アンドロイド

「次の方、どうぞ」

 看護師の指示に従い、コップ一杯の黒い液体を飲み干す。昨晩から絶食状態の胃には刺激的だ。空腹には強い質だが、これは不愉快だ。入院着のような服装で台に横たわる。台が傾きだした。これが世に言うバリウム検査という奴かと思っていると回転が止まっていた。すぐに次の検査だ。

「お兄さん、血管がわかりやすくて助かるよ。にしても痛みに強いね。さっきから眉ひとつ動かないけれど」

「はあ、どうも」

『もしかして僕はアンドロイドなんですかね?』なんて看護師に聞くのは憚られた。カルテを見れば一発なのに。アンドロイドとヒトの境目が巧妙に隠されたこの世で知る必要もないのかもしれない。でも、培養細胞のツギハギでは生殖細胞を持てないのが現実。決してヒトと同列でないのだ。皆、口にしないけれど。

 空きっ腹のまま、彼女に連絡する。

「ねえ、今から会えない?」

 さて、僕は正しく生殖できるのだろうか?

 

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