第13話 最終話

ゆめはまだ事故現場に残っていたくるみの霊体に近寄って行き、静かに話しかけた。

「やっと犯人が分かったよ。これで安心して成仏できるね。」

ゆめはそう答えると、抱えていたくっぴーを差し出した。

「…うん…ありがとう…」

くるみは嬉しそうに微笑みながらくっぴーに抱きついた。

「ところで、くっぴーはビルから落ちた時は助けてくれたけど、車に轢かれた時はくっぴーが下敷きになっていて動けなかったために、助けてもらえなかったんだね。…何か残念。」

「うん…でも…くっぴーは上から落ちてきた時に私の体を支えてくれた…ありがとう…」

くるみはそう言うと、くっぴーの霊体を抱いたまま、最上級の笑顔でふわぁーっと浮き始めた。

「…くぴーっ…くるみ、どこ行くのぉ…」

「…くっぴーは…いつまでも…私とずぅ〜っと…一緒だよぉ〜…」

「ひぃぃっ、くぴーっっ!」

くるみは笑顔のまま留まる事なく真っ直ぐと浮かんでいく。

くっぴーは守護霊としてまだ人間世界に居続けたかったのだが、くるみの強い愛の力でそのまま一緒に天へと昇って行ってしまったのだった。


そんなくるみとくっぴーの霊体を、ゆめは見えなくなる最後まで笑顔で見届けた。


見届けた後、ゆめはしろくまに話しかけた。

「ところで、何でしろくまさんは、ガン?さんのことを知らなかったんですか?」

「そういえば、職場も住んでいるところも近いし、毎日私のことを見てくるから、気になってはいたんだけど、全く話しかけてこないから、全然知らなかった。…守護霊さんなら、教えてくれても良いのに。…今度こちらから話しかけてみようかな。」

ゆめはガン?が見た目に反してシャイな一面があることに気付いた。

そして改めて人(守護霊?)は見かけに寄らないということを学んだ。


ようやく全ての真相が明らかになり、さっそくココとみくにスマホで報告の連絡をしてから、家に帰った。


そして数日が経ったある日、

くるみの事件の痕跡はすっかり残っておらず、何の変哲もない穏やかな毎日が続いていた。

ゆめとココとみくは、今日もいつものように、コンビニでプリンを買い、楽しそうにおしゃべりをしながら、歩き食べをしていた。


その頃、くるみの家では、

ゆうたがくっぴーを抱えながら言った。

「そういえば、このぬいぐるみ、すっかりしゃべらなくなったなぁ…」


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光の移り変わり 神五自由 @CreedSakuSaku

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