第4回

 その言葉に、泉と沖田は同時に声を上げた。

「さすがに他のヤローどもと同じ部屋にはできん。さりとて、ただでさえ部屋不足で、個室を与えることもできん。なら、同室しかあるまい」

「いや、いや、いやいやいやいや⁉」

 慌てて抗議の声を、泉はあげる。

 沖田の先程からの態度、友好的とは程遠く、険悪と言っていい。もっと言うなら喧嘩腰だ。

 そんな人物と同室で過ごすというのは、あまりにも、辛い!

「お断りです」

 さらには、当の沖田が拒絶を示した。

「命令だ」

 しかし土方も譲らない。

「こいつは先程、近藤さんに……“局長”に、入隊を許可された。で、ある以上、こいつの今後の処遇は隊の職務だ。なぁ、一番隊組長」

 隊の重職にある以上、隊の方針には従わねばならない。

 近藤が許可をし、近藤より運営を一任されている土方の命令を、立場上、沖田は聞かねばならない。

 しかし――

「お断りです」

 なおも沖田は拒絶する。

 変わらぬ声と、変わらぬ表情で。

「オマエ……言っている意味わかっているのか?」

 土方の声が、一段重くなった。

 文章にこそしていないが、「公式の命令に背く」ことは、組織においては最大の禁忌である。

 それこそ、鉄の掟たる「局中法度」を擁する新選組においては、軽々しく扱うことはできない。

「わかっていますよ。先程も言いましたが、私はそこの人を隊士として認めていません。隊士でない者を、隊の規律にしたがって、面倒を見るいわれはないでしょう?」

「屁理屈をこねてんじゃねぇ!」

「屁理屈でも理屈です」

 怒鳴る土方に、沖田は一歩も譲らない。

「刀を持って戦場に立つ者ならば、それがなんであろうが隊士として一定の配慮はしましょう。しかしそこの人は賄い方なんでしょう? 雑用係だ、隊士じゃない」

(雑用係……?)

