第2話

 自習スペースへ体を持ってきたはいいが、スマホを取り出したが最後。

 特に何をするでもなく昼休みが終わってしまった。


 放課後、いつもの部室の扉を開ける。

 昼間に会偶かいぐうした文学少女は本を読み、イマドキスポーツガールは携帯触る――。

 かと思っていたら違った。


 すでに依頼者らしき来客が来ていた。俺の記憶違いでなければちょうど昼間、図書室で見かけた図書委員だ。どうやら、依頼について話していたらしい。

「フルっち!おそいおそい、早く座って!」

 促されて俺はそそくさと座る。


「――ので、お願いしていいですか?」

「……分かりました。やってみます」

 すでに依頼内容について話し終わったようで、何が分かったのか全く分からなかった。


 女子生徒が退室していくと俺は2人に説明を求める。

「えっ? 何だったの」

「古木くん、勉強に精を出すのはいいけど部活はテスト1週間前まで普通にあるのだけれど」

「いや、勉強してて遅れたわけじゃねぇよ。単純にHRホームルームがね」

「そう」

「わぁー!! 2人ともテストの話は止めてぇ~!!」

 浜辺がバタバタと悲鳴を上げる。もしかしてこいつは勉強苦手なのか。


「いやだから、どういう依頼だったの?」

「蔵書を増やすのを手伝って欲しいそうよ」

「クラスから集めてたりしてさ~」

 浜辺が顔を机とくっつけたまま元気なく答える。こいつの方が何でも部の手伝いがいるんじゃないのか。


 というか、何だすごく簡単な依頼じゃないか。

 もっと面倒なことかと勝手に想像していたが今回はすぐに終わりそうだ。

 すぐに俺たちは校舎内の何箇所かに段ボール箱を設置した。

 箱には浜辺がよく分からないフォントで『本のきふ BOX!!』とよく分からない顔文字と一緒に描いた紙が貼ってある。


 改めて考えるまでもなくこれをするだけの楽な、もしくは地味な依頼だった。

 あとはこれを放置して何日か待つだけ。

 めでたしめでたし――

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