第7話 演者勇者と王国王女7

 知らない間に目を瞑っていた。――仕方がないかもしれない。これから来る死を招くような攻撃を一斉に喰らわないといけないのだ。戦闘経験のないライトとしては当然の体制になったと言ってもいいかもしれない。

 だが、目を瞑っても、感じるのは痛みではなく、熱さ。――熱さ?

「ぎゃあ!」

「ぐわっ!」

「ぬぎゃあ!」

 そして次々と聞こえてくる悲鳴は、襲ってきているはずの男達の物だった。――ハッとして目を開ければ、見えてくるのは自分達を守るかのように生まれていた炎の壁――感じる熱さの原因はこれだった――と、

「やっほー、姫様共々無事で何よりかな、うん」

「レナ……!?」

 いつもの温い口調で二人を守るかのように立つレナの姿だった。

「どうして……ここに?」

「いやあだって、勇者君救難信号上げたじゃない」

「救難信号……ってまさかあの勇者玉!?」

「一応護衛としてはさ、あれ見たら助けに来ないと駄目でしょ」

 最初からあれは救難信号用のアイテムで、だから花火だったのか。――なら最初からそう書いておいて欲しかった。

「さてと、やった私が言うのもあれだけど、減ったねえ大分」

 レナの言う通り、そもそもがエカテリスがある程度の数、ライトが少し倒していたのもあり、今の一斉攻撃の相手をレナがカウンターで倒してしまったので、相手の男達の数はあと僅かになっていた。

 戦況は一気にライト達に傾いたかに思えたが――

「お……お前ら、ふざけるな! この餓鬼がどうなってもいいのか!」

 ――肝心の、人質の子供を抱えた男がまだ残っていた。確かにあの男をどうにかしないと、ライト達の勝利とは呼べない状況でもある。

「はぁ……」

「な……何だ貴様、馬鹿にしてるのか!? 俺は本気だぞ!」

 だが救援に来たレナは焦る所か――その男を、溜め息混じりに呆れ顔で見ていた。

「お兄さんさあ、本当に「それ」が人質になるとでも思ってる?」

「は……?」

 そして次いで出てきた言葉は、シンプルながらとんでもない一言。

「まさかお前、本気で勝つ為には餓鬼がどうなってもいいと思ってるのか……!?」

「いやだから、そうじゃなくてさあ」

 呆れ顔のまま、ゆっくりとレナの視線が動くのがわかった。人質を抱えている左腕の方だ。――何だ、あの女何が言いたいんだ?

 嫌な汗が男の背中を流れた。レナの視線を追うように、自らの左腕に抱えている人質を確認してみると――

「な……なんだとぉ!?」

 人質はいつの間にか、程よい大きさの布の麻袋に変わっていた。確かにこれは人質にはならない。

「は? な? ええ!?」

 その光景、ライトにとっても衝撃の光景であった。まったく気が付かなかった。一体誰がいつ?

「! まさか!」

 と、エカテリスが何かを察したようにハッと後ろを振り返った。釣られてライトも振り返る。そこには、

「大丈夫? 怖かったでしょう、よく頑張ったわね」

 布袋に変えられる前に人質だった子供を、優しく介抱するリバールの姿があった。

「何かされなかった? 怪我はしてない?」

「うん、大丈夫」

「そう、良かった。さ、皆の所へ。皆心配してるわ」

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 リバールに笑顔でお礼を言うと、子供はまだシンシア達がいる教会の中へ走って行った。

「リバールが……助けたのか……?」

「ああ、勇者君は知らないもんねえ。リバールは、忍者一族の血を引いてるの。しかも超一流のね。この位だったら朝飯前」

 忍者。闇に生きる職業で、諜報、工作、暗殺等、裏方で暗躍するエキスパートである。ライトは直接目にするのは初めてだった。――まあ、目の前の忍者は初めて会った時と同じくメイド服なのでいまいち実感は湧かないのだが。というよりも、

