八丈島上陸作戦 中
八丈島より2kmの海域 いずもの艦橋
「司令、勧告は本当にしなくてよかったのでしょうか?」艦長が不安そうに言う。
「途中で北上してきた艦隊にしただろ。2度する必要はない。上が何を言ってこようが司令を辞める身だ。何も問題ない」
「失礼しました。」
「敵の旗艦と思われる大型船、及びその偵船2隻が撤退を開始しました。」レーダー観測員が言う。
「降伏か、せめて陸上部隊を収容した上での撤退を期待していたのだがな。」
「今頃、作戦通り潜水艦が追尾しているはずです。」
「なら、我々も予定通り行動しなくてはな。」
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「上陸用意!各員、武器の点検を行え。」
「はいっ!」
「現在時刻15:00。作戦開始時刻になった。作戦を開始する。」
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八丈島 アンゴラス帝国 仮設基地跡
「現状を掌握しろ!何が起きているのかさっさと報告するんだ。」基地司令のダルスは混乱していた。仮設基地とは言え3000人が駐在する基地。その建物がことごとく破壊された。それに加え、戦列艦艦隊もわずかな残存艦を残し撤退した。陸戦部隊を回収することなく。
「生存者の人数確認終わりました。951人が戦闘可能です。」
「たったそれだけか。」まだ敵がなにかもよく分かっていないにもかかわらず7割もの兵が命を散らした。なぜ私は、おめおめと生き残っているのだろう。
「あれだけの爆発です。火山の噴火ではないでしょうか?」士官が言う。
「お前は馬鹿か!なら戦列艦の爆発はなんなのだね?そもそもあの山からは、噴煙は上がっていないではないか。」司令は憤る。
「司令!東の港の監視が敵艦を発見したとのことです。」伝達官が報告する。
「数は?」
「15隻とのことですが、非常に大型のようです。」
「ようやく島を取り戻しに来たということか。蛮族の船15隻など恐るるに足らん!残存戦力を全て東へ向かわせろ。」しかしダルスは思うのだ。船の出現でうやむやになったが、一体爆発の原因はなんなのだ。もしも何者かの攻撃だとすれば我々に勝ち目などないのではないか。
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八丈島 底土港
30両の96式装輪装甲車、200両の軽装甲機動車が次々と島へと揚げられていく。
道が細く十分な空き地もないため、上陸したそばから前進して行く。その先頭を勢いよく装甲車が走る。
「とうとう始まるんだな。」陸上自衛隊、倉田二等陸尉が車上で呟く。
「まさか、こんな日が来るとは思いませんでした。」
「俺もだ。」島から上がる煙へと、車は少しずつ近づいていく。
「前方より明らかに島民とは異なる集団、約1000人が接近してきます。」
「所属不明の集団と接触の報を送れ!」
「集団に大型火器を認められません。少し太めの小銃のみと思われます。」
「島民ではないだろうが、念のために先に撃たせる。しかし彼らは何者だ?全員が白い髪とは…。退役軍人でも寄せ集めたか?」陸尉は困惑しながら前を見据えるのだった。
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