行き作業を始めて数分、空と桜がパパっと手際よく終わらせていた。

いやこれ俺いる??


「よし終わった。これは俺が先生のとこもってくから先帰ってくれ。二人とも今日はありがとな。」


「あぁ分かった。また来週な。」


「じゃあね風見くん。」


空と別れた後帰り道、ふと家に材料がないことを思い出した。


「桜、材料ないからスーパー寄っていくな。」


「わかった。じゃあ行こうか。」


近くにあったスーパーに入って今日の晩飯を考える。


「ん~今日は野菜炒めとかでいいか。」


「じゃあ野菜コーナー行こうか。」


俺がカートを押しながら周りを見渡す。桜はその隣を歩いている。

ん~この感じ。


「同棲してるみたいだな。俺ら。」


「ふぇ!?急にどうしたの!?わわわ私たち付き合ってるの!?

これは夢!?」


なんかわけわからんこと言ってる。軽い冗談を言ったら通じないどころか壊れた。


「夢じゃないぞ~冗談だよ~」


「冗談?あぁうんそうだよね、、、」


「どうした?ごめんそんな嫌だったか。次から気を付けるよ。」


「ほんとにもう。心臓に悪いよ。」


そんなこんなで買い物を済ませスーパーをでる。そして家に着いたんだが。


「桜、当然のように入ってくるな。」


買った品物を台所にある冷蔵庫にしまっていたら、桜も調味料類をこの家の人間かのようにしまっていく。


「いいじゃん、こうしたら同棲してるカップルっぽくない?」


「そのネタまだ引っ張るのかよ。」


さっきはめっちゃ嫌そうな顔してたのに、そっちから言うんかい。


「なんか今日は帰りたくないなぁ」


「そんなこと言ってどうすんだよ。おじさんとおばさんの飯も作らなきゃだろ?」


「今日は遅くなるみたいだから外で食べてくるって。」


いや都合良すぎない?帰りたくないタイミングで親遅くなるとか。


「それなら今日はうちで飯食ってけ。」


「やった。ありがと。お母さんに雪人の家泊まるって連絡するね。」


「は?泊まるの?まじで?」


「あっ、雪人のお母さんにも言わなきゃね。」


「「ただいまぁ」」


図ったかのようなタイミングで両親が帰ってきた。

桜が両親に許可は求め、両親はそれを当然のように許可した。

いや緩すぎない?


「というわけで泊ってくね?泊まりなんて小学生以来じゃない?」


「あぁわかったよ。本当に久しぶりだな。」


そんなこと言いながら、二人で夕飯を作り始めるのだった。

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