詩という名の人の愚かさ

野口マッハ剛(ごう)

詩です

誰かが言いました こんなのは誰の役にも立たないと

誰かが言いました そんな世界はあり得ないと

誰かが言いました それは違うと

誰かが言いました 所詮は文字だろうと

誰かが言いました こんなのはやめてしまえと

誰かが言いました 詩の世界と現実は違うと

誰かが言いました あなたは才能があると

誰かが言いました 死にたいと

誰かが言いました そんなことないよと

誰かが言いました 生きたいと

誰かが言いました 誰も助けてくれないと

誰かが言いました 希望はあるよと

誰かが言いました やっぱりダメだと

誰かが言いました 母親が居なくて辛いと

誰かが言いました 行動にその人の性格が出ると

誰かが言いました 自分は家族と一緒が辛いと

誰かが言いました もうあの人は帰って来ない

誰かが言いました もうイヤだと

誰かが言いました 甘えるなと

誰かが言いました 多様性を認めようよと

誰かが言いました うるさいと

誰かが言いました 犯人は自分ですと

誰かが言いました この世界は平和だなと

誰かが言いました 明日はどうなるのだろうと

誰かが言いました 死んだらどうなるのと


きっとオレも見て見ぬふりをしている

テレビやラジオ 日常や生活

どれも当たり前のことのよう

それではオレはいったいどこまでわかっているの?

わかった気でいるオレがイヤになる

誰かが言いました

なんて便利な言葉だろうか

それではオレはどんな言葉を持っている?

何もなかった

気付けば誰かのせいにして

気付けばここに生きていて

それでも時間は止まらない

愚かなのはオレだった

誰かが言いました また作品を読ませてください

あの時から時間は止まったまま

もう 誰かが言いました なんて聞きたくもない

もう 誰かが言いました なんて信じない

けれども さびしい 悲しい

けれども 楽しい 生きていてよかった


とある詩人はこう言いました

オレがこうなったのはあんた(母親)のせいだと

違う こうなったのはオレの意思

母親は悪くないし 詩人も悪くないし

オレの人生だから あとは責任を持たないと


誰かが言いました

無くならないわけは それが人が人だからこそ

ふさいでいた耳を そっと聞こうと開けるように

オレは また雑音の世界へと帰っていく

人が人である以上は

雑音の世界で人々も生きている


誰かが言いました

ありがとうと

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