第3話
指定のジャージの体操服を着た女子生徒が来部室に入ってきた。
「あ、ごめんなさい。そっちの人も依頼で?」
「いーのいーの! 一緒にまとめてパパッと解決しちゃうから」
「大方、あなたも部活関連で困っているのでしょ」
確かにこの時間、体操服を着ているのは運動部という証だろう。そしてここ何でも部とやらは依頼を受けて何でも解決してくれるのだろうか。多分。
「はい、バトミントン部部長の
「部員が少ないとは具体的に何人なのかしら?」
神下が俺のときと同じようにお茶を出しながら尋ねる。
「4人です、4人だと部費も下りないから大変で……。もう一人いれば予算申請出来るんですけど」
「ならこの人、古木くんだっけ? ちょうど部活が決まらなくて困っているらしいから」
「いやいやいや、ちょっと待ってくれ。俺は少なくとも運動部に入るつもりはない!だいたい俺みたいな運動できない初心者に入られても困るだろ。」
自分を卑下してでもとにかく運動部には入りたくなかった。
確か5人いれば部費が下りるとの話はちょうどさっき聞いたばかりだ。
「私は別に初心者でもみんなで楽しくできればそれでいいんだけど……」
おいおいおい、このままだと俺が運動部に入るハメになってしまう。みんなで楽しくかなんだか知らないが入りたくないものは入らない。
だがそれ以上なんと言い訳するべきか。
「まあ、あなたが入らないならそれでもいいわ。でもそれなら部員を集める代案を出してもらおうかしら」
延々と入りたくないからと言い訳する俺に苛立ったのか妙な脅迫のように神下がそう俺に言う。
意外と怖いんだなこの人……。もっと大人しい人かと思ってた。
「あー、そうだな。地道にビラ配り、ポスター、呼びかけ――」
「それだけじゃ難しいんじゃない? もう入部届期限まで2日しかないし、そういう基本的なことはもうやってるでしょ?」
浜辺に尋ねられて依頼者の北浦さんは小さく頷く。
「じゃあ、他に来てくれそうな友達集めるのは?」
「友達に声かけてやっと4人です。友達の友達にも声かけてもらいました」
「えーとえーと、Twitterを使う!」
「それで来る人はもう既に来ていると思うけれど」
「それに今日昨日作ったアカウントじゃ逆に怪しいな」
いつの間にか神下がホワイトボードに出た案を片っ端から書いている。
その後も俺たちはあーでもないこうでもないと意見を出し合っていたが
決定的な案は浮かんでこなかった。
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