第4話 存在
「すみません!これを板倉君に渡して下さい」
「えっ?あ、はい……」
その日の夜。
「十哉、これ、女子生徒から預かって……」
「友羽にラブレター?」
「いやいや…私にじゃなくて十夜だから」
「俺?」
「うん。十夜、モテモテだから。きっちり返事してね」
「うん、大丈夫」
十夜は、次の日返事をしたみたいで……。
「断ったの?」
「うん。前の彼女があるからちょっと抵抗あったから」
「そうか」
「だけど、断る度に同居人の子が好きなんですか?って言われるんだよね」
「えっ?断る度にって……十夜、そんなに告白されてるの?」
「10回以上は告白されてるかな?」
「ええっ!?じゅ、10回以上っ!?」
「うん。細かい事は覚えていないけど……。だけど、ただの同居人だけで、そう言われたり、思われたりするのって困るよね。俺は気にしていないんだけど…友羽の本心は知らないけど」
「えっ?私?別に何も」
「そう?……友羽、嘘つくの下手だから」
「えっ!?何?待って!もしかして十夜、私が十夜に気があるって思ってる?」
「そう思わなくない時はあるよ」
「えっ!?」
「ただ単に純なのか、それとも……」
グイッと十夜は引き寄せると、私の耳元に唇を寄せ囁いた。
ドキン…
『本当は好きなんだけど本心隠してるって』
「そう思うのは俺の気のせい?」
私を見つめる十夜。
ドキン…
スッと片頬に触れる十夜。
「まあ、友羽の事だから俺がどうこうじゃないけど」
ポンと頭をする。
「それじゃ部屋に戻るね」
そう言うと十夜は私の部屋を後に出て行った。
「きっと彼女は認めたくないんだろうね……自分の気持ちに……」
「……十夜に見透かされてる?十夜の事は嫌いじゃないけど……好きって想いがない訳じゃないけど……」
「………………」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます