SCP-SM

もきの

SCP-9000-SM "隠れた猫"

アイテム番号 : SCP-9000-SM

オブジェクトクラス : safe


【特別収容プロトコル】

 SCP-9000-SMの半径300mは、カバーストーリー「歴史的建造物の発掘」により、民間人の侵入を阻止してください。民間人、Dクラス職員、財団職員が許可なくSCP-9000-SMへ侵入し、後述するイベントが発生した後にSCP-9000-SMに再出現した場合、当該対象を拘束し、Aクラス記憶処理を行った後、解放してください。


【説明】


 SCP-9000-SMは、■■県■■市■■町■■■■に存在する半径1m程の異常空間です。その周囲は多くの木々に囲まれていますが、民間人の居住地域から侵入することが可能です。


 過去にイエネコを飼育し、そのネコを看取ることができなかった人間(以下、対象とする)がSCP-9000-SMに侵入すると、対象は異空間(SCP-9000-SM-Aに指定)へ強制的に転移されます。

 対象がSCP-9000-SM-Aに転移されている最中に、別の対象がSCP-9000-SMに侵入した場合、転移は行われません。


 SCP-9000-SM-Aは、一般的な3LDKマンションの一室であり、家具や家電等が存在していますが、一部を除き、それらに特異性は見られません。SCP-9000-SM-Aに設置されている窓や玄関のドア等、SCP-9000-SM-Aの外部に繋がる部位は不明な方法によって固定されており、対象が外部に出ることは出来ません。また、それらに対する破壊行為等は全て失敗しています。

 SCP-9000-SM-Aに存在する物品に関して、一部を除いて対象の過去の知覚や記憶との関連は確認されていません。

 現在までの実験の結果、転移後の対象のGPS機器の位置情報はSCP-9000-SMから移動していないことが確認されています。


 対象がSCP-9000-SM-Aに転移された後、確定で後述のイベント"かくれんぼ"が発生します。

 イベント”かくれんぼ”に成功した場合、対象は安堵や安心の感情を持ってSCP-9000-SMに再転移され、失敗した場合、対象は一部記憶喪失の状態となってSCP-9000-SMに再転移されることが確認されています。

 一度イベントを行った対象は、SCP-9000-SMに侵入しても、転移は行われません。


 SCP-9000-SMは 、20■■/■■/■■に森に迷い込んだ観光客からの「友人が突然消えた」という通報を受け、警察内部に潜入していたエージェントが出動し、財団へ人物の消失の異常性が報告され、収容に至りました。


[イベント”かくれんぼ”]

 イベント"かくれんぼ"は、対象がSCP-9000-SM-Aで行う、後述する猫との”かくれんぼ”遊びです。


 対象がSCP-9000-SM-Aへ転移されると、かつて対象が飼育していたイエネコ(SCP-9000-SM-Bに指定)が対象の前に出現します。この時、対象がかつて飼育していたイエネコは既に何らかの理由で死亡しており、それらについて対象が既知であるかどうかに関わらず、対象はSCP-9000-SM-Bが出現することに疑念を抱くことはありません。


 SCP-9000-SM-Bは出現した後、対象に向かって数回鳴き声を発します。対象がSCP-9000-SM-Bを視認し、その鳴き声を聞くと、例外なく「この猫とかくれんぼをする」と認識します。

 対象がSCP-9000-SM-Bとかくれんぼをすることを認識すると、SCP-9000-SM-Bは不明な方法で消失し、それと同時に対象はSCP-9000-SM-Bの探索を開始します。また、SCP-9000-SM-Bが不明な方法で消失する点において、対象が違和感を感じることはありません。

 SCP-9000-SM-Bを発見しようとする際、一般的な”かくれんぼ”と同様に、SCP-9000-SM-Bを直接視認する試みは、現在までの実験において全て失敗しています。


 SCP-9000-SM-A内には、SCP-9000-SM-Bが生前好んでいた餌や玩具など(SCP-9000-SM-Cに指定)の存在が確認されています。SCP-9000-SM-Cは、対象がSCP-9000-SM-Aに転移されたと同時に発生すると考えられていますが、発生する箇所に法則性は見られず、その特性上、SCP-9000-SM-Cが発生する瞬間を捉えることは現在まで成功していません。

