#7 2話「優秀な部下ほど、メガネ属性」Part2
◇
喫茶店の地下。
1Fの客席より少し広い部屋は、店の資材庫となっており、棚が並んでいる。
棚には、‘‘常温棚‘‘と‘‘冷蔵・冷凍棚‘‘と掲示され、野菜、肉、魚、食器等が保管されている。
地下に降りたソウは、資材庫を横切って部屋奥の装飾が施された鉄扉に手のひらで触れた。
数秒後、手のひら下の鉄が光を発し、鉄扉横の壁に液晶のコマンド入力ボードが現れた。
ソウはボードに目的地の数値を入力し、「完了」とボードに向けて発した。すると、ボードが壁へと変わっていく。そこに存在しているのに目視で認知できないなんて、毎回思うが最先端技術っていうのは恐ろしいものだなと、鉄扉の先が、目的地に接続するまでの短い時間の中で、独り言を呟いた。
しばらくすると、鉄扉の装飾が二種の獣が向かい合う構図へと変化する。獣と獣の間には背中から翼が生えた人間が描かれている。この装飾にはモチーフがあるということだが、見習いのソウにはまだ、明かされていない。
装飾が変化しきった頃、鉄扉が重々しい音を発しながら開かれた。
鉄扉向こう側から、黒色の丸メガネを掛けた長身の男が現れた。
「今、研究で忙しいのだが・・・・何か用ですか? ソウさん」と黒メガネ君が、呼び出したソウに対して問いかけた。・・・・少し苛立っている。眼光が恐ろしい・・・。
「クラウス博士、お久しぶりです。オーナー・・・いやっ、サイト様がお呼びです」
研究が阻害されてイライラを募らせているクラウスに対して、サイト様のせいです!!と要件を伝えた。
はぁ~~と溜息をついたクラウスは
「何の用ですか?と聞いているのです、ソウさん。内容を教えてください」
「あっ・・申し訳ございません!え~~~とですね」
ソウは上で起きた出来事をクラウスに伝えた。王国軍のギル長官とラガルガ大将がサイト様に対して勇者の対処を一任したこと、その際の条件に異種族の人権改善を盛り込んだこと、ラガルガ大将にマーキングを付けたこと等々。
クラウスは「なるほど」と時々、相槌をつきながら手元の魔書に何かを書き込んでいく。ちなみに魔書とは、一般的には魔導書や魔法書といった文書の類を示すが、サイトが率いる組織内では‘‘魔力的簡略化記録書‘‘を略して魔書と呼んでいる。
元で呼ばれていないのは、「読みにくい」とサイトが発言したせい・・・・と広まっている。余談だが、この魔書を開発したのはクラウスであり‘‘魔力的簡略化記録書‘‘というネーミングを気に入っていたとか・・・・。
「分かりました。これは、早急に話し合わなければなりませんね。ハギとサクラは上にいるのですか?」クラウスの問いにソウは頷く。
「少し待ってもらうよう話しておいてください。私は、この情報を他の幹部に流してから伺いますので」
「承知しました!では、クラウス博士、お待ちしています」クラウスはソウに出した指示が理解されたことを確認後、鉄扉を閉め端末を立ち上げた。
端末は、お手頃な大きさで液晶画面半分、入力ボード半分の構造となっている。入力ボードを操作し、情報を組織の共有ネットワークに【重要!】と書き、幹部だけが覗けるように鍵を掛けた。
挙げられた情報には、添付書類があり、草案と表記されている。これは、先ほどクラウスが魔書に書き込んでいた内容だ。あの短時間で計画を考えるとは・・・さすが、組織の‘‘脳‘‘と呼ばれる存在だけある。
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