第2話 呼び捨て

「ええーーっ!?帰国子女ぉぉっ!?」


砂弥香が大声で言った。



「うん、あいにくクラスは違うけど、今じゃモテモテでしょう?」


「もしかして、友羽、妬いてる?」



ギクッ


「まさかっ!」

「嘘だー。図星だね?」

「だから違うって!」

「友羽、分かりやすいからー」

「本当に違うってば~」



私達は騒いでいた。



そして夕方、家に帰宅。




「ただいま」

「おかえりー、友羽ちゃん」




ドキッ



イケメン王子様の、お出迎えだ。




「ねえ、その友羽ちゃんは…ちょっと…」

「そう?じゃあ、友羽?」



ドキッ



「えっ!?呼び捨て!?」

「えっ?呼び捨ても駄目?じゃあ、どう呼べば良い?」


「いや…男の子から下の名前を呼び捨てにされた事ないから…」

「そうなんだ。じゃあ今日から友羽と十夜で」

「ええっ!?と、十夜ぁっ!?」


「うん」


「いやいや、駄目駄目。恋人同士じゃないし呼べないよ」



クスクス笑う彼。



「友羽、我が儘だなぁ~。でも十夜って呼んで貰った方が俺的には良いから」


「えっ?」


「向こうではニックネームとか名前呼び合っていたから聞き慣れてるし、呼び慣れてるから」


「そうなんだ…じゃあ…と、十夜と、ゆ、友羽で」


「うん、OK!」



十夜は階段をのぼって行くのだった。






ある日の事。


「友羽ー、ちょっとお願いがあるんだけど」



部屋のドア越から言う十夜。


カチャ


部屋のドアを開ける。




「良いよ。叶えられるお願いなら聞いてあげる」


「じゃあ、今度、街案内してくれない?」

「えっ?街案内?」

「そう。一年前は日本(こっち)に住んでいたけどまだまだ家に帰るのも一苦労だし」

「私よりも男友達とかの方が…」


「そうしたいんだけど、前の友達と連絡つかないから。一時期、連絡取り合っていたけど、事情合ってお互い音信不通になってしまって」


「そうなんだ。分かった。じゃあ近いうちに案内してあげるね」


「うん、ありがとう」

「いいえ」



去り始める十夜。



「十夜」

「何?」

「イジメとか合ってないよね?」


「えっ?」


「いや…帰国子女だからとか、気に食わない人は色々と言ってくる人いるから何かあったら言ってよ!」


「平気!大丈夫だよ。友羽が心配する必要ないよ」


「本当?」


「本当」



「…………」


「信じられない?」


「いや…信じるとか信じないとか…大事なお客さんだから何かあったら遅いし、クラスは違っても私と同じ学校なんだよ」




頭をポンとする十夜。



ドキン




「友羽は優しいんだね。本当に大丈夫だから安心して」


「…うん…絶対、一人で悩まないでよ」

「分かった。ありがとう友羽」












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