第22話 2章11話.神呑む女王
4限、体育。
この日の2-Dは短距離の計測だった。短距離というのは瞬発力に負うところが大きいので、格闘技術の根幹ともなる。足腰が弱い強者など存在しないし、足腰と瞬発力が増進すればそれだけで戦士としてのレベルは上がる。
というわけだが。
計測待ちの待ち時間の視線は、女子・・正確にはその下半身に、もっぱら向けられていた。
蒼月館という学校の首脳陣はなにを考えているのか、女子の下半身は今時ショートパンツではなく、ブルマである。
新羅辰馬とその仲間たちも、まったりしながらその勢いに同じていた。
「エーリカのケツ、やべーよなぁ、あれはたまらんわ。それに比べて
シンタがなめ回すような・・ようなというより視姦そのものの視線で、女の子たちの肢体をじろじろと見つめ、ごちる。特にその視線は、校内屈指の美少女、エーリカ・リスティ・ヴェスローディアと
「んー、エーリカのカラダに晦日の顔が乗っかれば最高なんじゃねーかなと思うンすよ、オレは。辰馬サンどー思います?」
尻肉に食い込むブルマを直すエーリカから視線を動かすことなく、シンタは言った。確かにエーリカの腰回りは凶悪。乳肉の豊満さ、ウエストのくびれ具合と相まって、さすがは現役グラドルといったところだが、それにしてもシンタの視線には遠慮がなさすぎる。
「いつも思うけどさー。女を品評するのやめとけ、お前。殺されるぞ」
話を振られた辰馬はやれやれといった顔でため息一つ、グラウンドにあぐらで座り、上体を伸ばしてストレッチする。こちらはこちらで、女子から見て見てオーラを存分に照射されているのだが、まったくといっていいほどに関心を示さない。基本的に道場という男社会で育ってきた辰馬にとって、「お姉ちゃん」である雫と「庇護の対象」の瑞穂、あと「なんか知らんけど行きがかりで助けちゃった」エーリカ以外の女子は「よくわからん相手」であり少し苦手。
「んなこと言われても、体育の授業なんて女のケツ以外に見るもんないでしょーよ」
「いや、いくらでもあると思うが・・ま、お前が好きなよーにするがいーよ」
「うす。好きにするっス」
などと、いつものように馬鹿な戯言を言い合っていると。
女子の人垣の中から、長身の少女が抜けてきた。
青灰色の、左右非対称に結った短髪、やや勝ち気そうな琥珀の瞳。西方産のエーリカにも劣らないほどの豊満な肢体をもつその少女は、
「あ? ってぅぶぉあ!?」
無造作にこちらへと歩いてきたかと思うと、夕姫はシンタを張り飛ばす。すさまじい力で、シンタの身体は5、6メートルほども水平に吹っ飛ばされた。ずざざ、と地面を転がって止まったとき、すでにシンタは失神している。一瞬にして意識を刈り取る、鮮やかな手並みだった。
今のは、拳法・・じゃねーな、剣術の、捕手術の応用か。いきなり殴りかかるとかやるこたぁえげつねーが、腕が立つのは間違いないらしい。
と感心するが、とはいえ、感心してもいられない。
「あー・・いきなり、なに?」
仕方ないので、保護者(?)として聞いた。夕姫は全校男子のカリスマで全校女子の憧れ、新羅辰馬を相手にしてもまったく臆すことなく、見下すように鼻を鳴らす。
「そこのゴミが、わたしたちを汚らわしい目で見ていましたので」
当然、と言わんばかりに。そう言った。シンタの身体が足下にあったなら、蹴りをくれているに違いない態度。
あー・・これはいかんな、話にならんやつだわ。
夕姫と話したことはこれまでほとんどないが、どうやらやや前時代的な思想の持ち主 らしい。アルティミシア大陸は女神が造りたまいし世界。当然に女性は男性より優れており、だから女は男より上位に置かれるべしという女尊男卑的な考え方。珍しくもない、というか20年くらい前まではこの考えが主流であったらしいが、今時それを心の中に思うだけではなく、行動にまで示すというのは極端と言わざるを得ない。
