帰国子女

ハル

第1話 帰国子女

「To - Ya.I'm sorry Good-Bye and Thank you」



去って行く女の人の姿。


1つの恋が終わり、そして、1つの恋が始まる。



「友羽、ちょっと話が……」

「ごめんっ!遅刻しちゃう!帰ってから!」



足早に出て行く私。



「帰ってからじゃ遅いのに……」



私は学校に足早に向かうのだった。




「おはよー、ギリだね?」



学校のチャイムが鳴るのと同時に教室に入ってくる私に話し掛ける親友の、巻 砂弥香(まき さやか)



「うん、もうバタバタで」





その日の放課後。




ガヤガヤ…



ザワザワ…



やけに騒々しい体育館。




「ねえ、どうかしたの?」




近くにいた女子生徒に尋ねてみた。




「あー、バスケ部に男の子が乱入者だって」

「乱入者?」

「超上手いって話しだけど」

「へぇー、そうなんだ。ありがとう」



私は人混みをかき分け、前の方に行く。




ダンダン…


パスッ



ダンクシュートを決める男の子の姿。



ドキーン



「すっげー!」

「かなりのジャンプ力」

「是非、君、バスケ部に!」

「偶々ですよー。それでは」




去って行く男の子。



目が合う私達。




ドキン…



そして、彼は去って行く。





胸の高鳴り


目が合った瞬間


私の心(ハート)は


一瞬にして奪われた





「ただいまー…男の人の靴。ママー、誰かお客さん?」



リビングに行く私。



「あっ!ああーーっ!」

「何?帰って早々、いきなり大声出して」


と、母親



「さっきダンクシュートを決めた人ぉぉっ!」

「あっ!見られてたんだ~」

「いや、あれだけ騒がれてたら気になるでしょう?」


「まあ…そうだね?ちなみに…君とは目が合った女の子だよね」




ドキッ


「えっ?」



≪嘘…気付いて……≫




歩み寄る男の子。



頭をポンとすると私をのぞき込むようにすると、視線がぶつかる。



ドキン



≪ヤバイ…イケメンすぎる≫

≪背も高いし王子様みたい≫




「宜しくね!友羽ちゃん」


「えっ?」



名前を呼ばれ驚く。




「ちなみに俺は、十夜。板倉 十夜(いたくら とおや)17歳で~す」


「17!?って1個上?ていうか、ママ、思春期の男女が1つ屋根の下なんて…」


「ホームステイもそうでしょう?」


「じゃあ、俺片付けがあるので部屋に行きます」




そう言うと去って行った。




「パパの知人の息子さん。年は、1つ上だけど学年は一緒よ」


「えっ?」


「帰国子女だから、色々と日本に慣れるまではしばらく協力してあげてね」


「えっ?あ、うん…」



そして、私達の同居生活は始まり、

私、菊間 友羽(きくま ゆう)の恋も始まる。











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