#6 2話「優秀な部下ほど、メガネ属性」Part1



3人の客人を店の外まで送り、姿が見えなくなるまで、頭を下げていたサイトとメイド2人は店内に戻ると、2階の倉庫部屋に移動した。




「迫真の演技だったな!サクラ」




サイトは、ラガルガにぶつかったピンク長髪メイド、サクラに「よくやった」と頭を撫でる。




「もっと、褒めて~~。褒めて~~」とサイトに抱き着くサクラ。



そんな、2人を冷えきった目で眺めている青白短髪メイドのハギ。




モニター前では、カタカタカタっとソウが操作盤を使って、今回のレポートを一心不乱に作成している。


こういう空気の時は、関わらないことが最善策と誰が見ても理解できるからだ。




サクラへの撫で撫でが、30秒を経過した頃、痺れを切らしたハギがサイトとサクラの間に割り込む。




「い・つ・ま・で!!引っ付いている!離れなさい!サクラ!」




「そして!サイト様!サクラを甘やかさないでください。調子に乗ります!」




「だいたいですね!・・・・・」とサイトとサクラを強引に引き離した後、二人に向けてそれぞれ説教をし始めた。




二人は仲良く正座し、30分間みっちりとしごかれた・・・・。




時々、サイトがソウに向けて、目で「助けてくれ~~」と訴えかけるが、ソウは黙々と作業に打ち込むことで、目を合わせないようにした。だって・・・・ハギねえさん怖いもん・・・・。






「さて、サイト様?いよいよ、計画が動き始めるということでよろしいですね?」




ソウが作成したレポート内容を確認しながら、まだ、正座の呪縛から解放されていないサイトに向けて問いかけた。




「そうだ。勇者達を‘‘合法的‘‘に捕らえることができる。これで、虐げられている異種族に対して明るい未来を約束できる可能性が見えてきた」




「そうね~~。でも~~。私は~~。サイトにぃ~の。側に~~。ずっ~~~と、要られれば~~。いいけどね~~」とサクラはサイトに寄りかかり、肩に自分の頭を密着させる。


「甘えん坊だな」とサイトは優しく頭を撫でてやる。




「そこ!密着しない!」


少し目を離したらこれだ。と声を荒らげた後にため息をつく。




「いいじゃないか。ハギ。昨晩はお前にしてあげたじゃないか。妹のサクラだけ除け者にはできないだろう?」




サイトはいつもキリッ!とした真面目で凛々しいハギちゃんが、愛らしく「撫でてください」と求めてきた昨晩の出来事を思い浮かべながら、意地悪い笑みを浮かべた。




それにしても、可愛かった。撫でるたびに、頭部から生えている二つのケモ耳がビクンビクンと跳ねる。


これは・・・飽きが訪れない。いい夜だった。




「ななななななnnnっ!にゃにをぶっちゃけるにゃ!そそそそsssんなことをlwlw」




顔を真っ赤にして取り乱すハギも・・また・・悦だ。となぜかブスっと不貞腐れたサクラの頭を撫でながら、今この瞬間の幸せに感謝した。






またまた、時がすこ~~し流れて。




「ソウ。このレポートはいい出来だ。今後も期待しているぞ」




サイトはレポートを読み終えるとソウの肩を掴み労いの言葉をかけた。




「えへへ。オーナーに褒められるなんて光栄です。でも、このレポート、ハギねぇに添削して貰いましたから、もっと完成度を上げられるように頑張ります!」




この向上心。いいな!若い!と眩しさに顔を覆いたくなるサイト。でも、この調子で知識と経験を積んでいけば、彼の分析官の地位に就くっていう目標は案外近いかもしれない。




「頑張りたまえ!少年!!向上心を糧に進むのだ!そして・・・・地下から黒メガネ君を呼んできてくれ!頼んだぞ!」




「はい!精進いたします!呼んできま~~~~」と即、廊下へとすっ飛んでいき、黒メガネ君なる人物を呼びに駆け出した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る