 勝手な言い分に、わずかに泉はカチンときたが、ギリギリで踏みとどまる。

「他にも似たようなやつはいるだろう。全員が全員、現場に出ているわけじゃねぇ」

 一組織を運営しようとすれば、後方で雑務を行うものは必須である。

 事実、隊士の中には、一度も刀を抜くことなく、務めを全うした者もいる。

「それでも、です。いざとなれば戦うことを前提とし、刀を差している者と、その必要がなく刀すら持たない者では、雲泥の差があります。少なくとも、仲間とは思えません」

「あのなぁ………」

 なおも譲らぬ沖田に、土方の眼はさらに険しくなる。

「ましてや……女同士だから、なんて……そんな理由で押し付けられるのは、まっぴらごめんですよ!」

「そうか……なら……」

 二人の間の空気が、さらに濃く、重いものになる。

 一触即発――幕末最強クラスの剣士同士が間に放つには、あまりにも、危険なものであった。

「わかりました!」

 それに耐えきれなかったのは、だれあろう泉であった。

「おい……?」

 いきなり割って入った彼女に戸惑う土方が、さらに次の言葉を吐く前に、泉はまくしたてる。

「なら、ボクが隊士として資格十分と判断できれば、いいんですね!」

「はぁ?」

 今度は沖田が戸惑いの声を上げる。

 侍でもないものが、人斬り集団の一員と認めさせると言い出せば、そんな声もあげよう。

 しかし、泉は本気であった。

「ボクは料理人です。料理であなたを納得させる。それでいいでしょう?」

「それでいいって……どうやって納得させるつもりですか?」

 沖田の疑問に、泉は返す。

「あなたの食べたいものを言ってください。その注文に完璧に応えます。それができたら、認めてください」

「ほう……言いましたね」

 沖田の目に、わずかに嗜虐しぎゃく的な色が浮かぶ。

「わかりました……いいでしょう、これも座興だ。ならば……」

 年頃は同じくらいだと思われた沖田の顔が、妖しい空気を漂わせる。

 どれだけか弱く見えても、彼女もまた、間違いなく、数多の敵を斬り殺してきた、幕末の「人斬り」の一人なのだ。

「新選組局中法度、その第一条は知っていますか?」

 ゾッとするほど、優しい口調であった。

「いえ、知りません……」

 目を向け、声をかけられているだけで、逃げ出したくなるほどのプレッシャーがあった。

「士道に背くあるまじきこと……まぁつまりは、己の役割を果たしましょうってことです……」

 一歩、いや、半歩、泉に近づく。

「沖田……!」

 土方がその半歩の意味に気づき制するが、沖田は止まらない。

 この半歩、泉にはどういう意味を持つかわからなかった。

 それは、沖田の「一刀で確実に相手を殺せる間合い」――

「……………!?」

 本能が命に関わる恐怖を感じ、泉は凍りつく。

「あなたが隊士たる資格なしと判断されれば、死をもって償ってもらうということですよ」

 断れば、殺される!

(なんで、殺されかけた翌日にまた殺されかけなきゃならないんだ………!)

 泣きそうになる泉、というかもう泣きかけであった。

「キミの道は二つです。やるかやられるか」

「それ、やるかやらないか、じゃないんですか……?」

「いえいえ、“やる”か“殺られるか”ですから、合ってますよ」

「うわぁ………」

 助けを求めようと、土方の方を向いた泉であったが、静かに首を横に振られてしまった。

 もうやるしかないという段階であった。

「わかり……ました……」

 がっくりと肩を落とす。

「じゃあ沖田、お題を出してやれ。それがお前の役割だ」

「はぁ、そうですね」

 泉を他所に、話は進む。

「さて、どうしたもんでしょうね。別にそれほど激しい好き嫌いはないんですが……」

 いざ始まるとなると、出題に困ったのか、腕を組んで思案している。

「オメェ、甘物好きだろ。それでどうだ?」

 土方が提案する。

「いやぁ、そういうのは昨日土方さんが召し上がったようですから、別のものが良いですねぇ」

 先日のやりとりで、土方は泉の「甘い物」作りの技能は承知済みである。

 ならば、それを活かせば――と思ったのだが、阻まれた。

「オマエ、その手の話どこで聞いた? いや、誰に聞いた?」

「大石くんですよ」

「あの馬鹿……」

 大石――昨日土方とともにいた、「鍬の字」こと鍬次郎である。

「じゃあもううどんとかにしろよ、うどん。お前好きだろ」

「それも好きですけどねぇ、せっかくだし、違うものの方がおもしろい……ああ、そうだ」

 ようやく、何かを思いついた沖田が、口元に手を当てながら言う。

「死地に赴く者にふさわしい料理、などどうでしょう?」

「ええ……?」

 具体的な料理名を上げてくれるとは思っていなかったが、せめて肉料理なり魚料理なり、それくらいの大雑把な指定でもくれると思ったら、予想外のオーダーが入った。

「あの、それは、どういう……?」

「それを考えるのはキミの仕事でしょ?」

 その素性を知らぬ者が見たら、愛嬌すら覚えるだろう笑顔で、沖田は言う。

「そんな……」

 言われて、泉は愕然とした。

 こんなあやふやな基準の注文では、何を出しても、いざとなれば「違う」と言われれば終わりだ。いやむしろ――

(それが狙いなのか……?)

 と、邪推さえしてしまう。

「じゃ、お願いしますよ。副長自慢の料理人サン」

「おい、沖田! どこに行く!」

 言うだけ言うと、くるりと背を向ける沖田に、土方が言葉を投げる。

「ちょっと出かけてきます。どうも最近、この屯所は息が詰まる」

 それだけ言い残すと、それ以上は一切応えず、沖田は立ち去ってしまった。

「ったく………アイツも厄介な」

 ふぅとため息をつきつつ、頭をかく土方。

「それにしても、オマエも無茶なことを言い出すな」

 自分の命を材料に、沖田に挑んだようなものである。

 土方からすれば、武士でもない者が随分と思い切ったことをすると、感心する以上に呆れる話であった。

「なに言ってんですか」

 だが、呆れたいのは泉の方も同じだった。

「あのままほっといたら、あなたたち、殺し合いしかねない空気だったじゃないですか」

「いや、さすがにそれはねぇよ」

「ホントですか?」

 泉は切った張ったのやり合いなどしたことがない現代人である。

 だが、先程の二人の間に、確実に殺気が漂っていたのは感じ取れた。

「あなたたち……仲悪いんですか?」

「そんなわけじゃねぇが」

 泉の質問に、土方は言葉を濁す。

「あいつもあそこまで陰湿なヤツじゃなかったんだが………」

「ああ、確か、出身地同じなんですよね」

 以前にちらっとだけ見た、テレビの歴史番組で言っていたのを覚えている。

「なんで知ってんだ……?」

「あ……いや、ええっと~……」

 後世においては、新選組は幕末を語るに外せない存在だが、この時代においては、幕府から京都守護を命じられた会津藩の一出先機関に過ぎない。

 ましてや、その構成員のプライベートなど、まともな町人が知っている方がおかしいのだ。

「っていうか無茶苦茶ですよ! なんでいちいち、あんな殺し合いみたいな感じになるんです」

 現代人の泉からすれば、非常識を通り越し、理解不能だった。

 いや、正確に言えば、「理解したくもない」であった。

「食い物のことなんかで殺し合って、どうするんですか」

「なんかって……オメェ、自分の仕事を低く言うんじゃねぇよ」

 つい先日「たかが食い物屋」と言い放った鋤次郎相手に啖呵を切った者が、食い物を「なんか」と言ったことに、土方はやや落胆の色を見せる。

「そうじゃないですよ。そうじゃなくて………」

 泉もまた、曲解されていることに気づき、説明しようとするが、上手く言葉が出てこない。

「……とりあえず、厨房を見せてください」

 沖田の難題に応えるにしても、まずは作る場所を見なければ、話にならない。


 台所にたどり着いた二人。

 百人近い隊士が詰めている新選組の屯所である。

 その食事を作る場所も、相応の広さと規模があった。

 だが――

「ああ~~~やっぱこうなりますよね」

 落胆する泉。

 煮炊き用の窯は数もあるし、大きさも十分。

 燃料の薪を蓄えた小屋もあり、外には井戸もある。

 一見すると用途に十分に見えるが、泉のよく知る現代のそれとは、決定的な違いがあった。

「座り作業専用なんですね……」

 この時代の台所は、窯のある土間と、調理を行う板場という形になっている。

 しかし、焼く・煮るなどの作業に適した囲炉裏を作る関係で、板場は座り作業を前提に作られているのだ。

「なにか問題があるのか?」

「う~ん、この台所の構造じゃ、少人数ならまだしも、大人数の調理を安定して行うのは厳しいですね」

 土方に問われ、泉は答えた。

「立ち仕事が可能で、できれば煮る、焼く以外にも揚げるなどができる構造にしてほしいですね」

「なるほど。わかった」

「え?」

 あっさりと返す土方に、泉は戸惑う。

「大工を手配する。料理屋などの築行も経験のある大工だ。他に要望があれば全部言え」

「えっと……いいんですか?」

 この規模の炊事場をリフォームするとなると、かかる予算はかなりのものとなるだろう。

「お金……かかると思いますよ?」

「そういうのを心配するのはこっちの仕事だ」

 泉の問いかけに、土方は至極当然のように答えた。

(意外だなぁ……)

