⒉気になる思い
大樹は新クラスになって流華と別々になっても好きだった。しかし話す機会はほぼゼロのまま時が過ぎた。大樹は5年生のクラスでは明るく振る舞い、運動会では応援団の副団長をしたり、生徒会に入ったりなど活発な人間になっていった。三年生の頃とは別人のようで他人に驚かれるようなこともあった。
流華は新クラスでも当然馴染めた。流華は甥っ子ができ、それが可愛くてしょうがなく、クラスの人に自慢した。流華は保育士を目指す夢がその頃できた。
季節は巡り、北風の強い一月。この時期になると体育で全校生徒が運動場でマラソンを行う。六年生は一番外回り、五年生はその内側であった。大樹はマラソンは苦手で彼にとって地獄のような行事であった。
いつものようにダラダラとマラソンを走っていると横で小鳥の鳴くような声がした。聞き覚えのある声であった。
「ちょっと言いたいことがあるの」
紛れもなく流華だった。突然なんだ?久しぶりに喋るけど深刻なこと?イタズラ好きの流華だから何か企んでいる?大樹はなに?っと聞いた。
「前から思ってたんだけど私...。」
マラソンで息が上がって聞き取りずらかったがそう言った。流華は一瞬下を向いて
「やっぱいいや、じゃぁねー」
と言い大樹を追い越して走っていった。大樹はますます分からなくなった。告白?いやないない、マラソン中に告白はしないよな。じゃぁなんだ? 大樹はずっと頭で考えてた。
分からないまま時は過ぎた。
そして1ヶ月後、林間学校という宿泊行事で事件は起こる。
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