「おいこら、そこのアホ杉が汚らわしーのはまあ、認めるが。その態度はいただけねーなぁ!」
「あー、やめとけ大輔。あと出水、シンタを頼む」
自分を押しのけて前に出た大輔を、さらに押しのけて前に出る辰馬。「まあ、男子がアホでやらしーのは認めるから。そっちもそんなに殺気立たないでくれんかな」と言ってみるが。
ひぅ! と夕姫は両手をひらめかせる。その左右の手には、いつの間に抜いた短刀・・というか、形状からしてむしろ西方のダガー・・が握られていた。喉と、脇とを狙って打ち込まれる二刀。最初から、辰馬に仕掛ける口実を狙っていたらしい。辰馬はその片方を弾いてダガーを落とさせ、残る片手は手首を掴んで止めた。
「殺気のない威嚇攻撃相手にこんなことしなくてもよかったんだけども、まあ、言っとかんといかんか・・あのな、あんまり舐められると、こっちも怒るぞ?」
引き寄せ、逆に脅しをかける。長身の林崎から見ると見下ろす背丈の辰馬だが、なお蛇に睨まれた蛙。気をのまれてへたんとへたり込んでしまう。これは夕姫の意思力や気力と言うより、魔族の眼力、いわゆる
「おうおう、よくもやってくれて・・げぶぅ!?」
助け起こされたシンタがかさに掛かって夕姫に脅しをかけようとするのを、辰馬は首筋への痛烈な当て身で黙らせる。
今のが、学生会長のお気に入り、ねぇ。あとあと、なんかいらんこと言われなきゃいいが。
と心中ひとりごちつつ、計測に挑む。100メートル、9秒01。出水が15秒72、シンタが12秒00、筋トレの総量なら辰馬を大きくしのぐ大輔が、それでも9秒99。
・
・・
・・・
放課後。
「今日は仕事するぞー、仕事」
「なんか燃えてっスねー、辰馬サン。いよいよ勤労意欲に目覚めたっスか?」
「いや、金がねーんだわ、どーにも」
「あぁ・・本っスか」
「ん。本」
新羅辰馬という少年は、無類の読書中毒者という側面をもつ。とくにアルティミシア九国史といわれる九列国の歴史書、そして各国の神話・伝説・英雄物語。そうしたものが大好きであり、金さえあれば高価な専門書をこれでもかと買いまくる。ギルド緋想院蓮華洞からの報酬は辰馬のランクから言って学生としては破格なのだが、専門書一冊に1000幣(アカツキの貨幣単位。だいたい1幣=10円)も使っていると、1万や2万の収入はすぐに底をつきる。
「今どんだけもってます?」
大輔が聞いた。とはいえ7月に入って1週間にも満たない。まず1万は残っているだろうと思っての質問だったが。
「札が1枚、小銭が8枚・・」
ぼそっと答える辰馬。1800。ずいぶんと少ない。というかどう考えても、生活費が残ってない。
「・・7月入ったばっかなんですけど」
「いや! シリーズが! 全集がな! 出たから!」
「ちっとは我慢してくださいよ。図書館から借りるとか」
「ばかたれ、本読みが借り物で我慢できるわけねーだろーが!」
「そんなこと言ってるから貧乏なんですよ!」
「ぐぅ・・」
「辰馬サンに比べりゃ、オレの浪費癖なんかかわいーもんだよなぁ」
「そーでゴザルなぁ。主さまは加減知らんでゴザルから」
「うるせーな。お前らの趣味と違っておれのはあとあと、身になるからいーんだよ!」
「はいはい、なればいーっスね。よしよし」
というわけで久しぶりに、緋想院蓮華洞。雫は仕事、エーリカもバイトでスタジオに行った。シンタはさっき夕姫に殴られたダメージから軽く病院で検査、というわけで今日のメンツは辰馬、瑞穂、大輔、出水の4人。
「まあ、今の辰馬と姫さま・・瑞穂さんがいればまず大丈夫でしょう。この依頼を」
蓮純が提示したのは太宰からやや離れた山間に住み着いた、魔物の退治依頼。
「あー、うん。余裕。任せろ」
すでに生活費と全集の続刊に意識を飛ばしている辰馬は、挨拶もそこそこに書類を受け取ると蓮純の前を辞す。大輔たちも慌ただしく後を追い、瑞穂が振り返って蓮純に頭を下げ、これまた急ぎ足に蓮華洞を去った。
・
・・
・・・
「それで、この山奥か・・」
太宰北郊、
「さ、さむいです~っ・・」
と、真っ先に泣き言を言ったのは、大輔でも出水でもなく、意外にも瑞穂。初夏という時候にもかかわらず気温が-10度を下回るこの山に、瑞穂の
「・・それって、霊的加護とかあんじゃねーの?」
必死に両手をすりあわせる瑞穂に、思わず聞いてしまう。
「あ、ありますけど、わたし寒いの駄目で・・いつもの禊ぎだって死ぬほどつらいの我慢してるのに、こんな寒さ・・」
「・・まあ、とりあえずこれ羽織っとけ。あとこれも」
辰馬は時分の上着を脱ぐと、天桜とともに瑞穂に渡す。瑞穂は四の五の言わずばばっとそれを羽織って、天桜も胸の谷間に押し込む。天桜という氷雪属性法具の力で寒さを緩和された瑞穂はちょっとだけ人心地ついてから「ご主人さまは大丈夫なのでしょうか?」ともっともらしく聞いたが、たぶん今更返せと言われても、返すつもりはない。それくらい瑞穂は寒さに弱い。玉の肌に鳥肌が立っているのが、ならもっと暖かい格好しろよといいたくもあるが。
「おれはまあ。暑いのはだめだけど。つーことで行くぞ」
・
・・
・・・
1時間経過。
さすがに全員、寒さに震えてかじかんでいる。とくに手足の指先、その血管がひどい。文明神=火神でもあり「火之緋」の名を持つ女神ホノアカの巫女である瑞穂が火霊を喚びだして常時周囲を暖めてはいるのだが、状態としては真冬の夜をカイロ一つで過ごすよりも絶望的であった。
しかも周囲の三谷が、どうにも々ところをぐるぐる巡らされているような気がする。魔術的な隠蔽。それもかなり高度な。魔物か妖怪か知らんが、相手は高度な魔術的知性を持つらしい。
「ひとまず、と」
辰馬は一カ所に印をつけて、一人だけ足取り軽い。辰馬の表層的な属性は「闇中に輝く光」、闇は冷気、寒気に通じ、そのせいで氷雪系にはもとから強い。天桜なしでも大概の寒さには耐えうる程度。
しかし。
「新羅さん、そろそろどーにかせんと、まずいですよ、俺らの身体的に」
仲間たちのほうに限界がきつつある。というより、今この状態で敵と戦って、十全のパフォーマンスは期待できないだろう。
「そーだなぁ・・ちょっと戻ろう。さっきのとこに」
印の場所に戻る。
「さて・・。なんだっけ、『見はるかすもの、耳さときもの、鼻きくもの、汝らよく真実を見るもの。その見力をもて、我が前に真実を映せ。・・開かれよ』か」
今までの辰馬には使えなかった技、法術(人理魔術/簡易魔術)の解呪魔法。つい先日蓮純から習い覚えたばかりで精度に不安があったためいままで使わずにおいたが、使うのが正解だったらしい。魔術的幻覚による隠蔽が解かれ、獣道めいた山道が広がる。
「たぶんすぐ戦闘になる。瑞穂、熱を強く。みんな、もちっと頑張れ!」
「りょ、了解しました!」
「うーい。気張りますよっと」
「どんなバケモンだか知らんでゴザルが、さっさとぶっ殺してシエルたんと風呂でゴザルよぉ!」
この先しばらく戦闘が続くも、ザコ戦は割愛。動きが鈍っているため多少は苦戦するも、まず辰馬たちが負ける相手ではない。
そして30分ほど進んだ先に。
竜頭人身の巨人の姿があった。
え・・あれって・・、
「先手必勝でゴザルあぁ! 呑み込め!」
