第6話 知人

「十夜?」

「あれ?友羽」

「奇遇だね」

「えー、実は友羽が俺の後を付けて来たとか?」

「あのね~、違うから」



友達と寄ったカラオケ屋から出ると偶然に八会う、十夜と私。



「じゃあねー、友羽」

「うん、またねー」


「じゃあな、十夜」

「うん、また」



お互いの友達と別れて私達は一緒に帰る。




「十夜って、どんな曲歌うの?やっぱり、帰国子女だから英語の歌ばっかりとか?」


「アハハ…まさか!それってある意味凄いけど、そんな曲ばかり聞かされた時は、友達はカラオケ行きたくなくなるよ」


「それもそうだね」


私はクスクス笑いながら言う。



「一応、邦楽の曲は友達から聞いていたから、最近の曲も、そこそこ歌えるし。今度一緒にカラオケ行く?」


「うん!行く!」




その直後だ。




「あの…すみません…」



一人の女子生徒が声を掛けてくる。



≪美人な…他高生だなぁ~誰だろう?≫



「違ったら…ごめんなさい。もしかして、十夜君?」


「確かに俺…十夜だけど…あの…何処かで会った事…ありますか?」


「私、内基 由都羽(うちき ゆずは)覚えてない?」


「内基…由都羽…さん…?あっ!もしかして…敏(とし)ちゃんの彼女?」



≪十夜の前の学校の同級生…?≫



「そう!まあ、今は元カノ、元カレだけど」


「俺が向こうに行く時、当時はまだ付き合ってたから…1年位前かな?」


「そうかも。こっちにはいつ?」


「一ヶ月前位かな?ねっ!友羽」

「えっ?あ、うん…」

「へぇー、そうなんだ。彼女は十夜の特別な人なのかな?」


「彼女は、今俺がお世話になってる。居候みたいな感じ。親の伝で同居してるんだ」


「同居?へぇー、そう。可愛い子。初めまして、私、内基 由都羽。彼、十夜君とは同級生だったの…が正しいのかな?」


「そうだったんですか。私、菊間 友羽です」


「まあ、名前も可愛いのね」


「えっ?そ、そんな…」

「クスクス…可愛い。あっ!ちょっと待って!」



彼女、内基さんは、メモ帳とペンを取り出し、何かを書いている。


「はい。これ、私の連絡先。敏樹には話しておく。それじゃ」



私達は別れる。




「余りに美人になっていたから気付かなかったけど…」




≪十夜は、やっぱりあーいう子がタイプなのかな?≫


≪だけど…十夜レベルならあれ位の美人の人じゃないとつりあわないよね…≫


≪私じゃ全然駄目だよ…兄妹レベルなんだろうな私と十夜≫




正直、あんな美人を目の前にしたらヘコむ。




「女の人って見ない間に変わるよね。友羽も変わるのかな?」


「か、変わりますっ!当たり前でしょう!?…まあ…あんなに美人にはならないかもしれないけど…少し位は…」



私は帰り始める。



「友羽?もしかして気、悪くした?」

「してませんっ!」


「友羽は十分可愛いよ。美人目指さなくても今のままで良いと思うよ」


「別に良いし!だけど、美人には憧れるけど…ていうか…好きな人とつりあう女の子になりたいって思うのは当たり前でしょう?」



私達の姿を見つめる彼女・内基 由都羽さんの姿があった。




「…………」










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