第8話
....
.........
ずっとお喋りしてたやつが居なくなると、なんか静かだな。
「.....」
いつでもここのダンジョンに戻れそうだし。
...ダンジョンで老いて死ぬ前に都市観光くらいしといてもいいか。
「...」
...死にかけの嬢ちゃんと会わなかった限り、死ぬまで外に出てこなかった可能性すらある。
ダンジョンで暮らしてた日々も闘技場の記憶も断片的で、ほぼに無い等しい。
かなりやべえ所まで意識がいっちゃってるようだな。
「......」
...あれもう外が暗くなっている。
とりあえず都市へ向かってみるか。
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─カボル大都市 西部 魔導軍基地─
「ゲゼンダフ中尉、状況報告を」
「はっ。西の迷宮より大勢の魔物が出現。現在、カボル大都市方面へ進行中。3日後には農園地に到達する見込みです」
「ッチ、どう思う。バレッタ大尉」
「...例の
「ッチ...冗談でも気配すら出てこなきゃいいがな。で、数、種類は?」
「数はおおよそ3万弱。動物、昆虫系が混在しています。魔法が使用できる個体も多数確認しております」
「ッチ、微妙なところ狙ってきやがったな。ッチ...少佐各位に応援を緊急要請する。が...中途半端だ。恐らく協力は得られない。ッチ..既に察知して動いているだろうが、改めて冒険者ギルドに応援を頼め。金は出す。
「「「はっ!!」」」
「指揮は俺が
「は〜い」
「通信塔を使う。メリクー曹長、補助を頼む。バレッタ大尉、西部街の部隊を迎撃用に再編成しておけ」
「はい」「は〜い」
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「《少佐各位一斉通信》!こちらブレイド大尉。西より魔物、都市へ進行中。数はおよそ3万。二日後、戦闘予定である。少佐各位応援求む。繰り返す…」
「…以上!!‥ッチ」
「...お疲れさまです、ブレイド大尉。少佐、一人でも来てくれますかね...」
「聞かなくともわかるだろ。ッチ」
「...アハハハ…」
『こちらエヴァンス少佐である。断る。通信終了』
『こちらハイフレ少佐。断る。通信終了』
『─てぇ!..はっぁあん!ぃゃ、こちらぁあんんっ!‥エリ、ディスよぅ..いまっぁん..ッ手ばなせ..っらないのぉッ!...つぅしぃぁっあ─』
『.........こちらアトプレ。無理。通信終了』
『あまえるなぶれいど!!つしんしゅりょ』
「ッチ、メルティー少佐め...どいつもこいつもつっかえねぇ。てかエリディスクソアマ少佐は何やってんだよ。仕事しろってんだよ、ッチ」
「アハハハハ...こ、これで防衛失敗時の保険はバッチリですね。大尉」
「ッチ、最終的にはアイツらの責任だからな。後はやるだけだ。戻るぞ」
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「わかってると思うが、協力は得られなかった。ッチ..人はどうだ?」
「はっ。我々は450人、冒険者は後で合流する数を含めて250人ほどです」
「ッチ、冒険者が思ったより少ないな...西部街の人数を必要最低限にしろ。犯罪が増えても応援に応じなかったむかつく少佐共の責任だ知らん。いいかお前ら。一人あたり50体がノルマだぞ?」
「「「はっ!!」」」「えぇ!?そ、そんなぁぁ!!ブレイド大尉が一万体くらい請け負ってくださるのではなくて!?」
「「「...ハハハハ…」」」
とりあえず、上官が冗談を言ったっぽいので笑っておく隊員達。
「そういうお前がやれ。仮にできたとしたら、今からバレッタ少佐と呼んでやる」
「「「「...ッガハハハハハッ!!」」」」
何が面白いのかわからないが、ここは笑うべきだろうと思い、声を張り上げて笑う隊員達一同。
「ッチ、そんなことより作戦会議だ」
「ガハッ..」「「「...」」」
「ッチ、防衛線はこことここに…」
