第7話ダメヒロイン誕生【3】

コイツは何を言ってるんだ?

バカなのか?アホなのか?だが、もうここまで来たらそんなことはどうでもいい。


次に重要なのは、ストーキングのがなぜ俺なのか?だ。

「馬鹿かお前は。それをストーキングって言うんだよ。じゃあなんで俺をストーキングしているんだ?」


だが、だいたい見当はつく。どうやら坂月は俺のアホ毛が好きらしい。


ということは、アホ毛を含めた顔全体の容姿が好きだと予想がつく。普通なら。



そう。普通の女の子ならそうだろう・・・。



ん?普通の定義ってなんだ?


「アホ毛が好きだから」


うん。ダメだ。コイツに一般常識は伝わらない。


「俺の質問に真面目に答えてくれ、それじゃ、答えになってないぞ」


「私はずっと真面目よ」


確かに坂月の顔は真剣だ。その目は一切の躊躇もなくこちらを見ている。


だが、だがしかぁーし、俺はどんな理由であれ初めて受信した、

『好き』という言葉。


俺にとって『好き』・『付き合ってくれ』という魔法の言葉はダイアモンドと同じ価値なんだ。


だからこそ俺はもう一度。もう一度だけ・・・。


小さな希望をこれからの

『学園恋愛生活』

宛に送信した。


「俺と心中しよう」



・・・・・・。



なんでここで空気が重たくなるの?



確かに、この場面においては意味合いが違ってくるが、今まで妄想しかしてこなかった俺からすれば、それはもう意味が変わってくる。


『死ぬまで一緒にいよう』


だから俺にとってこの場面においてこの言葉の選択は間違っていない。



「あなたそれ、本気で言っているの?さすがの私も少し引いたわ」


思いの外ガチトーンで言われ、心に大ダメージを負った。


「普段から、妄想しかしてこないと、こんなにも頭のおかしい子になってしまうのね」


コンボ技が二連続。RPGゲームならとっくに死んでいた。


だがここはRPGゲームの世界じゃない。

この世界はなりたいと思った自分に経験値を与えさえすれば何にでもなれる、

クリエイティブな世界だ。


俺も負けじと技を決めにかかる。


「俺もなかなかやばいと思っていたよ、人のことをストーキングするやつ、さすがの俺も少し引いたよね」


俺も指さして嘲笑する。



「あなた何よその指。人に指を指してはいけないと幼い頃に教わらなかった?」


互いが互いに言いたいことを言い合った結果、醜態を晒すことになった。


「もう、やめよう。こんなこと言い合ったって自分のためにならない」


俺は、坂月のことを大分軽蔑してしまった。


だから、いち早く終わらせたい。

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