第16話:第3章⑤信じられない3人

 ――


 おぼろげに見える光景。


 そこは公園だろうか?


 僕は1人佇んでいた。


「ほんと信じられない」


 僕に声をかけてくる子がいた。


 その子は?


 ――





「ほんと信じられない!」


 おぼろげにはっきりと声が聞こえた。


 そこは川原だった。


 僕の目の前を3人の女性が見つめていた。


「ほんと信じられない。あたしたちをほっといて1人寝ているって、どういうこと? こんな無神経な人があたしの封印を解くなんて、信じられない」


「まぁまぁ、いいじゃない。疲れていたんでしょ? まぁ、座りながら寝るのは器用だなぁとは思ったけど。あと、ヨダレ汚いのは気にしたほうがいいかな」


「――睡眠不足はお肌の敵」


 3人とも僕に目線を合わせるために身をかがめてくれた。こうして見ると、3人とも発育がいいんだな。顔もいいし。これで、中身がよければ引く手あまただろう。


「君たち、見た目はいいのに本当にもったいないな」


「「「えええっっっ!!!」」」


 僕は寝起きだからポロっと心の声をダム決壊させてしまった。


 濁流のごとく3人は轟音を響かせた。


「信じられない信じられない信じられない。なに小っ恥ずかしいこといっているの?」


「あなたね、私たちをそんな目で見てたの? ほんっと信じられない」


「――ほんと……信じられない」


 3人とも嫌な仕事場のパート終わりのようにそそくさと立ち去ってしまった。


 これくらいで見放すなんて、こいつらほんと信じられない。


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