第4話 桃太郎 その4

山でクタクタになるまで遊んで家に帰る頃辺りはすっかり暗くなっていました。

背中にはたくさんの焚き木を背負い、両手には木ノ実などの山の幸を握りしめ山を駆け下りていました。

もう少しで家、というところで桃太郎は家からいい匂いが漂っていることに気づきました。

「ただいま。今日のじゃ」

おじいたちに今日の収穫物を渡します。

「何があった?」

たくさんのみたことのない料理がたくさんあります。そして壁には……。

「何があった?これはなんじゃ!」

立派な羽織が壁にかけられているのです。

「あいつか?あの男か?あ?」

激昂する桃太郎に対して静かに微笑む2人。

「まあ、座れ」

おじいは静かに言いました。

「座れ。話しはそれからじゃ」

仏頂面で桃太郎はいつもの場所にどっかと腰を下ろすと

「さあ、聞かせてもらおうかな」

とおじいを促しました。

少し嫌な予感を感じながらその予感があたらないように祈るのでした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る