辰馬が逡巡した隙に。ブチ切れモードの出水が仕掛ける。竜頭人の足下の大地が、グァ、と牙をむくようにして獲物を呑み込むが、竜頭人はすぐに何事もなかったかのようにして、土の顎の中から脱出する。というより、土が竜頭人を畏れて避けた、が正しい。
「やるでゴザルなァ! それなら次は・・」
「出水、ストップ! 止まれ馬鹿、あれは妖怪とか怪物じゃない!」
「なに言ってるでござるか主さま、あんなもん、どー見てもバケモンでござろうよ!」
「違うって、あれは無害な神様の一種だ。殺す必要ない!」
「・・えぇ-、神様? あれが、でゴザルか?」
「そーなんだって。・・なぁ、あんた
「だまれ、人間! 我が住まう聖地を切り開き、我が恩を忘れ石もて追う。我は人というものにほとほと愛想がつきた。たどり着いたこの山で静かに暮らそうと思っておったに、土足でわが領域を侵すは常に人間である!」
びゅう、と。
風が吹いた。
雲が日を翳らせ、降り出した雨はたちまち雹となる。
「んー、困った・・」
「なにためらってんすか、新羅さん? いつもみたいに神殺しじゃないんです?」
「いや、人格神はそりゃ、人間を支配したがるからぶちのめすのに躊躇いないんだけど・・あーいう自然神は特にそーいう存在じゃないからな-。どっちかっつーと人間の被害者って場合が多いから同情するっつーか・・まあ、人間に怪我させてるのは確からしいけど、今言ったとおりたぶん悪いの人間のほうだし・・あーいうのを無差別に狩る人間になったらおしまいだわ、人格神がやってることと変わらん」
「・・そーいうもんですか」
「そーいうもんくなんです。つーわけで、できるだけ話し合いたいが・・敵愾心がえらい状態だからなー・・さすがに無理か・・」
「人間よ、疾く去ね! さもなくば、消え去れぃ!」
「そんなモノ相手に、躊躇など必要ないでしょう」
計蒙が生み出した雹混じりの暴雨風。それが飲まれるようにして消える。現象だけでなく、計蒙の身すらも、その見えない顎はぞぶりと計蒙の身体を喰らった。
「が!?」
「ちょ!? やめろ、誰か知らんが、こいつは悪くない! 殺す必要ないだろーが!」
「・・」
辰馬の制止を蒸して、いきなりの闖入者はさらに計蒙を喰らう。
「ぐぁ! ごぶっ!? や、はり、人間というモノは・・度し、がたい・・」
辰馬と闖入者が同調しているとでも思ったのか、最後に「卑怯者め!」とでも言うような視線を残して、計蒙の身体は空間にぞぶぞぶと呑み込まれた。人間という種そのものを呪詛するような視線は、辰馬の心に深い傷を穿つ。その辰馬の背に、
「魔物相手に感傷・・さすがは、魔王の継嗣ですね」
いやな言葉がかかる。
そして。
振り向けば眼下に、現れる人影、5つ。
編み上げた左右非対称な青灰色の短髪、両の手に短刀を構える小柄な少女、綱紀・
恐ろしくすらある端正な美貌、赤毛を後頭部でシニヨンにまとめた、細身の少女、書記、
外はねショートの栗毛を揺らす、辰馬にとってはよく見慣れた「ウェルスの聖女」御用達の法衣に身を纏う少女、副会長・ラシケス・フィーネ・ロザリンド。
そして、穢れを払うかのように腕を振って、辰馬たちより低い位置から、にもかかわらず無感動に威圧的に、辰馬たちを睥睨する青髪に銀縁めがねの少女は。
学生会長、
辰馬が
「なに、その目。仮にも上級生、それもピンチを救った相手に向けるものではないのでは? まあ、あなたに礼儀を解いても無駄ね、所詮魔界の蛮族と、それに誑かされた淫売の・・」
ぶちっと来た。
「書、宝輪、角笛、杖、盾、天秤、炎の剣! 顕現して神敵を討つべし、神の使徒たる七位の天使! 神奏・
問答無用でぶっ放す。母を侮辱した相手とその仲間たちに、母の得意とする光撃、七天熾天使。七色のオーロラ状に輝く破壊の光幕は、しかし文の右手ひとふりで消失する。
「ッ!?」
消された・・いや、呑まれた?
「つまらないわね。どうせなら、あれを見せてみなさい。この前の天衝く光の柱。全部喰らって、わたしのものにしてあげるから」
冷たく怜悧に。眼鏡をかけてなお衰えぬ美貌に蛇蠍を思わせる微笑を浮かべ、文は挑発する。かざした手のひらの奥にずっと深く伸びる深淵は、まるでブラックホールの黒洞を思わせた。
「・・」
今のは、力の吸収・・いや、収奪か。うっかり乗せられるとまずいな。クールになれ、おれ。真の強者は狡猾で、臆病なもの。相手が驕ってるなら、乗せてやれ。隙を作って、広げろ。
「挑発には乗らない、か。なら、こちらから。掛かりなさい! 穢らわしい男にだまされている齋姫を、お救い申し上げるのです!」
「あぁ!? なんだその理屈ぁ! 誰が誰を騙して、ってぐぶぁ!?」
「ふざけるのもいー加減にするでゴザルよ! ・・げぇぶ、ぎゃひひぃっ!?」
相手に対応して、大輔と出水が前に出る。だがこちらは寒さにほとほと参って身体能力を大幅に制限された状態であり、あちらは十分入念に防寒対策して万全。大輔は長刀少女と夕姫によって一方的に叩き伏せられ、出水には美咲が立ちはだかって瞬時にこれを倒してのけた。その間、瑞穂の前にラシケスが立ち、丁寧ではあるが有無を言わせず、瑞穂の手を引く。瑞穂は抵抗するも、術士として傑出している瑞穂は体術の分野において(体格的に、やたらと重たいものをぶら下げているというハンデもあり)やや鈍い。一方のラシケスは心力と体術のバランスがよく、こういう相手を前に、純然たる後方火力および支援担当の瑞穂は相手が悪い。
「ちっ! ラシケスお前、なんであんな女の言うなりに・・っ!」
辰馬にとってラシケスは旧知。どうにか翻意させようとするが、ラシケスはつらそうな顔は見せながらも応じない。ならば瑞穂だけでも取り戻すそうとする辰馬、ラシケスは巧みに、瑞穂自身の身体を盾に使って辰馬が手を出せない位置取りを駆使する。ラシケスをどうこうするには瑞穂を殴らざるを得ず、女相手でも敵なら平然と殴れる辰馬ではあるが瑞穂相手だとそれがどうにもできない。その隙を、文は横から容赦なく攻撃した。死角からの衝撃、辰馬は側頭部からだっと血を流し、思わず膝を突く。あまりに強烈な衝撃に、一撃で片膝をつく。
「ご主人さま!!」
瑞穂が手を伸ばす。半狂乱でラシケスの手から脱するが、その下腹に文は体重を乗せた鉛のようなボディブローを放つ。
「あなたはだまされているのです、齋姫。さ、わたしたちともに参りましょう」
「いや・・です! ご主人さま、ご主人さまっ!」
「わからない人ですね、それなら・・わたしたちと一緒に来ないというのであれば、この場であなたの『ご主人さま』を処分しますが?」
「・・ッ!?」
相手の非常な宣告に、瑞穂は息をのむ。本気だと悟ると、もう従うしかなかった。
そして。
まあ、姫様の望み。「私」は手を出さないけれど。・・「たまたま居合わせた魔獸」に食い殺されるのは、仕方ないことよね・・。
文はそう心に呟きつつ、思念を放つ。野生を刺激され、計蒙という重石を取り払われた餓えた魔獸たちが一斉に立ちあがり、辰馬たちに襲いかかった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます