同級生

 程無くして魔呼は空の隙間から帰っていった。


 「さっきの要領覚えておくのよ。」


 額にぐっと力入れたら光がビッと出て当たったらずどーんって…要領って言えるのか?

 とにかく、さっきの男が…いや、さっきの男にが僕の死んだ原因を知っているのは分かった。

 このままその男を追い掛けてもいいが、愛乃を放ったらかしには出来ないので一旦愛乃の元へ帰る事にしよう。








 「へぇ~そんな事があったんだ。」

 「ホント、全然疑わないのな。」

 「えへへ。」


 愛乃の部屋へ戻ると、心配そうな顔をしていたのがぱあっと明るくなり、それだけで戻って来て良かったと思わせてくれる。

 言っても幽霊だけど。


 「けどそいつにはまだ憑いてる下級魔が居るから訊き出すチャンスはある。」

 「うん。けどそれって誰なんだろうね?」

 「見覚えはあるんだけど…何処で見たのかなぁ…」


 愛乃が突然本棚へ駆け寄り、一冊の本を取り出して来た。


 「中学校の卒業アルバム?」

 「そう。」

 「いや、いくら何でもそこまでこの町狭くないよ?」

 「でも大勢の人と名前が載ってるのってこれくらいでしょ?」


 確かに愛乃の言う通りだ。

 あてもなく探し回るより潰し込みは出来そうだ。


 ベッドの縁に座る愛乃の隣に並ぶように浮かび、一緒にアルバムを見る事にした。




 『懐かしいねぇ』『これ練習したよなぁ』

 中学時代の思い出話に花を咲かせながら、映っている人物を見逃さないようにゆっくりページをめくっていた。

 勿論愛乃が…だよ。


 「あ…」


 僕の小さな声に、ページを捲る愛乃の手が止まる。


 「え?」

 「こいつじゃないかな?」


 僕の指さした先に澄まして映っている坊主頭の少年。


 「小山田おやまだ…君?」

 「うん…間違い無い…。」

 「そう…なんだ…」


 愛乃が言い淀む。


 「どうした?」

 「あ、うん…実は高校に入ってから小山田君に随分言い寄られてて…」

 「あぁ、そう言えばそんな事もあったな。」


 愛乃はその愛らしさからファンが大勢居た。

 何人からも告白されていたが、その都度断っていたようだ。

 小山田もその内の一人だったのだろう。


 「ただ、大体皆一度断ったらそれっきりだったのに、小山田君だけは何度も何度も…」


 その辺りが下級魔に憑かれた原因に繋がっているのかもしれない。

 しかし、それと僕の死因とどう関係しているのだろうか?

 やはり本人に訊いてみるしか無いのかもしれないな。


 その日は愛乃の母親が帰宅したのでお開きとした。

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