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 アーケードリバース、それは埼玉県草加市発のARゲームである。

ルールに関しては単純明快――目標のオブジェクトを目的地まで誘導すれば勝利。

そのオブジェクトは輸送トラックや輸送機のAR映像、コンテナと言った物まで様々だ。

コンテナの場合は、中に入っている物が争奪戦に発展する事もあるだろう。

ただし、共通オブジェクトの争奪戦の場合はオブジェクトを間違って破壊すると無効試合になる。

その為、相手もオブジェクトを盾にするような戦略を取る事があるのだが――これに関しては反則とはならない。

 反則と呼ばれる行為、大きく分けると相手プレイヤーの殺傷及び事故を誘発する行動、違法チートや不正アプリ、八百長の三つだろう。

最初の相手プレイヤーの殺傷及び事故の誘発は、無気力試合や後述の八百長にも直結するだろう。ゲームである以上、様々なアクシデントは付き物である。

だからこその――怪我人増加によるゲームのサービス終了を避ける狙いがあるのかもしれない。

スマホアプリでながらスマホが社会問題化した件もあり、それを参考にしている可能性は否定できないだろう。

次に違法チートや不正アプリは説明不要。こうしたアプリやガジェットが全く流通していない訳ではなく、探せば見つかる可能性は高い。

必要とされている限りは、チートの様な不正手段はなくならないと運営側は考えている。

チートを使ってトップになったとしても、そのプレイヤーは何が楽しいのだろうか? 疑問に残る部分は多い。

 最後に八百長だが、これはARゲームにもイースポーツ化の波が来た事に由来する。要するにマッチポンプを防ぐ狙いがあると言う事だ。

賞金が芸能事務所に流れる事を防ぐという狙いもあるのだが――そこまで警戒する事なのだろうか?



 二〇一七年、とある報告書がSNS上で話題となっていたが、その内容は衝撃的な報告だったという。

それが草加市全体をフィールドにしたARゲームの計画書だった。この当時は様々な箇所で展開されているVRゲーム等も参考にした可能性は否定できないが。

更に、衝撃を与えたのが『ARゲームによって得られた収入を草加市以外の埼玉県全体の環境改善などで使用される』と言う文章だった。

 当然だがネット上では、今回の草加市が計画した事に関して疑問を持っていた。

都道府県の役所が驚く以上に、納税する側の人間が驚くと言うのも――ネットならでは、なのかもしれない。

「我々も続く事が出来るのか?」

 東京都のある区の市議会議員は、草加市の報告書に関して、こう疑問を投げかけたという。

彼の言う事は至極当然であり、誰もが効果に関して疑問を持っている事が普通の反応と言えるかもしれない。

「ここまでの事が出来るのは、さまざまなアニメやゲームで埼玉県が舞台になっている事で一定の理解が得られるからこそ――」

「確かに。東京の場合はテレビドラマ等の方で聖地巡礼をした方が盛り上がると――そういった話の方が多いだろう」

「芸能事務所の影響は、ここまで及んでいるとは考えたくないが」

 都議会でも話題は出てくるのだが、芸能事務所の影響でニュースを大きくしたくない事情もあった。

下手に話題が巨大化し、ネットで拡散でもすれば――想像に難くない。



 そして、ゲームがサービスインしたのは二〇一八年の事である。

草加市限定でのサービスなのは、草加市が全面バックアップをしている事も理由の一つだろうか。

道路の舗装、周辺エリアの清掃、ゴミの不法投棄を取り締まるボランティアの確保、それ以外にも様々な必要経費等がARゲームをプレイする事で得られているという――誰もが耳を疑った。



 二〇一九年に限れば――海外でも一連のARゲーム人気は目を疑うレベルだったという。

SNSの炎上行為も過激になっていく一方だったらしいが、これらはガーディアンが鎮圧したという事で大きな話題にはなっていない。

「青騎士以外で、こう言った事例があったとは――埼玉県が色々と批判されていた時期も、今は昔と言うべきか」

 コンビニの入り口に置かれたベンチに座っていたのは、身長175センチ、体格は少しぽっちゃり系にも見える女性である。

髪型は黒髪のショートヘア、サングラスをしているが芸能人と言う理由でしている訳でもなければ、視力が悪い訳でもない。もしかしなくても伊達メガネだろう。

服装――と言うよりは、ホワイトのインナースーツを装着しているので、ARゲームをプレイする所かもしれない。

インナースーツは胸の谷間等も強調しないタイプであり、汎用スーツと言えるものだ。

彼女の名前はアイオワ、ARゲームではプロゲーマーと言う訳ではないが若干名前が知られている程度の人物である。

「アンテナショップではそこまで言われていなかったけど――」

 普通にアーケードリバースをプレイ出来た事に関して、アイオワは目を点にしていた。

さすがに納税者しかプレイできないARゲームと言うのもネットで炎上する案件になるかもしれない。

それに加えて、過去にふるさと納税で問題になった地方がある為、そこに配慮したのかは……不明と言えるだろう。

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