戦争状態のリセット

(2021年12月12日 第39回「栄一と戦争」視聴後)


 なんて構成だ。

 渋沢篤二の「逃亡」と、徳川慶喜の「逃亡」を重ねるなんて。

 慶喜の隠居生活に憧れる、篤二の目に宿った明るい狂気。

 重荷を背負って潰れそうな篤二を見る慶喜の目の、悲しみの含有量ときたら。


 そして、日露戦争の結末に対して狂騒する人々を描いた後に訪れる、慶喜の反省と悲哀に満ちた戦争論。

 戦争を強行する狂気を放置したばかりに、戦争に没頭する部下たちの説得を諦めた末に起きた、鳥羽・伏見の戦い。

 ボロ負けしても止まない戦争への狂気に、慶喜の下した余りにも有名な決断。

 あれを「逃亡」の二文字で片付けるのは、どうかしている。

 人類史上で唯一、戦争状態を独断でリセットした徳川慶喜の英断を、讃えます。



 今回は、これまでにいたしとうございます。

 アテブレーべ、オブリガード。


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