サマワ王国上陸作戦 下
サマワ王国 駐留軍基地近くの街道
「隊長、基地がやられました!」
「なんて射程距離だ!」部下が混乱する。
「落ち着け!こっちには、魔道砲がある。魔道砲に壊せぬ物など何もない。」
「角付きゴーレムを前方に確認。こちらに接近して来ます!」
「魔道砲の牽引を急がせろ。敵の方が射程距離が長い。早くしなければ一方的ににアウトレンジ攻撃を受ける。」隊長は冷静に状況を分析する。
「3時の方向より巨大な虫のような物を確認!」更なる敵に、部下はざわめく。目線を上げると大きな一枚羽を上に付けた、今まで見たことも聞いたこともないような飛び方をする魔道生物がいた。
「くそっ!こんなところで航空戦力をだしてくるとは…。白竜の無い今、撃墜は難しいか。」悔しげに歪な虫を見上げる。虫の触角だろうか?顎に付いた細く長い筒のようなものがこちらを向く。そして…。
「ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ」触角より光の雨が降り注ぐ。部下が虫のように倒れてゆく。
「全員ファイヤーボールをあの虫に…」
「ズドォン」
「隊長っ!角付きゴーレムが発砲しました!」報告のすぐ後、爆音が響き渡り、土煙と肉片が舞う。一発当たり数十の部下が死体へと変わっていることだろう。どうやっても抗えない力の前に、無力さに呆然と立ち尽くす。そして遂に隊長の付近に砲弾が命中し、彼も部下達と同じ運命を辿った。
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サマワ王国 王城
「陛下っ!陛下っ!大変ですぞ。」会議中の部屋に、外務局の幹部が入ってくる。
「次は何だ!」外務相が言う。
「帝国の駐留軍が壊滅しました!そして、所属不明のゴーレムに続き、鉄の荷車のような部隊が上陸してきました。」
「本当なのか!」
「駐留軍が壊滅とは。いい気味だ。」
「しかし、列強を退ける力を持つ国は列強しかないです。他の列強に旗を変えるだけになるのでは?」宰相が言う。
外務局幹部が報告を続ける。
「さらに巨大な羽虫が降伏勧告をしてきました。」
「それを早く言わんか!」外務相が叱りつける。
「やはり、この国は列強の衛星国であり続けるしかないのか。あのアンゴラス帝国を容易く捻り潰すような相手だ。仕方あるまい。降伏だ。せめてアンゴラス帝国より条件がましならよいのだが…」国王サマワ・ラ・マタワは失意にくれるのだった。
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サマワ王国 王都 中央通り
通りの港側から角の生えたゴーレムが爆走し、王城に近づいてきている。もう時間は無い。
「まさか、我々の代でこんなことになるなんて…」外務局幹部が言う。
「他に選択の余地は無い。そうでなければ帝国軍の二の舞だ。」外務相は意を決して言う。
「私は、サマワ王国外務相リーナムである。我が国は、貴国の降伏勧告を受け入れる。」
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