火纏い魂
薬売りは、薬を作り、飯を食い、風呂に入り、寝た、その夜半鐘が鳴り、目を覚まし、雪の降る中、火事を観に行く薬売り…そこでは鳶連中が周りの家を壊し広がれない火が舞い上がった、
その時、薬売りの前に人の顔をした火が見えた。
(人の顔をした火)なぜここに居る、私はもう尽きる、娘をお前にやる、娘は隣町に商売しに行っている、頼むぞ。
(薬売り)久しぶりだな、治してやったのに火事とは災難だ、人の世話をするのは面倒でな断るよ。
(人の顔をした火)私の旦那はもう死んだ、娘を一人にしてあの世に行くことなど出来ない、
お願いだ、娘を頼む。
(薬売り)断る、娘もいい歳だ一人で生きていける
(人の顔をした火)娘はまだ16だお前に何がわかる。
人の顔をした火が薬売りを操ろうと襲いかかる、一方人混みを掻き分け逃げる薬売り
(薬売り)自我を失うな、お前の名を思い出せ
(人の顔をした人)抵抗するな。
(薬売り)時間が経てば火が消え、お前も消える、それでも戦うか。
(人の顔をした火)お前のように操れる人はなかなか居ない私は運がいい、何もせず消えるよりも、何かして消えてやる。
(薬売り)そうか、わかった。
人がいない所に行き刀を出す薬売り。
(薬売り)お前は消えても悪霊として現れるその前に我が消してやる。
(人の顔をした火)刀で切れるわけがないであろう、その体をよこせ。
白い霊気が現れ薬売りの身体から刀へ流れた。
(人の顔をした火)なんだ…その白く纏っているものは。
薬売りが刀を一太刀すると、火は消え、草は揺れ、地は下がった。
(薬売り)お前の娘は一人で生きていける、個人として見てやれ。
薬売りは火事が尽きた所に降る雪を見て、宿に戻った。
(宿屋の女将)火事凄かったな、お前も観に行ったのか?
(薬売り)ああ、悲しい火だ。
(宿屋の女将)火の気持ちでもわかるのかい?
(薬売り)さあな、もう寝るとするよ。
(宿屋の女将)お前さん変わってるねぇ、今夜は雪で寒いし、私も寝るとするよ。
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