「真実の指輪で見させて貰った時、忍者なんてまったく見えなかったのに……」

「申し訳ありませんライト様。あの程度でしたら、隠すことは容易でございます。隠しておきたいわけではなかったのですが、本能で隠すのが癖になっていたもので」

 確かに簡単に忍者とばれたら諜報や工作などは出来ないだろう。リバールにとっては忍者の血を隠すのは当たり前なのかもしれない。

「それに――忍者である前に、私の心が姫様への愛情で溢れていたせいでもあるかと思います」

「あー……」

 ライトの脳裏に、リバールを真実の指輪で見た時の文字――「姫様LOVE」――が思い出された。ライトの実力では名前の他に見れる情報は精々一つか二つ。つまり、リバールの中で「姫様LOVE」>「忍者の血」の様だった。

「さてさて、これで私達が躊躇する理由が一つもなくなったわけだから、覚悟してね? そこの麻袋抱えてるお兄さんも、それから――そっちの高そうな服着てるお兄さんも」

「っ!」

 レナが指摘した後者は無論ベンである。手下をほぼ失い、今や来訪当初の面影もない顔面蒼白の大ピンチではあったが。

「ぼ、僕は何も知らないぞ! こんな手荒な真似をしろなんて一言も言ってない!」

「――は?」

 そして、往生際の悪さを発揮し始めた。

「僕は最初から健全な話し合いに来たんだ! 暴力や横暴は、こいつらの勝手な判断だ! いい迷惑だ!」

「ふ、ふざけないでくれベンさん! 俺達はあんたの命令で――」

「黙れ黙れ! シュミット家に泥を塗りやがって! 責任を取れ!」

 醜い争いだった。当然エカテリスもライトも最初からわかっていたことだが、今回のことがベンの指示である事が逆に明白になる瞬間でもあった。

「うわー、いい感じで腐ってるねそこのお兄さんは。自分の力を勘違いしてるし。――見てると殺したくなる」

「ひいっ!」

「レナ……!?」

 最後の一言で、レナの持つ空気が一気に冷たい物に変わった。ライトは決して自分に向けられているわけではないとわかっているのに、恐怖を、本物の殺気を、レナから感じた。単純に今回の出来事に怒っている――以上に、レナの何かに引っかかる物があるのかもしれない。

「う、うわあああああ!」

 そして耐えられなくなったか、ベンと残った男達数人は逃げだした――のだが、

「影縛(かげしばり)」

「ぐあ!?」

 リバールのその一言で、ピタッ、と足が止まる。ハッとしてリバールを見ると、胸の少し上辺りで両手指を独特の形で組んでいた。察するに、忍者特有の魔術――「忍術」で、男達の足を強引に止めたらしかった。

「おー、リバール流石だねえ、ナイスナイス」

「殺すのは我慢して下さいねレナさん、特に奥の男は。家柄が関わってるなら、その家を罰するのに必要なので」

「ちぇっ、しょうがないなあ」

 尚も這いつくばって逃げようとする男達を(結局足が動かないので逃げられない状態ではある)レナは剣に炎を纏わせてそれぞれ一閃。ライト達の勝利という形で戦闘は終了となった。

 これで一安心、緊張がほぐれ、一気に崩れ落ちそうになるライトを――次の緊張が襲った。

「さて――姫様。お話がございます」

 リバールだった。先程子供を助けた時の優しい雰囲気とは正反対の、冷たい、怒りの空気。しかしこれもライトに向けられた物ではなく、

「リバール……その、私……」

「言い訳は無用にございます」

 主である、エカテリスに向けての物だった。

「今回の出来事、紆余曲折あれど、姫様の行動、判断次第ではもっと穏便に、もっと安全に解決へと持ち込むことが出来ました。故に今回、ライト様を、子供達を危険な目に合わせたのは、姫様の責任です」