 彼女の知る、あくまでサラッとした知識としての「土方歳三」は、戦いの鬼だとか、修羅だとか、そういう戦闘特化型のようなイメージだった。

 だが先程から話していて、彼が至極リアリストな人物ということが分かった。

 問題が発生すれば、専門家の意見を聞き、すばやく対策を講じる。

 必要なものがあれば揃え、そのための予算を集め、交渉を行う。

 現場の意見は、対応可能かどうかはともかく、できるだけすくい上げる。

(剣客というより……なんというか……まるで、プロデューサー業の人みたいだなぁ)

 新選組という新興の、それも野武士同然の連中の集まりを維持するためには、既存の組織と同じ手段を選んではいられないのだろう。

 この、ある意味での「手段を選ばない」姿勢こそが、土方歳三という男の最大の長所なのかもしれない。

「他に必要なものはあるか?」

「う~ん、そうですねぇ」

 設備が整うのなら、次は材料である。

 さてどうしたものかと考え始めたところで、別の声が二人の耳に入ってきた。

「沖田先生、居られませんか、沖田先生!」

 手になにかの包を持った隊士が、沖田の名を呼びながら現れた。

「どうした?」

「これは、副長!」

 土方に問われ、居住まいを正す隊士。

「あの、こちらに沖田先生が居られると聞いたのですが……」

 その男は、沖田の一番隊配下の平隊士であった。

「あいつならどっかに行った、どこに行ったかはオレにもわからん」

「左様ですか……せっかく処理してもらったものが届いたのに……」

 はぁと、残念そうなため息を吐く隊士。

「なんだそれは?」

「ええ、こちらはですね……」

 土方に問われ、平隊士は持っていた包みを二人の前に差し出し、開ける。

 そこにあったのは、肉の塊であった。

「これは、豚肉ですか?」

「屯所内で育てていた一頭が、頃合いでしたので」

 部所は腹肉の辺りだろう。

 現代のものより、やや脂肪が少ないが、肉は締まっている。

 この時代の食肉と考えれば、そう悪くない品質であった。

「沖田先生に食べていただこうと思ったんですがねぇ……新鮮な肉なら、臭みも少ないでしょうし」

「沖田に?」

「ええ、沖田先生……先日、例のお医者様に来ていただいた際、栄養を摂り、休息を取るようにと言われたじゃないですか?」

 平隊士の顔が、さらに暗くなる。

「なのに、先生……『獣の屍肉を食らってまで長生きする気はありません』と、食べるのを嫌がって……」

「あいつ……」

 この時代、肉食は決して”冒されざる禁忌きんき“というものではなかったが、それでも生理的に拒否反応を示す者も少なくはなかった。

「今日だって、体調が優れないようで、稽古もお休みに成られていたようですし」

「あいつ、そんな状態だから『死地に赴く者にふさわしい料理』、なんて言いやがったのかな」

 忌々しげに、土方はこぼした。

「どういうことです?」

 泉が尋ねる。

「ああ、ウチには、死番って制度があってな」

 新選組は、その職務上、いつ死ぬかわからない危険と隣り合わせである。

「複数人で組を作り、順番でその日最初に、敵が潜んでいるかもしれねぇ場所に突入するヤツを決めるんだ」

「突入って……それ……」

 例えば、それこそ反幕不逞浪士が潜んでいるかもしれない建物に突入するとしたら、当然、向こうも待ち構えているだろう。

 最初に踏みこんだ者は高確率で迎撃され、ケガを負い、最悪の場合は命を失う。

「死番の者は、その日は朝から何も食えねぇ奴も多い」

「そりゃあ……死ぬかもしれないとなると……」

 自分ならその日どころか、三日前から、なにも口に入らないかもしれない。

「いや、そうじゃねぇ」 

 だが、実態は違った。

「万が一斬られれば、ハラワタが出て、見苦しくなるからな。腹の中にあんまり物入れたくねぇんだよ」

「そっちですか……!?」

 嘘か真か、剣術諸流派の一つには、「真剣での立ち会いの時は、あらかじめ下剤を飲み、腹の中を空にする」というものもあったといわれている。

