第4話
○○ビル。外から見るとキラキラ光る真ん丸な形をしていて、まるで宇宙船のようだ。周りとは異なる近未来的な不思議な形をした建物である。
中に入ると、向かって正面に受付、右奥に階段、左奥にエレベーター、そして左側にはソファーがいくつか並んでいる。
そして正面の受付には、爽やかな水色の制服を着た女性が二人立っている。名札には二人とも『くまの』と書いてある。
「すみません。先ほど外で交通事故があったと思うんですけど、階段から黒い服を着た背の高い男性を見かけませんでしたか?」
ゆめが尋ねると、
「あー。そういえばさっき凄い音が外から聞こえたけど、あれ、交通事故だったんだぁ…
んー、…黒い服を着た男性なんて見てないなぁ。そんな人、階段から降りて来なかったと思うけど…くろ、覚えてる?」
「んー。見てないけど…」
〘おかしいなぁ。確かココは、背の高い黒服の男性が階段から降りて行ったって言っていたはずだけど…〙
「その時、他に怪しげな人とか見かけませんでしたか?」
「…いや…あっ、でも…その時だったか…がたいの大きいマッチョな女性が、急いで階段から降りてきて、電話しながら、キョロキョロして出て行ったのを見たよ。」
くまのくろがそう答えた。
〘階段から降りてきて、キョロキョロ?…何をしていたのだろう…怪しい…〙
「服装はどんな感じだったか覚えていますか?」
「んー、赤い長袖ティーシャツに、黒いジャージの長ズボンだったと思う。ねぇ、しろ。」
「うん。…しかもその人…確か…ここのビルに良く来ていて、しかも…、うちのアパートの隣に住んでいる人によく似ていたような…」
〘がたいの大きな女性…赤いシャツに、黒いズボンって…ココはその人を男性だと思い、洋服も見間違えたってことなのかなぁ?…その女性に会って確かめてみよう。〙
「もしよかったら、その人の家まで案内してもらえませんか?」
「…んー、その人だったとは確信は持てないけど…。では夕方五時に仕事が終わるから、その時またここに来て。帰りに案内するわ。」
「分かりました。では五時にまた来ます。」
ゆめはくまのしろと会う約束をした。
外ではようやく救急車とパトカーが到着したようで、あたりは騒々しくなっていた。
約束の五時までまだ時間があるため、ゆめは一度家に戻ることにした。
〘…そういえば、さっきの受付の人たち、名前が『くまのくろ』に『くまのしろ』って。クスッ。まるで『くろくま』と『しろくま』みたいな名前だったなぁ。(笑)〙
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