第10話
○○ビル。外はまだ明るい。少し風が強くなってきており、街路樹の葉が揺れ動いている。
ゆめは再び○○ビルの入り口に入り、受付のくろくまとしろくまに話しかけた。
「すみません。社長のゆうたさんはまだいらっしゃいますか?」
「あっ、ゆめさん。まだ二階の事務所の中にいると思うけど…ちょっと待ってて。」
しろくまはそう言うと、受付の電話でゆうたの携帯にかけた。
トゥルルルル、トゥルルルル、…カチャッ、
「…もしもし、社長、今大丈夫ですか?またゆめさんがお話をしたいと言ってるのですが、お時間取れますか?…」
「…はい、分かりました。失礼します。」
カチャッ
「まだ社長室にいるみたいだから、直接来てくれれば会えるみたいだよ。」
「ありがとうございます。行ってみます。」
ゆめは階段で二階の事務所まで向かい、事務員のガン?に話しかけた。
「失礼します。社長のゆうたさんはいらっしゃいますか?」
「あら、あんた、また来たの?ちょっと待ってて。」
ガン?は奥の社長室に行き、すぐに戻ってきた。
「入って良いって。奥にいるわ。」
「ありがとうございます。」
ゆめはガン?に会釈をして、奥の社長室のドアをノックして中に入る。
「社長すみません。またお聞きしたいことがありまして…」
「どうぞ。ソファに座って。今度は何だい?」
ゆめはソファに座ると同時に話し始めた。
「…実は、くるみさんは車に轢かれる前に、誰かにビルの上から突き落とされたらしくて、…それで、下に落ちた時に、何かを潰してしまったそうなのですが、知っていますか?…」
「えっ、くるみが突き落とされた??…それは聞いていなかった…あっ、でも、そういえば、…くるみが轢かれた時に、くるみが大切にしていたぬいぐるみも下敷きになっていたって、警察の人から聞いたよ…」
ゆうたは一度深呼吸をして、改めて話を続けた。
「…そのぬいぐるみは、くるみがいつも大切にしていたクマのぬいぐるみなんだけど…実は、そのぬいぐるみは…くるみとだけしゃべっていたんだ…」
「えぇーっ?…しゃべるクマのぬいぐるみですかぁー?…」
〘…さっきミミさんが潰れた音って言っていたのは、もしかして、その、しゃべるクマのぬいぐるみのことだったのでは?…ってことは、そのぬいぐるみなら、くるみさんが落とされた時のことを知っているかもしれない…私とも話ができるかなぁ…〙
「…あのぉ、そのぬいぐるみを見せてもらうことってできますか?」
「できるよ。…今は家のくるみの部屋に置いてあるから、一緒に行くかい?」
「おっ、お願いします。」
こうして、今度はゆうたとくるみの家に行き、しゃべるクマのぬいぐるみを見せてもらうことにした。
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