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箱入王がダンジョンを出発して一日経った頃。
─カボル大都市 西部 第三防衛線─
作戦会議より予め定めた3つある防衛線の一番外側、
「オラオラァ!ファイア…」「ッチャア~!20匹目!コンバッ…」「ッシーハシーハ、ッハ!ガラム・…」「ランサーレ…」…
手柄、名声を求める冒険者達は、お互い競い合うように魔物を倒していく。
「─ッ!!ッチ、ックソ!!魔力帯びてるクソが思ったより多い!目測を見誤っている!3万どころじゃねぇぞバレッタ!被害が出る前に各部隊を下げさせろ!!仕切り直しだ!それと、わかるか?」
目の前の平原は地面を見る隙間もないほどに魔物がひしめき合っていた。
「ん?何のこと?それより部隊はそう言うと思ってもう下げてる最中よ!冒険者共は見てのとおりだけどね。じゃあ後はよろしく〜!!」
冒険者は軍の指揮下にあらず、当然、軍の指示に従う必要が無い。
「...ッチ......一対多向きじゃねぇんだがよ。目の前に
ブレイドは魔物を仕留めることをやめ、魔物の大群から大きく距離を取る。
「…好き勝手やるのはいいが...巻き込まれても文句は言わせんぞ...『
ブレイドの周りにいくつものこぶし大の真黒い穴が現れ、そこから
「…『術式変形...
王族が使用する長いダイニングテーブルのような大きさの分厚く巨大な刃がブレイドの目の前に水平方向に召喚され、魔物の集団を高速で通過する。
「─オゥワッ!!」「な、なんだ!?」「あ、あぶねぇ!!」「ぇえ?…」「今のは…」「ッブァっ!?」「ベヘェ!」
知能が高い魔物はしゃがんで避けるが、そうでないものは真っ二つされ、大量の血飛沫が舞い上がり、地面は瞬く間に死体で敷き詰められ血の海と化す。
「…『
先程召喚した巨大な刃が動いたと同時に、次の剣が上空から、何処からともなく回転しながらブレイドの手元目掛けて落下する。
馬、騎手諸共叩き切れるほどの長大な刀を両手に持った途端、巨大な刃が作った死体の道を通りながら、多種多様な剣技を繰り出し、接近した魔物を虫を払うかのように容易く殺戮していく。
あえて切らずに接近させた魔物は、浮遊する不気味な手から直接魂を取り出され、支えが無くなった人形のように倒れる。また、切られて死んだ魔物にも手が入り、同じく魂を取り出され、手に吸収されていく。
あっという間に周囲には死体が腰辺りの高さまで積み重なる。
「…ッチ、もう死体に当たるか...雑魚共が『グレートソード・ファルカタ…」
ブレイドは死体が積み重なる度に場所を変え、剣を変えながら殺戮を続ける…
「…ッチ、どこだ....反吐が出そうな嫌な気配だ...まさか...な…」
ブレイドは敵を仕留めれば仕留めるほど増す不穏な気配をいち早く察知していた。
「す、すげ…」
「初撃で千体近く切り飛ばし…」
「つええぞあのおっさん…」
「
「巻き込まれたらどうし…」
「地上であの出力…」
「術式変形...だと…」
冒険者は見とれながらも各々ぼやいていた。
「見ての通りだ!!巻き込まれたくなければここはアレに任せて退け冒険者共!!いくら強くても流石に全部は仕留めきれないから安心しろ!」
バレッタ大尉は改めて冒険者達へ退くように呼びかけた。
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ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。
フォロー、応援してくださった方々、誠にありがとうございます。
皆様に読んで頂いている実感が湧いて励みになります。
読者の皆様方にストレスを感じさせないようにと、自分の中で展開早めで心掛けているつもりですが、薄毛になってきたせいか、どうもうまくいかないようです。気長にお付き合いいただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
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