第4章 リベンジ ②
現れた
「おい、お前たち――一匹ずつ任せていいか?」
「勿論いけるぜ!」
「任せときな!」
アシャリーさんの号に、クリフトンとレイモンドが応と答える。
「――ナルミ、抜け!」
予期せぬ状況に固まってしまった俺に、アシェリーさんの檄が飛ぶ。慌てて剣を抜いた時には既に一匹の
くそ、これじゃさっきと同じだ!
そのまま距離をとって左右に視線を投げる。クリフトンとレイモンドは、それぞれ
その近くで、アシェリーさんが
断面から吹き上がる血しぶきを掻い潜り、そのまま彼女は
一瞬の――いや、瞬く間もない刹那の出来事。
仲間の断末魔に、俺の目の前の
これがミスリルクラスの冒険者――
「おらぁっ!」
「どらぁっ!」
クリフトンとレイモンドも自分の相手との決着をつけた。それぞれの獲物を相手の頭に叩きつけ――そして倒れ伏す
残る
「グゥォオオオオオオオオオッ!」
最後に残った一匹の咆哮が、ビリビリと空気を揺らした。腹の底から震えがくる。
そんな怒りを滾らせる
自分の目の前を平然と横切って仲間の死体から剣を引き抜くアシェリーさんに猛然と襲いかかる
「ナルミ――こいつはあんたがやるんだ」
言いながら彼女は
「あ、ああ――でも」
「ビビるな――アタシに昼間打ち込んだ剣を思い出すんだ」
そうだ、そうだった――
「アタシの見立てじゃナルミ、あんた奴に力負けしないはずだよ――どんな時にアタシに反撃をもらったか覚えてる?」
背後からアシェリーさんが言う。
「はい」
「上出来だ――でも実戦じゃ時には全力でかかってかなきゃいけないこともあるわけ。ま、今がそうかもね――けど普通にやったんじゃ躱されたら次の行動に移れない。反撃されていいようにやられるだけ――じゃあどんな風にやれば反撃されないかわかるかー?」
「……はい」
「よし」
アシェリーさんが満足げに頷く。目の前には猛る
これまでの戦闘から推測できることがある。こいつらに戦術はあっても、戦略的な展開を用意する知能はなさそうだということ。つまりこいつらにフェイントはない。どいつもこいつも大きく得物を振りかぶるのは、全力で振り下ろすためだ。
そして先の森での撤退戦で、俺の腕じゃ大きく躱してからでは反撃は間に合いそうにないことも学んでいる。
だから――迎え撃つ。
「グォォォオオオオオッ!」
「はああああっ!」
吠える
得物を弾かれ、そしてその重量に振り回され、大きく体勢を崩す
「――あぁぁああああっ!」
再び地面を蹴って表情を歪めた
「ギャァアアアアアッ!」
肩から腰にかけて大きな裂傷を作った
そのあとは夢中だった。倒れた
……勝った。アシェリーさんのお墨付きはあったが、俺にとっては楽な戦いじゃなかった。それでも勝ちは勝ちだ。今し方屠った食人鬼から離れ、クララやアシェリーさんがそうしたように宙を薙ぎ、剣についた汚れを払う。
「コングラッチュレーション、兄弟!」
「いいファイトだったぜ! こいつは俺らもマジに気張らねえと追いつかれるどころかあっという間に追い抜かれちまいそうだ」
ゴールドクラス二人からの言葉に、息を整えつつ手を挙げて答える。先の
「一撃で仕留めなよと言いたいとこだけど、ブロンズのヒヨッコがソロで
「……ありがとうございます」
ミスリルクラスの冒険者からもお褒めの言葉をいただく。
「あんたならやれるとは思ってたけど、さすがにきつかったろ。少し休んでな……おい、クリフにレイだったな。死体を処理するよ。一カ所に集めてくれ」
「おうよ」
「任せてくれ」
アシェリーさんの指示にクリフトンとレイモンドは嫌な顔もせずに
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