国境紛争 下
ヒルメラーゼ共和国 第12艦隊旗艦アーノルド
艦隊司令ベネディクトはコーヒーを飲みながら、報告書の始末に没頭。大事な最新鋭感を4隻も失ったのだ。後がどうなるか不安でたまらない。現実逃避と言い換えてもいいかも知れない。
「失礼します。司令、レーダーに未知の非行物体が観測されました。アンゴラスの竜と思われます。」音質のあまりよくない艦内用無線から発せられる。
「よし、すぐ行く。」頭を切り替え、ブリッジへ急ぐのであった。
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「こちらに真っ直ぐ向かって来ているな。」
「はい、先程の艦隊から報告を受けたのでしょう。」
「だろうな。対空ミサイル発射用意!」号令とともに、乗組員達は機械の前に張り付く。
「火器管制レーダー照射しました。いつでも発射できます!」
「発射!」白い尾を引きながら、ミサイルは翔んでいく。
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第4艦隊群 第8艦隊 しまかぜ
200kmもの距離を探知できるしまかぜのレーダーは、異常を探知した。
「艦隊より、飛行物体が射出されました!」
「例の竜というやつか?速度はヘリより遅いはずだが…。一応もどらせろ。」
「いえ、非行物体の速度、時速700km以上!ヘリに向かっています。」
「何だと!」
「迎撃を!」
「いや、間に合わない!」
「司令!ヘリの反応と飛行物体の反応、消失しました。」
「なんてことだ。」司令は悲観にくれる。
「今より、アンノウンを敵と認定する!対艦戦闘用意!」司令は命令を下す。
「対艦戦闘用意!」
「対艦ミサイルの残発はあといくつだ。」
「6発です。」
「ちょうどだな。発射!」6発のミサイルが大空へと翔んでいく。
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ヒルメラーゼ共和国 第12艦隊旗艦アーノルド
レーダーの性能の違いにより、ヒルメラーゼ共和国艦隊は護衛艦隊を捕捉できていない。
「ふぅ。撃ち落とせたか。まぁ当然か。」ベネディクトは安心する。
「司令!本国より緊急通信です。」
「こんな時に!何だ。」ベネディクトは苛立たし気に言う。
「宛、ベネディクト大佐。抗命の容疑で貴官の指揮権は凍結する。艦長は臨時司令として指揮権を引き継ぎ、直ちに引き返せ。以上です。」
「待て、俺はこの国のために…」
「司令、申し訳ございません。命令ですので。」
「うるさい、黙れ!何かの間違えに違い…」
「司令、レーダーに反応!飛行物体が6つ高速で接近してきます!」レーダー観測員が悲鳴をあげる。
「白竜か?迎撃用意!」成り立ての司令が言う。
「いえ、白竜ではありません!何倍も速いです。」
「迎撃する。対空ミサイル、撃て!」
「無理です。敵機が早すぎてロック出来ません!」
「何だって!」
「敵機接近!」
「見張りより、伝達!あれは、竜ではありません!ミサイルです!」
「馬鹿な!ミサイルは我が国の最新兵器のはず!なぜ…。」言い終わる前に、ミサイルが飛来する。ミサイルは、正確に1隻に1発ずつ命中する。視界一面に光が広がり、衝撃がアーノルドを襲った。
「左舷船首より、浸水しています!」
「機関出力、30%低下!」
「居住区にて火災発生!」
「友軍艦艇、全滅!」悲鳴が各所より噴出する。
「反転180度、離脱する。」炎と黒煙を上げながら、アーノルドはヒルメラーゼ共和国へ向かうのだった。
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