「っ……」

「ま、待ってくれリバール、俺は別に!」

「申し訳ありませんライト様、口出しは控えて頂けますか」

 自分は別に迷惑を被っていない、寧ろ同罪だ――そんな言葉が出かけたライトの口を、リバールの言葉が塞ぐ。

「単純なお話です。事が発覚した時点で、私やレナさん、軍や国の働きかけが出来るようにしておけば、こんなことにはなりませんでした。でも姫様はそれをせず、自らとライト様の二人だけで解決しようとした。それは何故か? ご自分が、変装して無断で城下町に出ているのがバレるのを防ぐ為です」

「っ……」

「つまり、今回のここの戦闘は、姫様の我侭で発生しているのです。しかも結局お一人では解決出来ず、レナさんと私の手を借りての解決。最初から相談して私達の手を借りたのと何の違いもありません。もしも何か一つ間違いが生じて、私達がここへ辿り着かなかったらどうなっていたことでしょう。――何か申し開きはありますか?」

「……ない、ですわ……ごめんなさい……」

 俯いて謝罪するエカテリス。その目には薄っすらと涙が浮かんでいた。

「細かい話は城に戻ってからにしましょう。ヨゼルド様への報告も必要ですし。――レナさん、後処理の方はお願いして大丈夫ですか?」

「オッケー。マーク君も呼んであるから大丈夫、気にしないでいいよー」

 裏を返せばマークに任せて自分は何もしない、という意味合いでもある。

「ではライト様、レナさん、お先に失礼させて頂きます。――姫様、参りましょう」

 リバールに促されると、エカテリスは無言でライトとレナに頭を下げ、リバールの後を追う。――その背中が、小さく、寂しかった。ライトは言葉に詰まる。

 リバールの言っていることは正しい。冷静に思い返してみても、彼女のエカテリスに対する説教を批判出来る部分はライトには思い当たらなかった。リバールがエカテリスを想ってこその説教であることも十分に汲み取れた。

 でもだからこそ、説教を全て飲み込んだ上で自分はどうしたらいいだろうか。これで終わりにして本当にいいのだろうか。――ポン。

「私達も帰ろっか。リバールにも言ったけど、後処理はマーク君呼んであるし」

 軽くライトの肩を叩き促し、レナが歩き出した。――いけない、目の前のことをちゃんとしなくては。

「レナ、助けてくれてありがとう。来てくれて本当に助かった」

 そう、まずは目の前のレナへの感謝を。――勇者玉という名の救援信号花火を放ったからとはいえ、レナの到着は早かった。察するに何かを彼女なりに感じて、こっそり近くまでは来ていたのだろう。気を使わせてしまった。

「気にしなくていいよ、私は君の護衛だし」

「だからと言って感謝をしないお礼を言わないってのは間違ってるよ。――手を煩わせてごめん。これからは、何かあったらちゃんと相談する。だからレナも、俺の行動で何かあったら遠慮なく言って欲しい」

「最低限の事は言ったよ? 危ない所に行く時は――」

「それは護衛として、だろ? レナ個人としての考えも、立場関係なく言って欲しいってことだよ。そんなに簡単に終わる関係じゃないんだ、出来れば不必要な壁を間に挟みたくない」

 直後、ライトとレナの目が合う。わずか一、二秒だったが、確かな時間だった。

「もしかしたら……君は、違うのかな、なんて」

「え?」

 その小さな呟きは、ライトの耳には届かない。

「そんなわけないってね。――勇者君の言いたいことはわかったよ、頭に入れておく。さ、帰ろう帰ろう。もしかしたら私達も何か説明が必要かもしれないしね」

「あ、うん。――それで、帰りながらでいい、教えて欲しい事があるんだ」

「スケベは国王一人で間に合ってます」

「何でスケベ質問前提なんだよ!? そうじゃなくて――」



「……あらためて、ってなると、やっぱ緊張するな」

 城に戻り、一息ついた後、ライトはエカテリスの部屋の前に来ていた。――要は、レナにエカテリスの部屋の場所を尋ねたのである。時間が経過しない内に、ちゃんと真正面から話をしておきたかったのだ。