「じゃあそもそも、なにも食べない、が正解になるじゃないですか!?」

「そうなるな」

「そうなるなじゃないですよー!!」

 ようやく、沖田の魂胆がわかった。

 このお題では、なにを出しても、ふさわしくないと一蹴されるのだ。

「なんて底意地の悪い人でしょう」

「それについては賛同する」

「ま、待ってください!?」

 泉と土方の会話を聞いていた平隊士が、声を上げた。

「沖田先生は、良い方ですよ……いや、あんな情に厚い方はおられません」

 それだけは譲れないとばかりに、平隊士は言う。

「それこそ、死番の隊士……中には、まだ実戦になれていない者の時、沖田先生は必ず、その補佐をしてくれているんです」

 武士と言えど、太平の世が二百年も続けば、刃を交えたことのない者が大半になってくる。

「なにかあった時、即座に自分が助けに入れるようにと……自分も、救われたクチです」

 そんな中、新選組の隊士募集に応じた者たちの中には、生計が立てられず、家族を食わせるため、恐怖に震えながら戸を叩いた者も多い。

 この平隊士も、そんな一人だったのだろう。

「まぁ……たしかになぁ……」

 平隊士の気持ちもわかったのか、バツが悪そうな顔になる土方。

「ですから、余計に元気になってもらいたくて、豚肉を用意したんですがねぇ」

 改めて、手の中の肉の包みを見ながら、平隊士は嘆息した。

「ん…………」

 そんなやり取りを見ているうちに、泉の頭の中で、バラバラのなにかが組み上がるような感覚になる。


「言われたことだけやるのは三流だ。相手の注文のさらにその先を読み、本人が口にしていなかった欲求に応えるのが、一流だ」――


 またぞろ、父の言葉がフラッシュバックする。


「俺は超一流だから、本人が自覚していない深層の欲求すら読み取るがな」――


 また浮かんできた。


「まぁお前には無理か……このレベルは」――


「やってやろうじゃねぇかこのクソおやじ!」

「うわびっくりした!?」

 いきなり叫びだした泉に、土方がたじろぐ。

「どうしたオマエ、大丈夫か?」

「……大丈夫です。っていうか、なにを作るか思いつきました」

「そりゃいい」

 泉の言葉に、朗報とばかりに土方は声を上げる。

「ただ……その……例によって」

「わかっている」

 なにがなにをと言われる前に、土方は察し、人を呼ぶ。

「誰かいるか!」

「へい!」

 即座に現れたのは、先日も土方に同行していた、鍬次郎であった。

「はええなオマエ」

 あまりにも早く現れたので、ちょっと土方は引いていた。

「そりゃあ、兄ィの呼び出しなら即座に現れますよ俺は!」

「だから兄ィと呼ぶなと言ってんだろ、オレは末っ子なんだよ」

 土方歳三は、十人兄妹の十人目である。

「適当にヒマしているヤツを何人か集めて、こいつの言うとおりに動け」

「はっ……って、またコイツっスか……」

 あからさまに嫌な顔をする鍬次郎。

「文句あるのか?」

「ないっス!」

「助かります」

 材料を集めるのもそうだが、それ以上にその材料を元にして素材を作るのに、絶対的に人手が足りない。

 なにせこの世界には、調理に必要なガスも電気もないのだ。

 人力に頼ると、相応の頭数が必要となる。

「あとは……」

 そして、調理場内を見回す。

 材料があっても、それらを用いる調理器具がなくては始まらない。

 煮炊き用の窯と、あとは――

「ん?」

 ふと、あるものが目に入る。

「そうか……そうだよなぁ……コレがあるならアレもある」

 そして、再び視線を戻し、平隊士の手にある豚肉の包に目を向ける。

「あの、その豚肉……使わせてもらっていいですか? 沖田さんに出す料理に使いたいんです!」

「え、ええ……構いません。むしろ、使ってやってください」

 日頃の恩返しにと用意したものが無駄にならずに済むと知り、平隊士は笑顔で承諾した。

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