 対象がSCP-9000-SM-Bを探索している間にSCP-9000-SM-Cを発見し、SCP-9000-SM-BとSCP-9000-SM-Cとの関連を知覚すると、対象はSCP-9000-SM-Bを視認することが可能になります。また、SCP-9000-SM-Cを適切に使用することでSCP-9000-SM-Bを対象の付近に出現させることが可能であることが確認されています。


 対象がSCP-9000-SM-Bを視認すると、イベント”かくれんぼ”は終了し、イベント成功となります。イベントの終了後、ある程度の時間が経過するとSCP-9000-SM-Bは鳴き声を一度だけ発し、不明な方法で消失します。その直後、対象はSCP-9000-SMへ転移されます。この時、同時にSCP-9000-SM-Cは不明な方法で消失します。

 転移された後、対象は安堵や安心などの感情を強く保持していることが確認されています。


 イベント”かくれんぼ”が実施されている間に、対象がSCP-9000-SM-Bとのかくれんぼに否定的な考えを持った場合、強制的にイベント”かくれんぼ”は終了、対象はSCP-9000-SMへ転移され、イベントは失敗となります。この時、対象からかつて飼育していたイエネコに関する記憶、およびイベントに関する記憶が全て消失していることが確認されています。


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<実験記録9000-SM-1 - 日付20■■/■■/■■>

対象:SCP-9000-SM, D-9002

実施方法:D-9002をSCP-9000-SMに侵入させる。D-9002には、無線機、GPS観測機器、映像記録装置を装備させる。尚、D-9002には幼少期に数日間だけ家にイエネコがいた記憶があるが、当時の記憶のほとんどを思い出すことは出来ない。また、当実験記録におけるSCP-9000-SM-Bを、便宜上SCP-9000-SM-B-1と表記する。


<映像記録>

D-9002:オッケー、博士、準備できたぞ。


■■博士:SCP-9000-SMへ侵入してください。


D-9002:了解……えっ。


[一瞬映像が乱れた後、D-9002の映像記録装置がSCP-9000-SM-Aのリビングを映している]


D-9002:どこだここ、誰かの家か?


■■博士:そのまま待機してください。


D-9002:わかった。しかし、綺麗な家だな。


[D-9002が周囲を見回している]


D-9002:お、冷蔵庫もあるじゃん。


[D-9002はキッチンへ移動し、冷蔵庫の扉を開ける]


D-9002:なんだ、何もないのか。


[D-9002が冷蔵庫の扉を閉める]


SCP-9000-SM-B-1:[鳴き声を発する]


D-9002:あれ、今、猫の鳴き声しなかったか?


[D-9002の前に茶色の縞模様のSCP-9000-SM-B-1が姿を表す]


D-9002:あ、やっぱり猫だ。この家の猫か…?


SCP-9000-SM-B-1:[D-9002に向かって鳴き声を発する]


D-9002:え、かくれんぼしたいのか?しょうがねえな。博士、ちょっと時間もらってもいいか?


■■博士:はい、構いません。


D-9002:かくれんぼして良いってよ、じゃあ、俺がオニな。


SCP-9000-SM-B-1:[D-9002の前から不明な方法で消失する]


D-9002:この家はあんまり広くないし、すぐ見つかるだろ。


[この後、約15分間に渡ってD-9002による探索が行われる]


D-9002:ったく、どこに隠れてるんだよ。キッチンなんかには流石に…。


[D-9002が食器棚の引き出しを開ける]


D-9002:お、こんなところに猫の餌があった。これを皿に出してやれば来るだろう。


[D-9002は食器棚から適当な食器を取り出し、猫用のウェットフードを開ける]


D-9002:ほら猫ちゃ〜ん、ご飯の時間ですよ〜。


[この後、D-9002は約5分間に渡って猫用のウェットフードが入った食器の前で座り続ける]


D-9002:ダメだ、出てこねえよ。博士、すまねえ、実験の続きに戻ろう。


[一瞬映像が乱れた後、D-9002の映像記録装置がSCP-9000-SMの周囲を映している]


D-9002:え、あれ、ここって最初にいたところ?


■■博士:実験終了です。お疲れ様でした。


D-9002:おい博士、これは何の実験なんだ?


