第5話 想い
「あの!俺とお付き合いして下さい」
ドキッ
「えっ?」
「ゆっくりで良いので」
「あの……えーとごめんなさい…。私……好きな人がいるから……」
「そうなんだ。それでも構いません!お願いします!」
「…一日だけ考えさせて下さい」
「分かりました。じゃあ、これ連絡先です」
「えっ?」
「連絡待ってます」
私は彼から預かり、彼は私の前から去った。
その日の夜 。
私は、十夜の部屋を訪れ今日の話をした。
「告白された?」
「うん。でも、好きな人いるって言ったけど、それでも良いって」
「じゃあ付き合ったら?」
「えっ?」
「簡単に言うね」
「だって、俺の問題じゃなくて、友羽でしょう?」
「そ、それはそうだけど……」
「友羽は…どうしたいの?」
「えっ?」
「彼と付き合いたいの?」
「私は、そんなつもりないけど」
「好きになるもしれない。その想いにかけても良いんじゃない?」
「えっ?」
「でも……好きな人がいるなら揺れる事はないと俺は思うけど」
≪十夜は…確信して……≫
私は十夜を見つめる。
「何?」
「ううん…」
ポンと頭をされた。
ドキン…
「友羽、悩んでも仕方がないよ」
「えっ?」
「相手は、友羽が好きで告白してる訳だし。ただ、そんな友羽には好きな人がいる。相手は、その事知ってそれでも良いって言ってくれてるんだから、それに応えてあげても良いと思うよ」
「ありがとう…十夜」
「友羽は難しく考えないで、ありのままの自分でいたら?」
「うん…」
私は部屋を後に出て行った。
その後、彼に自分の気持ちを改めて言って、
彼、亀家 勇園(かめや ゆうえん)君、16歳と付き合うことにした。
ある日の事。
「どう?彼とはうまくいってる?」
「十夜……」
「何か気掛かりな事がある感じなのかな?」
「えっ?」
「悩んでますって顔してるから」
「十夜は……凄いね?」
「えっ?」
「心を見透かされてる気がする。占い師さんみたい」
クスクス笑う十夜。
「俺は、占い師さんじゃないよ。ただ、友羽が分かりやすいだけなんじゃない?」
「えっ?」
「自分では気付かないからね」
それから1ヶ月が過ぎ。
「勇園君」
「ん?」
「あの……やっぱり……このままじゃズルズルだし…これ以上は…勇園君には申し訳ないから」
「何となくそんな気はしていた」
「そっか…告白された事は本当に嬉しかったけど……応えてやれなくてごめん…勇園君…」
「良いよ。一ヶ月でも友羽ちゃんと付き合えた時間があっただけでも十分だから。ありがとう友羽ちゃん」
「私こそ、ありがとう。本当……ごめんね……」
勇園君は私を抱きしめた。
その日の夜。
「友羽、入るよー」
カチャ
部屋のドアが開き入ってくる十夜。
私はベットに横になり出入り口に背を向け横になっていた。
「これ良かったら食べてって」
「……うん……」
「何かあった?まあ、聞くまでもないか…それじゃ」
「……れたの」
「えっ?」
「彼と別れた……話し合って付き合っていたけど……彼は私の事を好きでいてくれたのに……でも……私は……彼を傷付けた……」
「友羽……」
私は起き上がる。
「……ごめん……。……自業自得だね……」
微かに微笑むと下にうつ向く。
十夜は、ベットに腰をおろす。
グイッと十夜は抱き寄せた。
「無理に笑顔つくらなくて良いから」
「十夜……」
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