修羅場
「翔馬…その人は…?」
小山田と別れた後、手掛かりを失った僕は一旦愛乃の家に立ち寄る事にしたのだが、魔呼まで一緒に連れて来てしまったのだ。
「お?この女、私や翔馬が見えるんだ!」
「バッチリ見えてますし声も聞こえてますよ。ってか貴女誰ですか?」
「私は魔呼。さっき翔馬にプロポーズされたの!」
なっ!?
「ぷろぽぉずぅ!?ちょっと!翔馬!どういう事よっ!?」
「し、知らない!プロポーズなんかしてないって!」
愛乃が僕に詰め寄る。
慌てる僕に魔呼がしな垂れ掛かってくる。
「えぇ…そんな…じゃああの大氷河も溶けるような熱い告白は…」
「してませんよね!?」
全力で否定する。
「翔馬…酷い…」
「何言ってんだ愛乃っ!」
愛乃が僕をゴミムシを見るよな目で見ている。
「何が違うのよ…私は身も心も捧げたと言うのに…」
「捧げてないですよね!?」
全力に全力を重ねて否定。
「不潔っ!」
「幽霊になった事は疑いも無く信じたのに何でこれは信じないんだよ!」
たっぷり30分…僕は愛乃と魔呼に挟まれて魂が痩せた気がする。
僕は愛乃にここまでの成り行きを丁寧に説明した。
「そうならそうとちゃんと言ってくれればいいのに。」
「僕、最初から全部否定してたよね?」
「そうだけど…っていつまであんたは翔馬にくっついてんのよ!」
「いやぁ~ん!翔馬ぁ!あの女、私を虐めるんだよぉ~!」
音速を超える速度で槍を投げられるのに虐められるわけないだろ。
「魔呼さん話進まないから離れてください。愛乃も落ち着け。」
渋々離れる魔呼。
鼻息の荒い愛乃。
「つまり小山田君は私を好きな気持ちが暴走してただけって事?」
「そんな感じだ。」
「じゃあ翔馬が飛ばされたのとは関係無いか…手掛かり消えちゃったね…」
「一つだけ有るにはあるけど…」
魔呼がぽつっと呟く。
「めんどくさい…」
「なっ!?」
「ちょっと!どういう事よ!?翔馬の命…は無いけど何かが掛かってるってのに!」
愛乃が魔呼に詰め寄る。
魔呼はうるさいと言う風に愛乃を手で払う。
勿論、愛乃に魔呼の手が当たる事は無いのだけれど。
「アイツ、苦手なんだよね…」
「アイツ?」
「うん。銀髪で左右の目の色が違うアイツ…。」
「小山田が力を借りたって言ってた奴か?」
「そう。」
「魔呼さん頼む!そいつに会わせてくれませんか?」
「でも…」
「お願いします!魔呼さんだけが頼りなんです!」
魔呼がうっとりとした目で僕を見ていた。
絶対勘違いしてる顔だ。
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