第6話
「なるほど、お前の考えはもしかしたら正解かもしれん。それが真相だったとしてどうやって見つけるんだ『校則違反していた人を探してます』とは言っても名乗り出てくれんだろ」
「カラーは結構匂い強いよ! もしかしたら近くの席の人は気づいたかも!?」
その後、浜辺の友達ネットワークと何よりそこまで漕ぎ着けた神下の推理によりF組の金田という男子生徒の存在が浮上した。
金田はこちらの推理を聞くとすぐに自白した。彼は高校入学に際して気持ちが大きく浮つき、髪も染めて眼鏡からコンタクトに変えたが結局は髪色と同時に眼鏡に戻しており、今は一時の気の迷いを後悔しているらしい。神下の似顔絵は眼鏡が無かったせいで真価を発揮しきれなかったようだが事の顛末はほぼその推理通りではあった。
依頼者の野村とは連絡先を交換したりして順調らしい。
めでたしめでたしである。
依頼者無き日常へと戻った部室で俺はまたラノベを読み進めていた。
ご機嫌な部長さんはお茶受け菓子にちょっとお高いやつを並べる。
「古木君もお茶、お代わりいる?」
「ああ、貰う」
ポットを持って神下が近づいてきて、不意に耳元で可憐な声を響かせる。
「次も負けないから――」
ドキっとした。
なに勝手に勝ち誇ってんだよ。別に勝負なんかしてねぇよ。
やっぱ子供っぽいな、こいつ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます