5日目

「マジックアイテムみたいなのが欲しいんだけど」


 女神に相談してみた。


「なんです、それ」

「持ってるだけで誰でも魔法が使えて、遠くから相手を攻撃できるやつ」

「ノロマでグズの無能が、何の苦労もなく、自分だけ安全圏から一方的に敵を蹂躙じゅうりんしたい、というわけですか」

「そうだよ。悪いかよ。こっちは命がけなんだ」


 女神の案内で魔法屋にやって来た。町で一番高級な店らしい。

 振るえば火球が飛び出す「火の剣」が最高級品だった。値段は一億五千万ルピー。


「これを買う。金は明日までに用意するから、それまでキープしといてくれ」

「なに言ってんです。買えるわけないじゃないですか」

「借金するんだよ。闇金でも高利貸でもいい。どうせ25日後には俺はこの世界からいなくなるんだから、返済の心配はいらない」

「ドクズ」

「だから、こっちは命がけなんだよ」


 手段を選んでる場合ではないのだ。

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