 コンコン。――意を決してドアをノック。

「王女様、俺です、ライトです。今いいですか?」

 ノックに続き、そう声を掛けるが、返事がない。――コンコン。

(いないのかな、それとも寝てるのかな)

 二度目のノックにも反応はない。――でも部屋にいる。何となくだが、ライトはそんな気がした。

「王女様、すみません、どうしても話がしたいんです。……失礼しますね」

 ガチャッ。……ゆっくりとドアを開け、中に入る。後ろ手にドアを閉めながら広がる光景は、やはり立派な部屋だった。ヨゼルドの私室でも見たような高級そうな家具に、

(本当に……好きなんだな)

 大きな本棚に並ぶ本は、勇者関連の本で一杯だった。そして最後に目を引くのは窓際にあるやはり豪華なベッドと、

「……あー」

 その上にある不自然な毛布の塊。――おそらくエカテリスであろう存在が包まっていることは想像に容易かった。すねているのか反省しているのか、何にせよ返事もないということは今は誰の顔も見たくない、話をしたくないという意思の表れだろう。

 それを全て汲み取った上で、あえてライトは口を開いた。

「失った過去を見つめ直すことは出来ても、やり直すことは出来ない。それは勇者である僕にも、王女である君にもだ」

 ガバッ、とエカテリスが毛布から顔だけを出し、ライトを見る。

「なら僕はせめて、今日という日を忘れることなく胸に刻み、前を見て歩くことを誓う。君が出来ないと言うのなら、いつか君が出来るようになるその日まで、その分も僕が前を向こう。だから今は悲しくても、いつかまた前を向くことを、約束してくれないか」

 その言葉を言い終わる頃には、エカテリスは起き上がり、ベッドから降り、ライトを真正面から見ていた。

「その言葉……「新説・勇者物語 第五巻 セージレイ戦役」での最後、勇者様が王女様に告げた台詞ですわね!」

「はは、本の名前と巻数、タイトルとシチュエーション、全部言えるんですね、咄嗟に」

 気付いてくれると信じての一言だったが、エカテリスは完膚なまでの記憶をしていた。

「俺も、勇者様の本、結構読んでるんですよ。王女様程じゃないですけど。だから引用させて貰いました。俺なんかが引用していいかって言われたらそこまでですし、厳密に言えば今回の事件とはスケールが違うでしょうけど……でも、だからと言ってこの位で王女様に色々凹まれたり諦めたりして欲しくないな、って思っちゃって」

「……ライトさん」

「反省は必要ですけど、この位でへこたれないで下さい。ここ数日だけですけど、俺、王女様を見てて、凄い格好いいな、立派だな、って思ったんです。――貫いて下さい。今度は、誰にも怒られない方法で。まだまだ、やり方なんてありますよ」

 ライトのその言葉に、エカテリスは目を閉じ、ふーっ、とゆっくりと息を吹く。

「そうですわね……この位で弱気になってたら、勇者様に呆れられてしまいますわね」

 そして再び目を開いた時には、先程までの弱気な表情は消え、強く優しい、いつものエカテリスの笑顔になっていた。――良かった。気持ちを入れ替えてくれた。

「ありがとう、ライトさん。貴方に励まされるなんて、思ってもいなかったわ」

「俺も、子供の頃はずっと勇者様に憧れてたんです。王女様と一緒ですよ。だから、つい」

「そうでしたのね……だから今回のお父様のお話も」

「まあ、ちょっとだけ違うんですけど、根っ子にあるものはそうです」

 含みのある言い方にエカテリスの頭上に「?」マークが浮かぶ。――まあ、俺の事情は兎も角。

「それで、元気になった王女様に、お願いがあるんです」

「あら、何かしら?」

「その、抽象的な言い方になっちゃうんですけど……俺にも、本物の勇者様が見つかるまで、頑張らせて貰えませんか。いいや違う、一緒に頑張ったら駄目ですか」

 それは、当初からエカテリスに伝えたかった想い。

「勿論、俺如きがこれ以上頑張って何が出来るんだ、ってなるかもしれません。でも、こうして俺がここにいるのが何かの運命なら、少しでも、一つでも、勇者様の為に何かしたいんです。偽勇者は王女様にとって屈辱でしょうけど……でもそんな俺でも、何か出来る事がしたいんです。――お願いします」

 ライトはゆっくりと頭を下げた。――流れる数秒の沈黙が重い。

「……条件が、あります」

 やがて出たエカテリスの言葉は、それだった。ライトがゆっくりと頭を上げ、エカテリスを見る。

「今日から私のことは、王女様、姫様、じゃなくてエカテリス、と呼んでくださる?」

「え?」

 そして次いで出てきた条件は、ライトにとっては予想外の物。

「だってそうでしょう? 今日から私達は同志、仲間になりますのよ? 身分の垣根など越えないと、分かり合うことなんて出来ませんわ」

「いや、でも流石に」

「私が良い、と言っているの。ほら」

 その「ほら」は、一度言ってみなさい、の「ほら」であることは重々理解出来た。ライトは覚悟を決める。

「エ……エカテリスさん」

「ブブー、「さん」もいりませんわ。口調もタメ口で結構」

「た、タメ口は本気で怒られますよ!」

「ならこの話はなしよ? 私の権限で、数日中に貴方を強制的に送り返しますわ」

 エカテリスは楽しそうだったが、本気であろうことも感じ取れた。――やはり身分が身分、対等に語り合える相手、しかも同じ勇者に憧れを持つ相手など、出会える機会などなかったのだろう。……ライトは再び覚悟を決めた。

「……わかったよ、エカテリス。これでいいかな?」

「ええ、これから宜しくですわ、ライト!」

 自然と二人は握手を交わしていた。エカテリスからライトへの呼び方からも「さん」が消えていた。

「そうですわ、いっそのこと大々的にやりましょう! 騎士団を結成、団長は貴方、副団長は私」

「え、そこはエカテリスが団長じゃないの!?」

「仮にも勇者は今貴方なんだから、団長は貴方じゃないと。それに私、副団長っていう絶妙なポジションに憧れてましたの」

「理由が滅茶苦茶だな!」

 そんな明るい会話がしばらくは続く、エカテリスの私室なのであった。



 そして、そんなエカテリスの私室のドアに背中を向け、礼儀正しく立つ人物が。――しばらく立っていたが、やがて満足そうな笑みを浮かべると、その場を後にする。

「お、リバール、盗み聞ぎは終わった?」

 少し進むと、レナとすれ違った。

「ええ。あれだけ聞ければ私としては満足です」

「うーわ、流石だ、盗み聞ぎは否定しないよ。天井裏に覗き見する穴とか用意してるんじゃないの?」

「今回はそこに移動する前に会話が始まってしまったので」

「覗き穴あるんかーい」

 恥ずかしげもなくそう告げるリバール、何となくわかってはいたがツッコミを入れざるを得ないレナである。

「で? 満足した、って言ったけど、ホントに良かったの?」

「はい。寧ろ今回の事が姫様の成長の一歩に繋がればと思っていましたし、ライト様もやはり良い方で安心しました」

「勇者君、か」

「そちらも、何か想うことがありそうですね?」

「ん? うーん、どうだろね?」

 軽くおどけて誤魔化すレナ。――リバールも、決して深入りするつもりはなかった。

「まあでも、結果としてライト様は忙しくなるでしょうから、自然とレナさんも忙しくなると思いますよ」

「あー、それはやだなぁ。考えてなかった。リバール代わりに護衛に行ってくれない?」

「その場合レナさんが姫様のお世話をすることになりますよ? レナさんは私よりも姫様への愛情に溢れてますか?」

「寧ろそこがオッケーだったら代わってもいいと思ってるリバールが私は怖いよ」

 そんな会話をしつつ、二人は穏やかな笑みで、その場を後にするのだった。

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