■■博士:後程インタビューさせていただきます。


<実験結果>

 D-9002はイベント”かくれんぼ”に失敗しました。実験後のインタビューで、幼少期に家に猫がいた記憶が消失していることが判明しました。また、当実験で記録された映像のみをD-9002に見せたところ、D-9002は当実験に関する記憶を一切保持していないことが確認されました。


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<実験記録9000-SM-2 - 日付20■■/■■/■■>

対象:SCP-9000-SM, D-9089

実施方法:D-9089をSCP-9000-SMに侵入させる。D-9089には無線機、GPS観測機器、映像記録装置を装備させる。尚、D-9089は過去にイエネコを飼育していたが、家屋からの脱走以来、イエネコの行方は不明となっている。また、当実験記録におけるSCP-9000-SM-Bを、便宜上SCP-9000-SM-B-2と表記する。


<映像記録>

D-9089:準備完了しました。


■■博士:了解。SCP-9000-SMへ侵入してください。


D-9089:SCP-9000-SMへ侵入します……うわっ。


[一瞬映像が乱れた後、D-9089の映像記録装置がSCP-9000-SM-Aのリビングを映している]


D-9089:ここは…誰かの家?


■■博士:そのまま待機していてください。


D-9089:了解。


[D-9089が周囲を見回している]


SCP-9000-SM-B-2:[鳴き声を発する]


D-9089:あれ、今、猫の声がした?


SCP-9000-SM-B-2:[再度鳴き声を発し、D-9089の前に姿を見せる。SCP-9000-SM-B-2は全身黒色の毛で覆われている]


D-9089:あ、もしかして、■■■(かつてD-9089が飼育していたイエネコの名前)?


SCP-9000-SM-B-2:[D-9089の方向を向き、鳴き声を発する]


D-9089:え?かくれんぼしたいの?いいよ、じゃあ、私がオニね!


SCP-9000-SM-B-2:[不明な方法で消失する]


D-9089:よーし、■■■、どこにいるの〜!


[この後、約35分に渡ってD-9089による探索が行われる]


D-9089:タンスの中なんてことは、さすがにないよね。


[D-9089が寝室にある一般的な洋服タンスの引き出しを開ける]


D-9089:あ、このおもちゃ、懐かしい。この釣竿みたいなおもちゃ、■■■が大好きだったな。これで遊んでるときに、勢い余って■■■がテーブルの脚に頭ぶつけちゃって、家族で大笑いしたっけ。


[D-9089は釣り竿を模した棒状のものにネズミと思われる小さなぬいぐるみが紐で繋がれている玩具を手に取る]


D-9089:■■■!大好きなおもちゃあったよ〜!


[D-9089が釣竿型の玩具を床の上で左右に揺らしている]


SCP-9000-SM-B-2:[どこからともなく出現し、釣竿型の玩具に飛びつく]


D-9089:あ、いた、■■■!


D-9089:久しぶりに遊ぶね、このおもちゃ。


[釣竿型の玩具を上下左右に動かす]


SCP-9000-SM-B-2:[D-9089が動かす玩具を必死に追いかけ、前足で玩具に紐で繋がれているネズミ型のぬいぐるみを捕まえようとしている]


D-9089:あはは、がんばれがんばれ!


[この後、約10分程度に渡ってSCP-9000-SM-B-2はD-9089の動かす玩具を追いかけ続ける]


D-9089:そろそろ疲れちゃった?


SCP-9000-SM-B-2:[少し疲れた様子で寝室のベッドの上に寝転んでいる]


D-9089:ちょっと寝たい?布団かけてあげようか?


SCP-9000-SM-B-2:[D-9089に向かって鳴き声を発した後、不明な方法で消失する]


[一瞬映像が乱れた後、D-9089が装備している映像記録装置がSCP-9000-SMの周囲を映している]


D-9089:えっ、ここは最初にいた…。


■■博士:実験は終了です。お疲れ様でした。


D-9089:■■■は、どこに行ってしまったんでしょうか?


■■博士:すみません、我々にも不明なのです。


D-9089:いえ……。あの、この実験に参加させてくれて、ありがとうございました。ずっと心残りだったんです、■■■の最期を見られていなかったのが。


■■博士:そのお話は、また後ほどのインタビューで聞かせてくれますか?


D-9089:はい。とにかく、ありがとうございました。


<実験結果>

 D-9089はイベント”かくれんぼ”に成功しました。実験後のインタビューで、D-9089は、かつて飼育していたイエネコに最後のお別れができた気分だと述べています。また、D-9089は当実験の内容について、細部にわたって記憶を保持していることが確認されました。


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