31日目

 気が付いたら、俺は病院のベッドに寝ていた。

 

 元の世界に帰って来たのだ。

 

 両親から聞いた話では、俺はちょうど事故の日から30日間寝ていたらしい。

 息があるのが不思議なほどの重体だったのに昨日急に全快した、潰れていた眼球や臓器が元通り復元し、もげた足が生えてきた、と言っていた。

 まったく異世界の奇跡はムチャクチャだ。

 

「せっかく魔王と戦ってまで生き返ったんだ、これからは少し真面目に生きてみるかな」


 そんなことを考える。

 

 クソゲーだと思ってたリアルも、理不尽だらけの異世界よりはだいぶマシだ。

 それに、俺がまたダラダラした毎日を送っていたら、生き返るチャンスをくれたルナに悪い。

 

 そういえば、ルナには結局お礼を言ってなかった。

 またいつか会えたら、その時は「ありがとう」と言おう。そう思った。

 

 けれど、結局。

 俺は生涯、ルナと再会することはなかった。

 

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