うるさい隣人
「わはははは!」
うるさい。
上京して一人暮らし1日目の夜。初めての出勤を控えたアオキは寝坊するまいと、
10時に眠ろうとしていた。
が、隣人の笑い声が聞こえてくる。テレビを見ているらしく興味もない漫才と笑い声が聞こえてきた。
「うるせえぞ!何時だと思ってんだ!」なんて言えるような性格ではない、どうしたものか。
うるさいと言ってもアオキは自分の部屋のテレビをつけているときは気づかなかった。寝ようとしてテレビを消した時に気づいたのだった。
目を閉じて眠ろうとすると、耳には隣からの音のみ。気になって仕方がなかった。
気にしない。無になるんだ。、、、、、、わははは。、、、、わははは、、。
気にしない。と強く思うことは、気にしているのと何も変わらなかった。
隣人が眠るまで待とうか。しかしいつ眠るかもわからない。もしかしたら夜通し起きているのかも、、。
明日のことだけではなく、この先のことも考えると不安になってきた。
眠らなければ。アオキはパソコンを開き眠る方法について調べた。
マッサージやツボなどを試し、ホットミルクを飲んだ。その中に安らかな音楽を聴くと良いとあった。
確かにいいかもしれない。隣人の音も少しは気にならないかも。
スマホで川のせせらぎの音を流した。これで眠れる。
川を流れる水の音。水流は決して一定ではなく抑揚をつけて流れている。その不規則な自然のリズムに、、、だんだんと、、眠く、、。
わはは。
確かにアオキは目を閉じ、流れてくる川のせせらぎに集中していた。もはや自分が森林にいるかのような気分だった。
しかし、ふと聞こえてきた笑い声。
綺麗な自然の音色に混じった限りなく下品な笑い声。
アオキは一瞬で森林から引き戻され一人暮らしの部屋へと帰ってきた。
そしてまた次に聞こえてくるであろう笑い声を待っていた。
またくるぞ。今にくるぞ。。
わはは。
くそ。うるせえよ。
ここまで気になってしまっては眠れない。もうだめだ。と思った時。
そうだ耳栓があった。アオキは上京してきた時の夜行バスを思い出す。
アオキは荷物の中から耳栓を取り出しはめてみた。
素晴らしい。なんて発明だ。耳栓はアオキに無の世界をもたらした。
これで寝れる。初めからこうしておけばよかった。時計を見ると10時30分だった。
アオキは眠れるはずだった30分を惜しみながら目を閉じた。
ドン。ドン。ドン。ドン。
アオキは目覚めた。重い瞼がなかなか開かないが何か振動が聞こえる。
誰かが扉を叩いているようだった。何か言っているようだが聞こえづらい。
そうだ、耳栓をつけているんだった。アオキが耳栓を外すと。
「うるせえぞ!何時だと思ってんだ!」これは隣人の声だ。
混乱するアオキにジリリリ、と目覚し時計が遅刻を伝えていた。
「ったく、うるせえ隣人だなあ。」
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