一輪の綺麗な華は二度萎れる

華時 蓮

⒈流華と大樹の出会い

騒がしいクラス。新学期の始まり。小学四年生になる大樹は休み時間にもかかわらず静かに席に座っている。窓から見える運動場を見ながらただぼーっとしている。

大樹は親友が三年生までずっと同じクラスで、ひとりぼっちという状況はなかった。親友とは“戦隊ごっこ”をして遊んで、クラスでは影にいるような存在だった。

しかし新しい学年になると、その親友とは別々のクラスになり、大樹はクラスに友達がいなくなった。自分から話しかける性格では無いので当然クラスで一人になった。

そんなある日のこと。クラスで明るく、男子とも仲良くクラスの中心であった流華という少女がひとりでいる大樹に話しかけた。

「なーに見てるの?」

大樹は驚いた。どう返していいかわからなく、声が出せない。

「大樹くんだよね。友達は?」

若干、気に触ることを言われたが思い切って声を出した。

「俺、このクラスに仲良くなれるやついねーんだ。」

大樹は微かにそう言った。それから流華は親友のことや習い事のことなどを聞いてきた。

それから流華は毎日1回は必ず大樹のとこに行って話をした。大樹も次第にそれが楽しみになった。男子とも関わりのあった流華は大樹を他の男子に紹介した。男子はすぐに受け入れた。大樹も少しずつではあるが男子とも仲良くなっていった。

それからというものの大樹は学校に行きたくて仕方なくなるほどになった。新学期初めとは似ても似つかないほどクラスに馴染んだ。休み時間は運動場でドッチボール。流華ともよくお互いの家に遊びに行ったりした。四年生が終わろうとする頃には大樹は完全に流華に恋をしていた。

また学年が上がった。大樹と流華はクラスが別々になった。大樹は四年生の最初の頃とは違い、新しい五年生のクラスではすぐに馴染めた。それからというものの、流華と大樹はほぼ関わることはなくなった。

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